ニュース

「エゴマ」に非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を改善する効果

 エゴマに含まれる成分が「非アルコール性脂肪肝炎」(NASH)や、それに伴う肝細胞のがん化を抑制することを、名古屋市立大の研究グループがラットの実験で発見した。
エゴマの「ルテオリン」がNASHの進行を抑制、肝がんを予防
 エゴマはシソ科の植物で、日本でも古くから栽培されている。研究グループはエゴマの種に多く含まれる、抗酸化作用が強い「ルテオリン」に着目した。

 脂肪肝とは、肝臓を構成する肝細胞に中性脂肪がたまっている状態で、お酒の飲み過ぎで起こるアルコール性脂肪肝と、お酒を飲まない人にも起こる非アルコール性脂肪肝の2つに大きく分けられる。

 最近はメタボリックシンドロームの増加に合わせて非アルコール性脂肪肝が増えており注目されている。なかでも、肝臓に慢性的な炎症が起こる「非アルコール性脂肪肝炎」(NASH)の場合は、肝細胞が徐々に線維化して肝硬変へと進行していき、肝がんを発症する可能性が高くなる。

 NASHの発症や進行は、老化などに伴う肝細胞の酸化ストレスが関わっていることが分かっている。研究グループはエゴマの種に多く含まれ、抗酸化作用が強いフラボノイドである「ルテオリン」が予防に効くと考えた。

 研究チームは遺伝子操作でがんになりやすくした「老化ラット」を作成。NASHを引き起こす餌を3ヵ月間食べたラットと、この餌にルテオリンを加えたものを同じ期間食べたラットを比較した。

 その結果、ルテオリンを摂取した方は、NASHの進行が20?30%遅かった。また、老化ラットの肝臓では、正常と比べてがんのもととなる病変(前がん病変)が多く発生していたが、ルテオリンを摂取したグループではその数が半分程度に減っていた。

 このことから、老化状態では酸化ストレスがたまりやすく、NASHが進行する可能性が高いが、「ルテオリン」が酸化ストレスを抑えることで、NASHを予防することが明らかになった。

 研究チームは、NASHからがんが発生するとき、あるいはがん化した後に、増殖の維持に重要な役割を担っている遺伝子も発見した。

 研究は、名古屋市立大学実験病態病理学分野の内木綾助教らによるもので、英国の科学誌「カルチノジェネシス」電子版に発表された。

 「今回の実験はヒトにも応用できる。ルテオリンを含む食品やサプリメントの摂取が、NASHの予防に役立つ可能性がある」と、内木助教は述べている。

名古屋市立大学大学院医学研究科実験病態病理学
[Terahata]
side_メルマガバナー

「栄養」に関するニュース

2023年08月28日
極端な「糖質制限」や「脂質制限」は危険? 日本人に適した食事スタイルは? 8万人超を調査
2023年08月28日
カラフルな野菜を食べている人は認知症の発症が少ない ホウレンソウやブロッコリーを食べて認知症を予防
2023年08月28日
週末の「寝だめ」では平日の睡眠不足のダメージを回復できない 寝不足が心臓の健康に悪影響
2023年08月28日
高齢者の「フレイル」の発生リスクを40%低減 「要支援」の高齢者が通所系サービスを利用すると効果
2023年08月21日
朝食欠食が肥満やメタボのリスクを上昇 朝食を食べない人に共通する生活スタイルは?
2023年08月21日
ストレスを解消する簡単で効果的な方法 「みんなと楽しく食べる」「睡眠を改善する」
2023年08月15日
スマホやゲーム機で遊ぶ時間が長いと睡眠障害に 子供の言語力や認知力の発達が低下 食習慣も大切
2023年08月08日
若い世代でも「脂肪肝疾患」が増加 やせていても体脂肪が蓄積 肥満とどう違う?
2023年08月07日
【がん予防の経済効果】 がんのリスク要因を減らして1兆円超の経済的負担を軽減 生活スタイルや環境の改善が重要
2023年08月01日
肥満やメタボになりやすい生活習慣は子供のうちに身についている 子供の頃から保健指導が必要
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶