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日本人の健康がゆらぎはじめている 世界187ヵ国を調査

 日本人の健康寿命を縮めている原因は「不健康な食事」、「高血圧」、「喫煙」、「運動不足」――こんな分析結果を、米ワシントン大学、東京大学などの研究チームがまとめ、英医学誌「ランセット」(電子版)に発表した。

 研究チームは「世界一の長寿になった日本人の健康がゆらぎはじめている。長生きしても病気などに苦しむ期間が延びている」と警笛を鳴らしている。
健康寿命を縮める原因のトップは「不健康な食事」
 この研究は、世界187ヵ国の死亡と障害の原因を分析したワシントン大学や東京大学などによる共同プロジェクト「GBD2010」の成果。ビル&メリンダ・ゲイツ財団が支援し、50ヵ国の303の学術団体が参加した。大小さまざまな健康課題について10億件の推定値をうみだした。

 研究によると、日本人の平均寿命は、男性79.3歳、女性85.9歳と、世界でトップクラスだが、うち健康に生きることができる期間は、男性70.6年、女性75.5年しかない。

 分析にあたった渋谷健司・東京大学教授(国際保健政策学)は「日本人の健康寿命はこの20年間に世界トップクラスを誇ってきたが、健康寿命を縮めている原因を効果的に取り除かないと、トップの座を維持できない可能性がある。また、長生きした分、病気や障害に苦しむ年数が長くなっている」と話す。

 日本の分析は、厚生労働省の人口動態調査などをもとにした。平均寿命より早く死亡することで失った年数、障害を抱えて生きる年数を考慮し、病気や障害が健康に与える負担の程度を分析した。この手法であれば、死に直結しないが日常生活に支障をきたし、健康寿命や生活の質を縮めている病気や障害をあきらかにできる。

 「DALY(disability-adjusted life years)」は、「病気などによって障害を受けた年数」を意味する指標。日本人のDALYを引き延ばし、健康寿命を縮めている原因のトップ10は、(1)不健康な食事、(2)高血圧、(3)喫煙、(4)運動不足、(5)肥満、(6)高血糖(空腹時血糖値)、(7)アルコールの乱用、(8)環境汚染、(9)高コレステロール、(10)職場のストレスだった。

 伝統的な日本食は「健康的な食事」として世界中で称賛されているが、「低脂肪だが塩分が多い」、「果物やナッツ、全粒穀物が欠けている」という欠点もある。欧米の食習慣の影響も拡大しており、日本人の食生活は不健康に偏っているという。

 また、喫煙は肺がんや慢性閉塞性肺疾患などの原因となる。日本では食事や高血圧に次いで三番目に危険な脅威だ。一方で、アルコールや薬物使用の悪影響は、運動不足や肥満などに比べて低下している。

高齢化や景気低迷などが深刻な課題に
 日本人の健康寿命を縮めている要因のトップ10は、(1)脳卒中、(2)虚血性心疾患、(3)呼吸器疾患、(4)肺がん、(5)自殺、(6)胃がん、(7)大腸がん、(8)肝臓がん、(9)肝硬変、(10)膵臓がん。

 死亡の原因となっている病気のタイプは変化している。過去の20年間の日本人の死因トップは、脳卒中や虚血性心疾患、胃がんだったが、2010年には呼吸器疾患や肺がん、大腸がん、膵臓がん、慢性腎臓病(CKD)、乳がんなどが順位を上げた。

 GBD2010であきらかになった傾向のひとつは、特に若い世代で自殺が脅威になっていることだ。2010年の時点で15~49歳の日本人の死亡の約27%は自殺によるもので、日本人の若者の第一位の死因となっている。これは世界中のどこよりも高い値で、うつ病や不安神経症といった関連危険因子も増加傾向にあるという。

 「政府は国民の新しい健康課題に効果的に取り組んでいるようにみえない。今回の研究は、高齢化と政治不安、景気低迷の時代において、こうした課題に取り組むための最善の策に関する議論のきっかけとなる」と渋谷教授は強調している。

GBD Webcast - Institute for Health Metrics and Evaluation
GBD 2010 country results: a global public good(The Lancet, 2013年3月23日号)

[Terahata]

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