「機能性表示食品制度」対象成分の見直しを要望 日本生活習慣病予防協会

安倍晋三首相が「成長戦略の一丁目一番地」と述べる成長戦略の3本の矢の1つが「日本再興戦略」であり、「健康増進機能を有する食品・食材の開発・普及促進を図る」として機能性表示食品制度が策定、施行された。「特定保健用食品(トクホ)」、「栄養機能食品」に続く第3の健康食品となる。
機能性表示食品は、科学的根拠や安全性の確保などについて国の審査がなく、開発費や販売価格をトクホよりも抑えられ開発期間も短縮。トクホと似た機能性表示ができるので食品業界にとって期待度の高い新制度だ。しかし、業界への影響が大きく、消費者の健康に直接関わる制度であるため、管轄となる消費者庁の腰は重く、考査も慎重となっている。
同協会でも、ガイドラインが正式に発表される前は、食の有する健康増進機能の解明・評価や、健康増進機能を有する食材・食品の開発・普及促進を図ることのできる有意義な制度として評価していた。しかしながら、発表されたガイドラインでは、国民の栄養摂取の状況からみて、その過剰摂取が国民の健康の保持増進に影響を与えているものとして健康増進法で定める栄養素(脂質、飽和脂肪酸、コレステロール、糖類(単糖類又は二糖類であって、糖アルコールでないもの。)、ナトリウム)は、関与成分の対象外としていた。同協会では、「糖類や脂質などの栄養素は食生活改善の核となる。機能性を有している糖類や脂質を対象外に指定することには疑問がある」とし、見直しを求める要望書を提出した。
要望書では、「栄養学や食品素材の開発の進歩に伴い、安全性と機能性に優れる新しい機能性素材が開発されており、特に機能性の糖質は、古来よりある日本の発酵技術や酵素利用技術を利用して発展し、トクホの関与成分としても国民の健康増進に寄与しているものが多数ある。これらの素材の機能性発現に必要な摂取量(摂取目安量)は、食事摂取基準の範囲内で無理なく設定することが可能。健常者の健康増進を目的とした機能性表示食品を開発する場合においても、健康増進法施行規則第11条第2項で定める栄養素(脂質、飽和脂肪酸、コレステロール、糖類、ナトリウム)の過剰摂取につながる心配のない食品の開発が十分に可能」としている。見直し案として、ガイドラインp.3の「表 対象成分となり得る構成成分等」に糖類及び糖質の栄養素を追加し、必要に応じて適切な限定や条件を設けることを提言している。
機能性表示食品における機能性成分の対象条件見直しに関する要望書 ▶
表 機能性表示制度の制度趣旨に合致しながらも機能性成分として使えない素材
素材名 ※ | 素材の分類 |
L-アラビノース | 単糖(単糖類) |
希少糖含有シロップ (プシコース、ソルボース、タガトース、アロース等) |
糖類(単糖類) |
プシコース | 糖類(単糖類) |
パラチノース(イソマルツロース) | |
トレハロース | 糖類(二糖類) |
ガラクトオリゴ糖 | 糖質(オリゴ糖) |
フラクトオリゴ糖 (ケストース、ニストース、フラクトシルニストース等) |
糖質(オリゴ糖) |
キシロオリゴ糖 | 糖質(オリゴ糖) |
ラクトスクロース | 糖質(オリゴ糖) |
糖アルコール全般 (キシリトール、エリスリトール、マルチトール、還元パラチノース、ラクチトール、ソルビトール、マンニトール、還元水あめ、等) |
糖質 |
- 機能性表示食品の届出等に関するガイドライン(消費者庁)
- 機能性表示食品に関する情報(消費者庁)
- 食品の新たな機能性表示制度に関する検討会(消費者庁)
- 「機能性表示食品」を8割が認知 女性「疲労回復」「免疫強化」に関心
「栄養」に関するニュース
- 2021年01月26日
- 「脂肪肝」が手遅れになる前にスマホで早期発見 病気と認識してきちんと対策 「脂肪肝プロジェクト」を始動
- 2021年01月25日
- 「内臓脂肪」と「腸内細菌」の関係を解明 肥満の人で足りない菌とは? 腸内細菌のバランスが肥満やメタボに影響
- 2021年01月25日
- コレステロール高値で高尿酸血症のリスクが上昇 メタボリックシンドロームと高尿酸血症の関連に新たな知見
- 2021年01月22日
- 1月23日は、健康生活習慣『一無、二少、三多』の日です。 「全国生活習慣病予防月間2021」は2月1日よりスタートします!
- 2021年01月18日
- 「和食」が健康にもたらすメリットは多い 5割が「健康に良い」、8割以上は「和食が好き」
- 2021年01月18日
- 電解水素水が酸化ストレスと炎症を抑制する可能性 ストレス負荷に対する生体応答を調査
- 2021年01月14日
- 【セミナーレポート】今こそ"栄養のすすめ"-ウイルス、癌、認知症に打ち克つ力を!-Web配信中!健康と長寿によって、活力ある未来社会の実現を目指す「世界健康フォーラム2020」
- 2021年01月12日
- 犬の散歩は糖尿病予防のための「運動」になる? 糖尿病の犬の飼い主は糖尿病リスクが高い
- 2021年01月12日
- エビデンスに基づく保健指導の実現へ 健康診断のデータから生活習慣病の発症因子を推定 医療ビッグデータを解析する人工知能(AI)を開発
- 2021年01月05日
- WHOが「世界の死因トップ10」を発表 心臓病が1位に 糖尿病と認知症も上位に 食事と運動で予防・改善
最新ニュース
- 2021年04月16日
- 【健やか21】液体芳香剤の誤飲事故等に注意!(国民生活センター)
- 2021年04月13日
- 肥満や糖尿病は母から子へとうけつがれる 妊娠中の運動は子の肥満予防に メカニズムを解明
- 2021年04月13日
- 「腸内環境」が高齢化すると生活習慣病に関連する代謝物が増える 「腸内細菌叢」を若く保ち加齢疾患のリスクを低下
- 2021年04月12日
- 【子宮頸がんを予防する日】予防ワクチンの接種を受ければ9割の感染を防げる 定期的な検診で女性の未来を守れる
- 2021年04月12日
- 【新型コロナ】新型コロナワクチンの副反応 発熱・頭痛・倦怠感は接種2回目に大幅上昇 年代・性別で差があり高齢者では低い 厚労省中間報告
~保健指導・健康事業用 教材~
-
アイテム数は3,000以上! 保健指導マーケットは、健診・保健指導に役立つ教材・備品などを取り揃えたオンラインストアです。 保健指導マーケットへ