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医療ビッグデータの利用規制を緩和 民間にも解禁し医療費を抑制
2015年01月08日

これまで集積されてきた医療行為や健康状態に関する膨大なデータ(医療ビッグデータ)を分析し、医療費削減や健康課題の解決に利用する動きが活発化している。政府は、診療報酬明細書(レセプト)や特定健診などの医療データである「ナショナルデータベース」の研究利用を促進する規制緩和を検討している。
「健診・保健指導」の効果をナショナルデータベースで実証
ナショナルデータベースは「レセプト情報・特定健診等情報データベース」の通称で、全国の医療レセプトや特定健診のデータを各保険者団体から集めたもの。
政府は、現在は行政機関や大学、医療保険者などの中央団体、医療の質向上を目的とした公益法人の研究者などに限定されている研究利用を、公益性の高い研究を手がける民間機関にも解禁する規制緩和を検討している。
これにより、生活習慣病の改善や予防医療の研究などを推進し、増大する医療費の抑制につなげる狙いだ。
ナショナルデータベースには、2014年2月末時点でレセプト情報は約72億件、特定健診や特定保健指導の情報は約9,000万件が格納されている。膨大なデータはさまざまな医療研究に役立つと期待されている。
「健診・保健指導」は、日本が世界に先駆けて実現したシステムだが、参加率の高い地域は、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の治療が減るなど、その具体的な効果がナショナルデータベースで実証されている。
厚生労働省の「レセプト情報等の提供に関する有識者会議」は、ナショナルデータベースを第三者に提供する場合の条件などを盛り込んだ報告書を大筋で了承した。
高齢者医療法や行政機関個人情報保護法を根拠としている現在のナショナルデータベースの扱いを、統計法を根拠とするかたちに改める方針だ。
現在は、研究利用の可否は、厚生労働省の「レセプト情報等の提供に関する有識者会議」が、目的外利用として個別に審査している。
ただ同会議での審査の手続きは煩雑との指摘が多い。また利用が認められても、提供されるデータに制約があり、精度の高い研究をしにくい状況にある。
こうした状況を改めるため、根拠法を「高齢者の医療の確保に関する法律」から統計法に変更し、データの研究利用の位置付けを明確化し、情報漏洩への罰則も設ける見込みだ。
さらに、現在は公的機関や大学、公益法人などに限定されている研究利用を、「医薬品医療機器総合機構(PMDA)」や公益性の高い研究を手がける民間機関にも解禁する規制緩和を検討する。
レセプト情報等の提供に関する有識者会議(厚生労働省)医療保険データベース(厚生労働省)
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