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認知症を抑える化学物質を発見 世界ではじめての薬になる可能性

 アルツハイマー型認知症で起きる脳内神経細胞の減少を抑える化学物質をみつけたと、国立長寿医療研究センター、理化学研究所、同志社大学の共同研究チームが発表した。
 この化合物は不整脈の治療に使われている薬に含まれており、臨床試験で効果と安全性が確認できれば効果的な新薬になる可能性がある。
認知症の進行を防ぐ薬の開発につながる成果
 アルツハイマー型認知症は、神経細胞内にある「タウ」と呼ばれるタンパク質が異常なかたちで集積して、神経細胞が減少することで発症する。

 最近の研究で、脳の機能低下には神経原線維の変化、神経脱落が伴うことが明らかになっており、これを抑制することで認知症の進行を抑えられると考えられている。

 研究チームは、実験マウスの脳でタウタンパク質の凝集過程を詳しく調べ、「オリゴマー」(分子の塊)を形成した状態「顆粒状タウオリゴマー」が、「タウ線維」の形成につながることを明らかにした。

 このタウ繊維が増えると、脳神経は構造が破壊され死滅していく。そのため「顆粒状タウオリゴマー」がつくられるのを防ぐ効果的な治療が求められている。

 研究チームは、理化学研究所が保管する天然化合物ライブラリーの中からタウが凝集するのを抑える化合物を探索した。

 その結果、不整脈や気管支ぜんそくの治療薬である「イソプロテレノール」にも含まれている化合物がタウ凝集を抑える効果があることをマウスの実験で確認した。

 実験は、タウが過剰に作られて認知症のような症状を起こすモデルマウスを使って実施。その結果、通常3ヵ月で神経細胞が目立って減少するが、イソプロテレノールを餌に混ぜて投与したところ、タウ線維がつくられなくなった。

 「タウ線維」がなくなると神経細胞は減少せず、脳機能の低下や行動異常も抑えられることを確かめた。

 アルツハイマー型認知症では、脳にタンパク質「アミロイドベータ」が蓄積することも分かっている。従来の薬の開発は、主にアミロイドベータに着目し行われてきた。現在国内で4種類の薬が承認されているが、症状の進行を確実に止め、回復する決定的な治療薬はまだない。

 「今回の研究では、タウに着目して効果的な新しい治療薬を開発することを目指している。認知症の進行を止める世界ではじめての薬になる可能性がある。人での効果をできるだけ早く明らかにしたい」と研究者は述べている。

認知症の治療薬開発に道拓く―「神経細胞脱落」の抑制実験に成功―(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 2015年12月16日)
[Terahata]

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