トピックス・レポート
働く人に伝えたい!薬との付き合い方
-薬・サプリとセルフメディケーション-

②くすりが台なし? 薬剤を牛乳で飲むと何が起こるか

「腸溶性製剤」服用時のトラブル①
牛乳で飲むと下剤が効かない!

 下剤の説明書(添付文書)にこんな文章を見ることがあります。

効能:慢性便秘、常習性便秘
成分:ビサコジル
注意:制酸剤や牛乳をのんでから1時間以内の服用はさけてください。

牛乳と一緒にのんではいけない理由とは

 便秘の症状により、使用される下剤の種類も異なります。

〇塩類下剤:腸管内に水分をよびこむことで腸のぜん動運動を促進(硫酸Mg、酸化Mg)
〇膨潤性下剤:薬剤自体が腸管内の水分を吸収して膨張し、大腸に刺激を与えてぜん動運動を促進(プランタゴ・オバタ種子)
〇浸潤性下剤:便を軟便化させ、排便を促す(ジオクチルソジウムスルホサクシネート)
〇刺激性下剤:腸管に直接作用、ぜん動運動を亢進する(センナ、ダイオウエキス、ピコスルファートNa、ビサコジル
【ビサコジルを主成分とする下剤】コーラック、スルーラックプラス、ビューラックAなど

 刺激性下剤の成分ビサコジルは、腸管に作用して効果を現します。牛乳などのアルカリ性飲料には、胃酸を中和する作用があるので、もし、このようなビサコジルを含む腸溶性製剤の下剤を牛乳と一緒にのむと、以下に示すことが起こってしまいます。

胃内のpHが高くなる
 ⇒腸溶製剤のカプセルや錠剤のコーティングが溶けて、胃で成分が溶解
  ⇒腸まで届かず効果が現れにくくなる

 これでは、せっかく下剤を飲んでも、効果を発揮することができません! それどころか胃の不快感も現れるでしょう(図4)。

図4.png

図4 刺激性下剤を牛乳でのむと起こること

牛乳以外でも、刺激性下剤をのむ時には注意が必要!

 ビサコジルを含む腸溶性製剤「コーラック」の「用法関連注意」には、以下の注意点が書いてあります。

(3)制酸剤*や牛乳をのんでから1時間以内の服用はさけてください。(本剤は制酸剤や牛乳によって胃内で溶解し、期待された効果を発揮できないことがあります)
 *制酸剤:多くの胃薬に含まれている成分で、胃酸を中和する働きをもつ。

 ⇒制酸剤で胃内が中和された場合も同様なことが起こると考えられます。

(4)錠剤をかんだり、つぶしたりせずにそのまま服用してください。(本剤は有効成分がその能力を十分に発揮し、大腸内で作用するよう特殊なコーティングをほどこしています)

 ⇒もし、製剤を口腔内で破壊してしまうと、工夫が台無しになってしまいます。

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