ニュース

化粧に健康寿命を延ばす効果 化粧が高齢者の「生きがい」を増進

 資生堂は、東京都健康長寿医療センターと共同で検証した調査で、化粧に健康寿命(自立した生活ができる期間)を延ばす効果があることを確認したと発表した。
高齢者やがん患者が楽しみながら化粧を行うプログラム
 入院したり介護を受けたりせずに、日常生活を過ごすことができる期間を示した「健康寿命」と平均寿命との差は、2010年度厚生労働白書では、男性で9年、女性で13年の差があることが示された。つまり、日本人は平均で9~13年、制限のある「不健康な期間」を過ごしていることになる。

 資生堂は2013年から、高齢者やがん患者らがスキンケアや化粧を行うことで心が明るくなり、「運動機能の維持・向上」「認知症の予防」「老人性抑うつ予防」の効果を期待できる「化粧サービス」(化粧療法プログラム)事業を行っている。

 施設に入所している高齢者が同社の専門スタッフと化粧を行う「資生堂ライフクオリティー事業」は、2013年に始められ、ノウハウが経済産業省の「平成26年度健康寿命延伸産業創出推進事業」に採択された。今回の実験では効果の検証が行われた。

 「化粧サービス」は、健康寿命を延ばすことを目的に、高齢者や視覚障害者、がん患者らが、同社の専門スタッフと一緒に、自身が化粧を楽しみながら行う教室形式のプログラム。

 2014年6月~2015年2月に東京都健康長寿医療センターと共同で実施した検証には、介護福祉施設入所高齢者、回復期リハビリテーション病院入院高齢者、急性期病院外来通院高齢者、地域在住高齢者の計404人が参加した。

 自宅や施設での毎日のスキンケアの後、参加者自身に健康感を4段階で評価してもらった。参加前後の変化を比べたところ、健康と感じる参加者が増え、不健康に感じる参加者が減っていた。1段階以上改善した参加者は全体の22.2%に上った。

 また、気分が落ち込むなどの抑うつ傾向を改善させる効果もあったという。このことより、「化粧サービス」が健康寿命の延びに有効なことが明らかになったとしている。
1人当たり1万4,220円の介護費用削減の効果
 結果をもとに、みずほ情報総研の協力で介護費用削減効果を試算したところ、同サービスを受けることで、1人当たり年間1万4,220円の削減効果があることも分かった。

 試算は、東京都健康長寿医療センターが地域高齢者を対象に実施した郵送調査で得られた健康度自己評価から要介護状態の出現率を算出したデータをもとに行った。

 病気、身体の衰えといった身体的な理由や、環境の変化が影響し、化粧をやめてしまう高齢者は多い。しかし、施設の利用者に聞くと「本音では化粧をしたいと思っている人が多い」という。

 「そうした高齢者に再び化粧を楽しんでもらう"化粧療法"は、"運動""食事""交流"の3つの要素に関わっており、健康寿命の延伸に効果的」と、同社は説明している。

資生堂ライフクオリティー事業
[Terahata]
side_メルマガバナー

「メンタルヘルス」に関するニュース

2023年08月28日
カラフルな野菜を食べている人は認知症の発症が少ない ホウレンソウやブロッコリーを食べて認知症を予防
2023年08月28日
わずか5分の運動でも「がんリスク」を32%減少 無理なく続けられる「新しい運動法」を開発
2023年08月28日
週末の「寝だめ」では平日の睡眠不足のダメージを回復できない 寝不足が心臓の健康に悪影響
2023年08月28日
高齢者の「フレイル」の発生リスクを40%低減 「要支援」の高齢者が通所系サービスを利用すると効果
2023年08月21日
肥満やメタボが「腰痛」を引き起こす コロナ禍でさらに増加 「腰痛」を改善する運動は?
2023年08月21日
アルコールが高血圧の原因に 飲酒量が少ない人も血圧が上昇 2万人弱を調査
2023年08月21日
ストレスを解消する簡単で効果的な方法 「みんなと楽しく食べる」「睡眠を改善する」
2023年08月21日
「運動アプリ」がメンタルヘルスも改善 スマホアプリの導入は運動指導で障壁の低い介入に
2023年08月15日
軽いウォーキングなどの低強度の運動でも脳を活性化できる 運動で高齢者の認知機能を維持・増進
2023年08月15日
スマホやゲーム機で遊ぶ時間が長いと睡眠障害に 子供の言語力や認知力の発達が低下 食習慣も大切
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶