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40~50歳代の6割以上「60歳以上も働きたい」 でも「体力や健康に不安」

 「65歳以上」「70歳以上」でも働ける企業が増えており、40~50代の6割以上が「60歳以上も働きたい」と考えているという調査結果が発表された。「元気」な高齢者が増えているなか、60歳以降の「体力」や「健康」に不安を感じている人も多いことが示された。
65歳以上まで働ける企業は7割超
 厚生労働省が10月に発表した2015年「高年齢者の雇用状況」によると、希望者全員が「65歳以上まで働ける企業」は72.5%、「70歳以上まで働ける企業」は20.1%。いずれも比較できる2009年以降で過去最高だった。

 また、70歳以上まで働ける企業を規模別にみると、中小企業では前年比2,034社増の2万7994社。大企業では177社増の1,957社だった。

 高齢者雇用が増える一方で、最近は若手社員の離職率が高くなり、企業は人材がなかなか定着しない悩みを抱えている。それもあって、やる気や能力のある高齢者に定年後も継続して働いてもらおうと考える企業は増えている。人手不足が企業の高齢者雇用が進展する要因のひとつだ。

 もうひとつの要因に、2013年に施行された「改正高年齢者雇用安定法」がある。厚労省は65歳までの安定雇用を進め、高齢者が年齢にかかわりなく働き続けることができる「生涯現役社会」の実現に向けて、企業に「定年制の廃止」「定年の引き上げ」「継続雇用制度の導入」のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を講じるよう義務付けている。

 さらには最近の、安倍政権が掲げる「1億総活躍社会」の実現に高齢者雇用が合致することもあり、国をあげて高齢者の雇用環境の整備を後押ししている。
40~50代の6割以上が「60歳以上も働きたい」 意識調査
 40~50歳代の6割以上が60歳以降も「働き続けたい」という意向をもっているが、体力面の不安を抱えていることが、味の素が全国の40~70歳代の男女2,000人を対象に行った調査で分かった。

 調査では、40~50歳代の6割が「60歳以降も働きたい」と回答し、特に男性で高い傾向がみられた。また、全年齢層に「何歳まで働くと思うか」と尋ねたところ、40~50歳代は平均62.5歳だったのに対し、60~70歳代は平均70.7歳。当初のリタイア目標の年齢に達しても「まだ働ける」と考える人が多いことが示された。
 60~70歳代では、人生観と価値観に関して「社会や地域に役立つ人生を送りたい」「人との出会いやつながりを大事にしていきたい」という回答が多く、人や社会との関わりへの意識が強い傾向がみられる。

 さらに、この年代では、働いている人の方がリタイアした人に比べて「達成感ややりがいを感じられる人生を送りたい」「常に人生で挑戦していきたい」などの回答が高く、人生に対して高い意識を持ち続けているようだ。
60歳以降も働きたい、でも「体力や健康に不安」
 一方で、60歳以降の就業で「体力面に不安がある」と回答した方が6割を占めた。60歳以降も働く場合の不安の第1位は「体力的に続けられない」、2位は「健康を維持する」だった。体力面の不安が高く、特に40~50歳代では「体力的に続けられない」と回答した人は約7割に上った。

 3位は「ストレスがたまる、精神的に疲れる」、4位は「雇用先が見つからない」、5位は「自分に向いている仕事がない」だった。
 40~70歳代で、筋力・筋量の低下を引き起こす「ロコモティブシンドロームロコモ」よって、将来に「寝たきり」になるという不安を抱く人は7割以上。その一方で、何も予防対策を行っていない人は4割だった。

 「寝たきりの予防として行っている対策」については、「意識的に歩くようにしている」は4割程度、栄養摂取では、「五大栄養素」「タンパク質」の摂取が1割程度にとどまった。「行っていることはない」と答えた人が4割を超えており、運動や栄養摂取における課題が示された。

 この結果について、桜美林大学加齢・発達研究所の鈴木隆雄所長は「高齢者雇用を推進していく上では、体力面の維持向上が大変に重要となる」とコメント。

 「加齢に伴う心身の機能の減弱は避けられないが、危険な老化サインを見逃さずに予防をすることが重要。"足腰が弱い""つまずくことが多い""歩くスピードが遅い""片足立ちで靴下がはけない"という変化は、寝たきりになりやすい転倒のもっとも危険なサインといえる。60歳以降も、筋肉、骨、関節を維持して元気で働ける状態を長く保つためには、どのようなリスクがあるのかを見極め、適切に対処することが必要になる」と述べている。

平成27年「高年齢者の雇用状況」集計結果(厚生労働省 2015年10月21日)
いきいき健康研究所(味の素)
[Terahata]
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