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AEDを使い誰でも救命できる社会を目指して AEDを体感できるゲーム

 AED(自動体外式除細動器)を学校や駅、病院、役所、大規模な商業施設などで見かけることも多くなった。突然、心臓が止まって倒れた人を救うことができる医療機器だが、実際に使われたのはわずか4%というデータも出ている。
 そこで日本循環器学会などは、一般の人にAEDの使い方を体感してもらうことを目的に、サスペンスドラマゲーム「心止村湯けむり事件簿」をリリースした。
AEDは誰でも使える ゲームでAEDの使い方を学習
 AED(自動体外式除細動器)の利用が一般の人に許可されて今年で12年になる。急速に普及しているものの、目撃された心停止に対してAEDによる電気ショックが実施されたのは僅か4.0%にとどまっている。

 そこで「日本循環器学会 AED検討委員会」と「減らせ突然死プロジェクト実行委員会」は、一般の人に心臓マッサージやAEDの使い方を体感してもらうことを目的に、パソコンやスマートフォンで救命の緊迫感を体感できるサスペンスドラマゲーム「心止村湯けむり事件簿」をリリースした。ゲームを進めていくことで、救命のポイントを理解でき、救命が誰にでもできることを知ってもらえる内容になっている。

 心室細動は、血液を全身や肺に送り出す心室が痙攣するように細かく震える不整脈だ。心室細動が起こると心停止状態になり、脳にも血液が流れていかなくなるため、心室細動が起こると6秒間で失神し、3分間で脳が重いダメージを受け、命を落とすとされている。心臓が原因で起こる突然死の大半が心室細動によるもので、心臓病の発症リスクが高くなる40~50歳以降の人に起こりやすい。

 心室細動で倒れた人の心臓に電気ショックを与える「電気的除細動」で命を救うための医療器具がAEDだ。音声ガイドに従えば操作でき、心室細動かどうかも器具が判断し、必要がなければ電気は流れない仕組みになっているので一般の人でも使いやすい。1分を争う状況でそばにいる人たちがすぐにAEDを操作すれば、それだけ助かる確率が高くなる。

 今回リリースされたゲームは、探偵部部長の高校生エイドが、幼なじみの渡瀬ココロとともに訪れたある老舗旅館で、男性が突然倒れるシーンから始まる。倒れた男性の命を左右する問題を解いていくと、自然とAEDや心臓マッサージの方法が身につくという。ゲーム体験をきっかけに蘇生講習会を受講してもらうことも狙っている。

 「救えるはずの命を救うためには、AEDを迅速かつ的確に使える市民を増やすことが重要。これまで関心のなかった方々にも、このウェブコンテンツを通してAEDのポイントを理解してもらうことが、心臓突然死の減少につながる」と、同委員会は述べている。
学校での心肺蘇生教育の普及も必要
 「日本臨床救急医学会」と「日本循環器学会」は昨年10月に、学校での突然死をなくそうと、心肺蘇生を小学校から指導することなどを盛り込んだ提言を文部科学相に提出した。

 提言に提出後に、同学会は小学生の娘を突然死で亡くした女性らとともに文科省内で会見し、AEDの使用法を学ぶ学校教育の必要性を訴えた。

 心臓突然死から救える命を救うため「心肺蘇生、AEDの知識と技能を体系的に普及する必要があり、学校での心肺蘇生教育はその柱」と指摘。学習指導要領の中で教育の位置付けを強化して小学校から高校まで繰り返し学べるようにしたり、大学の教職課程で全学生を対象に心肺蘇生、AEDに関する実技研修を必修化することなどを求めた。

 2011年9月、さいたま市内の小学校に通う桐田明日香さん(当時小学6年生)が駅伝の練習中に突然倒れ、心停止となり死亡した。けいれんを起こし苦しそうに呼吸をしていた明日香さんを見て、現場にいた教員たちは「脈がある」「呼吸がある」と判断し、保健室にあったAEDは使われなかった。倒れてから11分後、救急隊が到着し心肺蘇生が開始され、電気ショックも行われたが救命することはできなかった。

 「この出来事は、どこでも起こりうることだ。AEDを設置するだけでなく、いざという時に使える危機管理体制を構築しておくことが重要」と同学会は述べている。

 日本スポーツ振興センターの「学校における突然死予防必携」によると、1999年度から2008年度までの10年間に、学校管理下における児童生徒等の死亡件数のうち、56.8%を突然死が占めている。全体の約5割、中学校、高等学校では約6割が運動に関係した状況下で発生していた。

 学校での心肺蘇生教育の重要性についての認識は広がりつつあるが、AEDについては「必要に応じてふれる」といった扱いだ。小学校からの教育を含め、知識だけでなく確実な心肺蘇生の実施、AEDの使用を目標とする教育体系の確立が急がれている。

学校での心肺蘇生教育の普及並びに突然死ゼロを目指した危機管理体制整備の提言(日本臨床救急医学会、日本循環器学会 2015年9月30日)
[Terahata]

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