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カロリーの摂り過ぎでなくてもメタボを誘引 原因の栄養成分が判明

 野菜に含まれる硝酸塩などが不足した食事を長期にわたり続けると、たとえ食べ過ぎやカロリーの摂り過ぎでなくても、メタボリックシンドロームを発症し、心臓病を併発して早死するおそれがあることが明らかになった。
 琉球大学がマウスを使った実験で明らかにしたもので、欧州糖尿病学会(EASD)が発行する医学誌「ダイアベトロジア」に発表された。
緑葉野菜に含まれる硝酸塩が不足するとメタボに
 琉球大学の研究グループは、マウスに野菜に多く含まれる硝酸塩・亜硝酸塩が不足した餌を長期間与え続けると、カロリー摂取量が少なくてもメタボリックシンドローム、血管内皮機能不全、心血管死が引き起こされることを明らかにした。

 硝酸塩は、ホウレンソウ、レタス、サニーレタス、サラダ菜、春菊、青梗菜などの緑葉野菜に含まれる。

 野菜は硝酸塩の主要な供給源で、食事で摂取する硝酸塩の60~80%は野菜に含まれる。野菜を多く食べるのが健康増進につながるメカニズムがまたひとつ明らかになった。
硝酸塩・亜硝酸塩が不足すると体重増加、インスリン抵抗性、内皮機能不全に
 内臓脂肪の蓄積を基盤とするメタボリックシンドロームは、心筋梗塞、脳卒中、2型糖尿病などのリスクを増加させる。発症の原因として、過食、運動不足、遺伝や加齢などの影響があるが、そのメカニズムは十分に解明されていない。

 一方、硝酸塩・亜硝酸塩は、以前は生体の恒常性の維持に寄与する一酸化窒素の代謝産物と考えられてきたが、最近の研究では、一酸化窒素の代謝と逆の経路が発見され、一酸化窒素の供与体であることが明らかになり、その新しい役割が注目されている。

 研究グループは、食事中の硝酸塩・亜硝酸塩の不足がメタボリックシンドロームを引き起こすという仮説を実証するため、1週間から22ヵ月にわたり、硝酸塩・亜硝酸塩が含まれない飼料を与えたマウスと通常飼料を与えたマウスを比較した。両群で摂取カロリーを同じにした。

 その結果、硝酸塩・亜硝酸塩が含まれない飼料を3ヵ月与えられたマウスは、内臓脂肪蓄積、高脂血症、耐糖能異常を発症した。さらに、18ヵ月与えられたマウスでは、体重増加、高血圧、インスリン抵抗性、内皮機能不全を発症、22ヵ月与えられたマウスでは、急性心筋梗塞による死亡を含む心血管死が引き起こされた。

 これらの異常は、内皮型一酸化窒素合成酵素発現の低下、アディポネクチンの低下、腸内細菌叢の異常と有意に関連しており、これらのメカニズムによってメタボリックシンドローム、血管内皮機能不全、および心血管死が引き起こされると考えられている。
野菜を積極的に食べて「沖縄クライシス」を解消
 研究は、琉球大学大学院医学研究科薬理学の筒井正人教授、喜名美香大学院生、坂梨まゆ子助教らの研究グループによるもので、欧州糖尿病学会(EASD)が発行する医学誌「ダイアベトロジア」に発表された。

 近年、沖縄県民の健康レベルは危機的状況にあるという。1985年に沖縄県の平均寿命が世界一となり、1995年に世界長寿地域宣言が発表されたのもつかの間、わずか5年後の2000年には男性の平均寿命が全国第26位に急落した(沖縄クライシス)。

 一方で、伝統的な食事スタイルを守っているお年寄りは今も長寿である一方で、働き盛り世代の突然死が全国トップという二極化が起きている。

 その要因は、肉食に偏った米国型の食事スタイルが本土より約20年先行して流入し、メタボリックシンドロームが増加して動脈硬化性疾患が増加したことだという。

 沖縄県の野菜摂取量は全国最下位レベル、メタボリックシンドロームの有病率は突出して全国第一位、急性心筋梗塞の有病率も全国トップレベルにある。

 研究グループは、野菜を摂取することが、これらの疾患を抑えられることを、科学的エビデンスをもって沖縄県民に広く示したいと述べている。

 沖縄県産野菜の消費拡大と農産業の振興にもつながり、沖縄県のメタボリックシンドロームの征圧と健康長寿の復活が期待できるとしている。

琉球大学大学院医学研究科薬理学
Long-term dietary nitrite and nitrate deficiency causes the metabolic syndrome, endothelial dysfunction and cardiovascular death in mice(Diabetologia 2017年3月28日)
[Terahata]

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