ニュース

介護食品は「スマイルケア食」へ 「摂食・嚥下リハビリ」マップも公開

 農林水産省が、介護食品を新たな視点で見直した「スマイルケア食」の普及を図っている。一方で、食物をうまくのみ込めなくなる「摂食嚥下障害」の患者へのリハビリの促進も求められている。
スマイルケア食 介護食品を新たな視点で
 「スマイルケア食」は、農林水産省が2014年11月に発表した、「介護食品」を新たな視点でとらえ直した食品。噛むこと、飲み込むことが難しい人のための食品だけでなく、低栄養の予防につながる食品、生活をより快適にする食品という広い領域としてとらえたものだ。同省は、小売店などで商品を選択する際に活用できる早見表も策定した。

 加齢や体の障害のために噛む力や飲み込む力が弱くなると、食べることの楽しさが失われていくことがある。噛む力が弱いために、噛みにくい肉や繊維質の多い野菜を避けてしまったり、飲み込む力が弱いために、食品がのどにつかえたりむせてしまい、食べることが難しくなってしまうことがある。その結果、食べられる食品が偏ったり、食べる量が減ってしまうおそれがある。

 また、低栄養はサルコペニア(加齢に伴う筋力の減少、または老化に伴う筋肉量の減少)とも関連が深い。筋力低下・身体機能低下が引き起こされると、活動の程度や消費エネルギー量の減少、食欲低下につながり、さらに栄養不良の状態を促進させるという悪循環のサイクルに陥りやすくなる。
「自分の口で食べる」ことが重要
 国立長寿医療研究センターが、在宅療養患者の高齢者を対象に2012年に行った調査によれば、「低栄養」の人が37.4%もおり、さらに「低栄養のおそれあり」も加えた割合は、約7割に上る。低栄養は介護が必要な状態につながりやすい。

 健康を保って自立した生活をするためには、「自分の口で食べる」こと、必要な栄養素をきちんと摂ることが重要だ。介護が必要になった場合でもそれは同じで、できるだけ自分の口で食べることが健康の維持につながる。

 そこで農林水産省は「スマイルケア食」を、噛むことや飲み込むことなどの食べる機能が弱くなった人、低栄養の人、介護が必要な人などが、自分で食べる喜びを感じながら、必要な栄養素も摂れる食品として考案した。
「青」「黄」「赤」で色分け
 「スマイルケア食」では、消費者が状態にあった物を選べるよう、栄養状態が良くない人向けは「青」、かむことが難しい人向けは「黄」、のみ込むことが難しい人向けは「赤」のマークが設けられた。

 「青」では、噛むこと・飲み込むことに問題はないものの、健康維持上栄養補給を必要とする人向けの食品として自己適合宣言を認めた。「黄」は噛む力に配慮した食品の日本農林規格(JAS)の取得を、「赤」は嚥下困難な人向け食品を対象に規格を設けた消費者庁の許可制度「特別用途食品」をそれぞれ条件とし、他規格と連動したマークの周知と普及を進めていく方針だ。
農水省の後押しで普及加速へ
 製品化されたスマイルケア食の例を挙げると、やわらかいご飯やおかゆ、雑炊、リゾットなどの主食、肉じゃが、焼き魚といった和風の料理から、ハンバーグ、グラタンといった洋風の料理、麻婆豆腐やエビチリといった中華風の料理まで幅広くそろった主菜、煮豆やスープ、漬物などの副菜、ゼリーやプリン、果物などのデザートなど、さまざまなメニューが開発されている。

 高齢者の加齢に伴う味覚の変化に対応して、塩分を抑えながらもしっかりと味を感じられるように工夫したものがある。これらは、レトルト食品や冷凍食品などの形態で製品化されており、介護・福祉施設や配食サービス向けの業務用製品のほか、家庭用製品のラインナップも広がってきた。
「摂食・嚥下リハビリ」でQOLを高める
 摂食・嚥下障害は、高齢社会の到来とともに大きな問題になりつつある。原因としては、脳卒中、認知症やパーキンソン病などの神経や筋肉の病気、あるいは舌・咽頭・喉頭がんなどがある。

 摂食・嚥下リハビリは、栄養摂取の方法を確立することを目指し、食事や栄養摂取のスタイルを確立することが目標となる。

 食品を飲み込む時は、気道の入り口である喉頭蓋などが閉じて、飲食物は食道へ送られる。しかし、この動きがうまくいかないと、飲食物が誤って気道に入る「誤嚥」が起こりやすい。

 嚥下障害があると、食品や飲料などをうまく飲み込めなくなるだけではなく、誤嚥による肺炎(誤嚥性肺炎)や窒息などの問題が起こる。誤嚥を防ぐためには、食事の工夫以外にも、食べるときのケアや口腔ケアが重要だ。そこで「摂食・嚥下リハビリ」が必要となる。
「摂食嚥下関連医療資源マップ」を公開
 摂食嚥下の在宅リハビリは、まだ広く普及していない。専門職が歯科医、耳鼻科医、看護師、言語聴覚士、歯科衛生士などさまざまな分野にまたがっていることが普及を妨げる理由のひとつだ。

 そのため東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科の戸原玄准教授らの研究班は、厚生労働省の研究費を受け、摂食嚥下に携わる医療機関や介護事業所などを示すマップ作りに着手。専門の検査やリハビリを受けられる全国の医療機関などの情報を「摂食嚥下関連医療資源マップ」として公開している。

 掲載されているのは、全国の病院、歯科診療所、医科診療所、訪問看護ステーション、介護保険施設など。患者の住所を入力すると、近隣で摂食嚥下のリハビリを行う医療機関などを検索できる。▽嚥下訓練、▽嚥下内視鏡検査(VE)、▽嚥下造影検査(VF)、▽訪問可能などの条件で検索することも可能だ。

 「摂食・嚥下」に対応している全国の飲食店の一覧を見ることもできる。

スマイルケア食(新しい介護食品)(農林水産省)

摂食嚥下関連医療資源マップ
業務主任者:戸原 玄(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科高齢者歯科学分野、歯科医師)

関連する法律・制度を確認
>>保健指導アトラス【高齢者の医療の確保に関する法律(老人保健法)】
[Terahata]

「栄養」に関するニュース

2017年12月14日
「腸内環境」を整えアンチエイジング 腸内細菌の多様性が長寿の秘訣
2017年12月14日
「ビワの種」に天然の有害物質 「食べないで」と農水省が注意喚起
2017年12月13日
「糖尿病のクリスマスプレゼント」実施中 豪華商品と現金が当たります
2017年12月11日
女性は健康維持にバランスの良い食事や歯磨き習慣-中高年者縦断調査
2017年12月07日
米を中心とした日本型食生活が健康寿命を延ばす 食育健康サミット2017
2017年12月07日
糖尿病と肥満が80万人のがんの原因に 肥満が原因のがんは54万例
2017年12月07日
長野市が「ベジライフ宣言」で糖尿病対策 野菜から食べ30回噛む
2017年11月30日
【くるみpro更新情報】クリスマスプレゼント付き資料請求実施中!
2017年11月29日
食塩の摂取量を減らすと医療費を削減できる 「減塩」の効果は大きい
2017年11月29日
高カフェインの「エナジードリンク」で健康被害が 摂取の制限を検討

最新ニュース

2017年12月14日
科学的根拠に基づく「産業保健における復職ガイダンス2017」を公開
2017年12月14日
「腸内環境」を整えアンチエイジング 腸内細菌の多様性が長寿の秘訣
2017年12月14日
糖尿病リスクを減らすためには「運動を継続」することが必要
2017年12月14日
加熱式たばこも血管には有害 血管内皮機能が低下 「iQOS」で実験
2017年12月14日
「ビワの種」に天然の有害物質 「食べないで」と農水省が注意喚起
2017年12月14日
【健やか21】学校の管理下の災害 (平成29年版)の発行について
2017年12月13日
「糖尿病のクリスマスプレゼント」実施中 豪華商品と現金が当たります
2017年12月12日
未成年者のインフルエンザ罹患後異常行動に具体的な注意喚起を追加
2017年12月11日
女性は健康維持にバランスの良い食事や歯磨き習慣-中高年者縦断調査
2017年12月08日
【健やか21】不育症治療の助成について(Fuiku-Faboフイクラボ)
2017年12月07日
冬のウォーキングの効果を高める5つの方法 寒い冬には注意が必要
2017年12月07日
米を中心とした日本型食生活が健康寿命を延ばす 食育健康サミット2017
2017年12月07日
糖尿病と肥満が80万人のがんの原因に 肥満が原因のがんは54万例
2017年12月07日
長野市が「ベジライフ宣言」で糖尿病対策 野菜から食べ30回噛む
2017年12月06日
【HAMIQ】認知症の社会的処方箋/おもいやり災害食認証制度
2017年12月04日
【新連載】超高齢社会への提言「エイジング・リテラシー」(有料老人ホーム入居支援センター)
2017年12月02日
浮世絵風のポスターなどでインフルエンザ予防を呼びかけ(東京都)
2017年12月01日
【健やか21】思春期アンケート「高校生の性交経験と生活環境・保健指導」
2017年12月01日
「新たな自殺総合対策に向けて」へるすあっぷ21 12月号
2017年11月30日
「心が健康な人」を増やす・支えていくことが産業保健師ならではのメンタルヘルス事業の心得【産保PC第3回レポート】
2017年11月30日
【くるみpro更新情報】クリスマスプレゼント付き資料請求実施中!
2017年11月30日
ママから笑顔がきえるとき―文京学院大が産後うつ予防リーフレット作成
2017年11月29日
食塩の摂取量を減らすと医療費を削減できる 「減塩」の効果は大きい
2017年11月29日
「ウォーキング」で重要なのは継続 少し歩いただけで健康効果を得られる
2017年11月29日
高カフェインの「エナジードリンク」で健康被害が 摂取の制限を検討
2017年11月29日
「早食い」が原因で肥満やメタボに よく噛んで食べるための6つの対策
2017年11月29日
糖尿病の男性は「ED」(勃起不全)のリスクが高い EDは治療できる
2017年11月28日
【新連載】がん患者さんのアピアランス・サポート (みなとアピアランス・サポート相談室)
2017年11月27日
【健やか21】産後うつ予防リーフレット・動画公開(文京学院大学)
2017年11月27日
【保健師募集】研修制度充実・人財育成に力を入れている鶯谷健診センター
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
  • 週1回配信(毎週木曜日)
  • 登録者数 6,681 人(2017年12月現在)
登録者の内訳(職種)
  • 保健師 44%
  • 看護師 20%
  • 管理栄養士・栄養士 22%
  • その他 14%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶