ニュース

プロバイオティクスで腸内環境を整える 善玉菌を増やして腸を健康に

 ヨーグルトなどの「プロバイオティクス」の健康機能が注目されている。腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌を減らすために、ヨーグルトを毎日食べ続けると効果的であることが最新の研究で明らかになった。
ヨーグルトを食べると善玉菌が増えやすくなる
 「プロバイオティクス」とは、腸内細菌のバランスを整え、健康に有益な働きをする微生物およびそれを含む食品のこと。乳酸菌やビフィズス菌が代表的なプロバイオティクスだ。

 人間の腸内にはさまざまな腸内細菌が生息しており、その種類は数百種類にもおよぶ。腸内細菌の中で、体によい働きをするのが「善玉菌」、体に悪い働きをするのが「悪玉菌」、そしてこの2つの勢力によって働きを変えるのが「日和見菌」だ。

 プロバイオティクスは整腸作用や免疫の働きを促すなど、機能面で優れた力があることが最近の研究で分かってきた。プロバイオティクスを摂取することで、腸内細菌のバランスが安定し、善玉菌が増えやすい環境になる。

 ビフィズス菌が産生する酢酸という成分に強力な殺菌作用があり、腸内で悪玉菌の繁殖を抑制することで、善玉菌が優勢である状態にし、腸内環境を整える。

 また、乳酸菌はビフィズス菌のサポート役となり、ビフィズス菌が生息しやすい環境をつくる役割を担っている。

 腸に届いた乳酸菌は、糖を分解して乳酸を作りだす。この乳酸が腸内を酸性に変え、ビフィズス菌が繁殖しやすい環境を作りだす。
プロバイオティクスの効果を高める方法
 プロバイオティクスの摂取の仕方にはコツがある。カリフォルニア大学食品科学・技術学部のマリア マーコ氏は、プロバイオティクスの上手な摂り方として、次のことをアドバイスしている。

・ 自分に合った菌を見つけると効果的

 プロバイオティクスには多くの種類がある。腸内細菌のバランスは人によって異なるため、効果があると聞いて試したプロバイオティクスが、自分には効果のない場合もある。せっかく摂取したプロバイオティクスも、体に合っていなければ体外に排出されてしまう。

 自分に合う菌がみつかるまで、いろいろと試してみると効果的だ。2週間程度、同じヨーグルトを継続的に摂取し、2週間後に便の質や便通が改善されたと感じられれば、それが自分に合った菌だと分かる。

・ 毎日コツコツと食べ続けることが大切

 プロバイオティクスには、便秘や下痢を改善する整腸作用がある。乳酸菌を摂取すると、大腸で乳糖などをエサにして大量の乳酸を作りだす。この乳酸が腸壁を刺激して腸の蠕動運動を活発にし、排便をスムーズに促してくれる。

 便がきちんと出るということは腸の環境が良くなったことであり、食欲アップや健康増進、免疫力向上にもつながる。

 ただし、外部から取り入れた乳酸菌は、それほど長くは滞在せず、排出されていってしまうため、毎日食べ続けることが大切だ。

・ オリゴ糖や食物繊維もいっしょに摂る

 オリゴ糖や食物繊維には、プロバイオティクスのエサになり、その働きを助ける役目があるので、いっしょに摂るようにすると効果的だ。オリゴ糖は、納豆や豆腐などの大豆食品や、ネギ、ゴボウ、アスパラガスなどの野菜にも含まれている。

 「ヨーグルトを食べているのに便秘がよくならない」という人は、水溶性食物繊維が不足している可能性がある。野菜や果物、海藻類に含まれる水溶性食物繊維は、腸内で溶けることで便通を改善させる。水溶性食物繊維が含まれる食品の多くはオリゴ糖も含まれている。
ヨーグルトとサプリメントのどちらが効果的?
 プロバイオティクスの健康増進の効果は近年注目されており、サプリメントも多く出回っている。しかし、サプリで摂るより食品で摂取した方が、より大きな効果を得られることが最近の研究で明らかになった。

 カリフォルニア大学の研究チームは、炎症性腸疾患を発症したマウスに、プロバイオティクスの一種であるカゼイ菌を含んだヨーグルトとサプリメントを投与する実験を行った。

 炎症性腸疾患は、大腸や小腸の粘膜に慢性の炎症や潰瘍を引き起こす病気だ。プロバイオティクスを摂取すると、腸内の炎症作用を抑える物質が増えると考えられている。

 実験では、カゼイ菌を摂取したマウスでは、いずれも炎症が抑えられたが、ヨーグルトを摂取したマウスの方が、サプリメントを摂取したマウスよりもより改善していた。

 「ヨーグルトは低温で保存されます。ヨーグルト中の乳酸菌の多くは胃酸によって死んでしまいますが、ヨーグルトが保存される温度が善玉菌にとって生き残りやすい環境をつくり、結果として整腸作用が高まりやすいと考えられます」と、マーコ氏は言う。

 ヨーグルトなどの乳製品にはタンパク質と糖分が含まれる。タンパク質が胃酸による攻撃から善玉菌を守り、増えやすくなる可能性もあるという。

 また、善玉菌が増殖するために糖分が必要だ。乳製品に含まれている糖分である乳糖は、胃で吸収されにくく、腸まで届き善玉菌のエサになりやすい。

 「ヨーグルトや牛乳、チーズなどの乳製品に含まれる乳糖を摂取すると、腸内の善玉菌が増えやすくなります。ヨーグルトの良さは、乳酸菌に加えて乳糖が含まれることです」と、マーコ氏は指摘している。

Milk does a probiotic good(カリフォルニア大学 2015年7月13日)
Dairy Products Boost Effectiveness of Probiotics(米国微生物学会 2015年7月17日)
[Terahata]
side_メルマガバナー

「健診・検診」に関するニュース

2023年08月09日
8020達成率は5割以上 若い世代の歯周病増、口腔ケアが課題に
厚労省「令和4年歯科疾患実態調査」より
2023年08月08日
若い世代でも「脂肪肝疾患」が増加 やせていても体脂肪が蓄積 肥満とどう違う?
2023年07月28日
2022年度版「健診・保健指導施設リスト」状況を報告します【保健指導リソースガイド】
2023年07月24日
標準体重でも3分の1は実は「肥満」 BMIは健康状態をみる指標として不十分 やせていても安心できない
2023年07月11日
自治体健診で高齢者のフレイルを簡便に判定 「後期高齢者の質問票」でリスクが分かる 「フレイル関連12項目」とは?
2023年06月20日
肝臓学会が「奈良宣言2023」を発表 肥満・メタボの人は「脂肪肝」にもご注意 検査を受けることが大切
2023年06月12日
自治体健診で「心房細動」を早期発見 健康寿命と平均寿命の差を縮める 日本初の「健康寿命延伸事業」 大分県
2023年06月05日
要介護認定リスクと関連の深い健診6項目が明らかに 特定健診・後期高齢者健診のデータから判明 名古屋市
2023年05月19日
令和4年度「東京都がん予防・検診等実態調査」 受診者増加のための取組み率は健康保険組合で85%に上昇
2023年05月18日
さんぽセンター利用の5割以上「健診結果の措置に関する説明力が向上」
-『令和4年度産業保健活動総合支援事業アウトカム調査報告書』-
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶