ニュース

子どもの健康に家庭の「貧困対策」が大きく影響 4人に1人が「生活困難」

 東京都足立区は、子どもの健康と家庭の経済状況や生活習慣との関連などを調べる「子どもの健康・生活実態調査」の結果を発表した。家庭環境や生活習慣などの「変えていくことが可能な」要因により、子供の健康は大きく向上するという。自治体が貧困対策を目的にこうした大規模調査を行うのは全国ではじめて。
子どもの6人に1人が貧困状態 貧困対策が必要
 「平成26年国民生活基礎調査」によると、子どもの6人に1人が貧困状態にある。足立区は2015年度を「子どもの貧困対策元年」と位置付け、「足立区子どもの貧困対策実施計画」を策定し、全庁をあげた取組みを開始している。

 調査は昨年7月と11月、足立区立小学校全69校の1年生5,355人の保護者を対象に、区が学校を通じて無記名のアンケート方式で配布・回収。国立成育医療研究センターが集計・解析した。有効回答は4,291人(回答率80.1%)だった。

 調査では、(1)世帯年収300万円未満、(2)生活必需品の非所有(子どもの生活で必要な物品や5万円以上の貯金がないなど)、(3)過去1年間に水道・ガスなどのライフラインの支払いが困難だった経験がある――のいずれかが当てはまる世帯を「生活困難」世帯と定義。

 その結果、「生活困難」は4人に1人の24.8%に上り、このうち半数近く(11.6%)は世帯年収が300万円未満だった。

 その上で、朝食や運動、読書の習慣、虫歯の有無、家庭の経済状況など17項目について質問したところ、家庭の経済状況や環境が子どもの健康や生活に大きく影響することが判明した。
相談できる相手がいれば子供の健康状態は改善
 「生活困難」世帯では、5本以上の虫歯がある割合(19.7%)は、生活困難でない世帯の割合(10.1%)の約2倍。朝食を毎日食べる習慣のない子の割合(11.4%)は生活困難でない世帯の割合(3.5%)の3倍以上に上った。

 また、麻しん・風しん混合ワクチンの予防接種(自己負担なし)を受けていない割合(13.4%)も、生活困難でない世帯(7.4%)の約2倍に上った。

 子どもの医療費が無料(公費負担)であることをふまえると、経済的な理由だけでなく、保護者が子どもの健康に関心があるか否か、そのための時間を確保できるかどうかなどの要因が影響していると考えられる。

 さらに、たとえ生活困難であっても、保護者が困った時に相談できる相手がいれば、子供にはあまり健康問題があらわれないことが分かった。ワクチンを接種していない子どもの割合は、相談相手いる世帯(12.6%)は、相談相手いない世帯(20.4%)より少なかった。
生活困難でも家庭や生活で「変えられる要因」が大きい
 自己肯定感や自己制御能力など「逆境を乗り越える力」を測る調査も行った。その力が弱い子供の割合は、「生活困難」世帯では相談相手がいないと31.5%に上ったが、相談相手がいると12.0%に低下した。保護者が困ったとき相談できる相手がいる「生活困難」世帯では、逆境を乗り越える力が育まれることが判明した。

 生活困難が子どもの逆境を乗り越える力に与える影響の割合は15%で、このうち生活困難の間接的な影響は94%だった。そのうち割合が大きいのは「親の抑うつ傾向」(11%)、「朝食欠食」(8%)、「運動習慣」(8%)、「読書習慣」(7%)、「相談できる人」(5%)、「スナック菓子の摂取」(5%)だった。

 足立区には、区民の健康寿命が都の平均よりも約2歳短いという健康格差があり、その主な要因は2型糖尿病だという。そこで、区民の健康寿命の延伸に向けて、「足立区糖尿病対策アクションプラン」を策定し、糖尿病に重点を置いた取組みを展開している。

 2型糖尿病をはじめとする生活習慣病を予防するために、子どもの頃から正しい生活習慣を身につけることが効果的だ。しかし実際には、高学年になるにつれて肥満傾向児の割合が高くなるという。

 記者会見した近藤弥生区長は「子どもを取り巻く家庭環境や生活習慣などの"変えていくことが可能な"さまざまな要因がもたらす影響がより大きいことが明らかになりました。つまり、家庭環境や生活習慣などを変えていくことにより、生活困難の影響を軽減し、子どもの健康を守り育てていくことが可能ということです」と述べた。

子どもの健康・生活実態調査(東京都足立区 2016年4月22日)
[Terahata]

「地域保健」に関するニュース

2018年05月25日
2歳までの抗菌薬使用歴が5歳時のアレルギー疾患リスクに関連か―成育医療研究センター調査
2018年05月24日
2018年度東京CDE・CDS受験者用講習会7月より募集開始
2018年05月23日
「子宮頸がん」の抗ウイルス薬の開発に成功 年内に治験を開始する予定
2018年05月23日
「ミドリムシ」からメタボを改善する成分 「痩せるホルモン」を促進
2018年05月23日
「ヒアリ」の早期発見のためのキットを開発 水際対策での効果に期待
2018年05月23日
「高血圧」の治療で伝わらない説明 コミュニケーションのズレは深刻
2018年05月23日
「遺伝子検査」で糖尿病リスクが分かる 日本人4700人超を調査
2018年05月22日
食育の取り組みをエビデンスに基づいて整理、解説―農林水産省がパンフレット作成
2018年05月21日
「血糖トレンドの"読み方":AGP」を公開 血糖トレンドの情報ファイル
2018年05月17日
敗血症性AKIにおける急性腎障害マーカー L-FABPの可能性

最新ニュース

2018年05月25日
2歳までの抗菌薬使用歴が5歳時のアレルギー疾患リスクに関連か―成育医療研究センター調査
2018年05月24日
【健やか21】シンポジウム「スマホから離れて、夏休みを楽しもう」
2018年05月24日
2018年度東京CDE・CDS受験者用講習会7月より募集開始
2018年05月23日
「子宮頸がん」の抗ウイルス薬の開発に成功 年内に治験を開始する予定
2018年05月23日
「ミドリムシ」からメタボを改善する成分 「痩せるホルモン」を促進
2018年05月23日
「ヒアリ」の早期発見のためのキットを開発 水際対策での効果に期待
2018年05月23日
「高血圧」の治療で伝わらない説明 コミュニケーションのズレは深刻
2018年05月23日
「遺伝子検査」で糖尿病リスクが分かる 日本人4700人超を調査
2018年05月22日
【報告】産保PCのこれまで活動内容をポスター発表しました(第91回日本産業衛生学会)
2018年05月22日
【書籍プレゼント】『集団分析・職場環境改善版 産業医・産業保健スタッフのための ストレスチェック実務Q&A』を5名様にプレゼント
2018年05月22日
食育の取り組みをエビデンスに基づいて整理、解説―農林水産省がパンフレット作成
2018年05月21日
「血糖トレンドの"読み方":AGP」を公開 血糖トレンドの情報ファイル
2018年05月17日
敗血症性AKIにおける急性腎障害マーカー L-FABPの可能性
2018年05月17日
【健やか21】パンフレット『「食育」ってどんないいことがあるの?』
2018年05月16日
体重コントロールを成功させるシンプルな方法 必要なことは1つだけ
2018年05月16日
SNSの「自殺防止相談」に月に1万件以上 「対策強化月間」に実施
2018年05月16日
早期のアルツハイマー病「軽度認知障害」 日本人対象の研究で解明
2018年05月16日
やせていても糖尿病に? 筋肉が少なく脂肪がたまると高血糖に
2018年05月16日
「睡眠障害」が高血圧・糖尿病に関連 日本で最大規模の研究
2018年05月16日
トマトのリコピンはニンニクやタマネギで調理すると吸収されやすくなる
2018年05月15日
6割強が食中毒予防で「肉は水で洗う」に効果があると誤解-東京都の実態調査
2018年05月11日
【新連載】イラストで魅せる!健康啓発「見せ方」の工夫
2018年05月10日
【健やか21】SNS等に起因する被害児童の現状と対策の掲載(警察庁)
2018年05月08日
元気高齢者を「介護サポーター」に 介護予防の観点から社会参加を促進
2018年05月08日
米国糖尿病学会「立ち上がって運動しようデー」 8つの対策で運動推進
2018年05月08日
「鰹だし」で抗がん剤の副作用を予防 血管を拡張する作用を確認
2018年05月08日
【投票企画】プルーンレシピコンテスト開催中! 栄養を効率よく吸収できる「食べ合わせ」
2018年05月07日
大豆から食べる「大豆ファースト」で食後の血糖値の急上昇を改善
2018年05月07日
従業員のいる飲食店は屋内禁煙に~東京都・受動喫煙防止条例の骨子案
2018年05月02日
新入社員の健康教育や女性の健康啓発に最適 「働く人のための健康づくりシリーズ」指導箋
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
  • 週1回配信(毎週木曜日)
  • 登録者数 7,145 人(2018年05月現在)
登録者の内訳(職種)
  • 保健師 44%
  • 看護師 20%
  • 管理栄養士・栄養士 22%
  • その他 14%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶