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食物アレルギーを抑える油を発見 腸内環境が食物アレルギーに影響

 亜麻の種子からとれる食用油「亜麻仁(あまに)油」を摂取したときに体内で増えるEPA代謝物に食物アレルギーを抑える効果があることをマウスを使った実験で確認したと、医薬基盤・健康・栄養研究所などの研究グループが発表した。食物アレルギーの予防薬などの開発につながる成果だ。
食事や栄養による腸内環境の変化が食物アレルギーに影響
 日本小児アレルギー学会によると、日本の食物アレルギーの有病率は乳児で約5~10%、幼児で約5%、学童期以降が1.5~3%に上る。

 アレルギー疾患の患者数は増加しており、なかでも食物アレルギーは食事制限に伴う生活の質の低下だけではなく、時には生命の危険さえある重篤な疾患だが、有効な予防・改善・治療法は開発されていない。

 最近の研究では、食物アレルギーの発症の場である腸管には、食事・栄養成分などの腸内環境を介した免疫制御システムが存在していることが明らかにになり、免疫疾患との関連も含め注目されている。

 研究グループは食用油の脂肪酸組成の違いに着目し、さまざまな食用油を含む特殊な餌で飼育したマウスのアレルギー症状を検証した。

 その結果、通常の餌に用いられる大豆油の代わりに亜麻仁油を用いた餌で飼育したマウスでは、アレルギー性下痢の発症が抑制されることを確かめた。

 詳しく調べたところ、亜麻仁油に多く含まれる「αリノレン酸」がマウスの腸管で増加しており、その代謝物質である「エイコサペンタエン酸」(EPA)も増加していることが分かった。

 さらに、研究グループは脂質代謝物の網羅的な解析を行い、亜麻仁油を摂取したマウスの腸管で増加しているEPAの代謝物である「17,18-エポキシ-エイコサテトラエン酸」(17,18-EpETE)が、抗アレルギー性物質であることを突き止めた。

 食物アレルギーに対する17,18-EpETEの効果を検証したところ、亜麻仁油で飼育したマウスと同様のアレルギー性下痢の抑制が確認できた。

 「食事内容や栄養成分が腸内環境に与える影響が食物アレルギーの要因となっている。今回の研究で、アレルギー疾患における食用油の"質"が重要であることが明らかになった」と、医薬基盤・健康・栄養研究所の国沢純氏は述べている。

 研究チームは今後、17,18-EpETEの有効性を確かめ、新たな抗アレルギー薬や機能性食品の開発へとつなげていくとしている。

亜麻仁油を摂取することで、体内で増加する抗アレルギー性物質の発見(医薬基盤・健康・栄養研究所 2015年6月15日)
[Terahata]
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