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「ヨーヨーダイエット」を防ぐために 短期間の体重の変動は危険

 体重が短期間で大きく変動する「ヨーヨーダイエット」は、予想以上に危険であることが、さまざまな研究で明らかになっている。「ヨーヨーダイエット」を防ぐための対策も提案されている。
減量後のリバウンドは実は危険
 肥満や過体重の人が体重を適正にコントロールすると、2型糖尿病や高血圧、脂質異常症などが改善し、寿命も延ばせることは科学的に分かっている。

 そのため、健康のために「なるべく手っ取り早く痩せよう」と考える人は多い。最近、短期間で痩せられるダイエットが宣伝されて注目を集めているのも、そのためかもしれない。

 低炭水化物ダイエットと運動を組み合わせた方法は短期的には効果があるが、減量に成功してテレビなどに登場する芸能人のその後の様子をみると、かなりの割合でリバウンドをしているようだ。

 このように体重が短期間で大きく変動するダイエットは「ヨーヨーダイエット」と呼ばれている。それが増加であれ減少であれ、体に悪い影響を与えるということが分かってきた。

 肥満ではない人であっても、この「ヨーヨーダイエット」は健康に悪影響をもたらすという研究が、昨年の米国心臓病学会(AHA)の年次集会で発表された。体重を適正に落とすことは重要だが、リバウンドするような方法では、かえって逆効果のこともあるようだ。
ヨーヨーダイエットで死亡リスク3.5倍も
 体重を5kg以上減らした後で元に戻した女性は、体重が安定している女性に比べ、心臓突然死のリスクが3.5倍に高まることが、米国のブラウン大学附属病院の研究チームによる調査で明らかになった。

 研究チームは研究では閉経後の女性15万8,063人を対象に、平均11.4年追跡して調査した。体重データをもとに「安定」「増加」「減少」「増減を繰り返す」の4種類に分類した。

 その結果、正常体重内で体重の増減を繰り返す「ヨーヨーダイエット」をしている女性は、冠状動脈性心疾患の死亡のリスクが66%増加することが判明した。一方で、体重増加後、または体重減少後に元に戻らなかった女性では死亡リスクは増加しなかった。

 中年期に肥満や過体重になると、心臓病で死亡する危険性が上昇するが、その原因には2つのタイプがあるという。(1)ひとつめは、心臓へ血液を送っている血管が脂肪などによってブロックされ血流が減少する「冠状動脈性心疾患」。(2)ふたつめは、心臓の電気システムが突然動作を停止し心臓死を迎えるタイプ。

 「減量した体重を長期間にわたって維持することが重要です。生涯にわたって適切な体重を保つために必要なのは、健康的な生活習慣を続けることです」と研究者は述べている。
心筋梗塞や脳卒中のリスクが上昇
 ニューヨーク大学医療センターの研究では、「心筋梗塞などを起こした患者さんが、その後数年間で大きく体重の変動を起こすと、心筋梗塞や脳卒中などが増えて寿命にも悪影響がある」ことが明らかになった。この研究は「ニュー イングランド ジャーナル オブ メディシン」に発表された。

 研究チームは、コレステロール降下薬のスタチンの効果を検討した臨床試験に参加した患者9,509人を対象に、健康状態と体重の変化を4年間以上にわたって追跡し、「ヨーヨーダイエット」の影響を調べた。

 その結果、極端な体重変動がみられる人は、心血管疾患や心筋梗塞、心停止、血行再建術の施行や閉塞性動脈硬化症、狭心症、脳卒中、心不全を起こしやすいことが分かった。

 体重変動幅が最も大きい人では、変動幅が最も小さい人に比べて、死亡リスクは24%、心筋梗塞リスクは17%、脳卒中リスクは36%、それぞれ上昇した。
骨量も低下 生活の質に重大な影響
 米国のオレゴン州立大学の研究によると、迅速で顕著な減量は骨量や筋肉の減少の引き金にもなる。

 骨量の低下は、特に高齢者で骨折リスクを高め、生活の質に重大な影響を及ぼす可能性がある。

 骨損失の問題は「ヨーヨーダイエット」で問題になりやすい。というのは一度骨量を減らすと、その後体重が増えても減った骨量は戻らないことが多いからだ。

 また、ダイエット目的で食事制限だけを行い運動をしないと、脂肪だけでなく筋肉も少なくなってしまう。

 摂取カロリーは減らしても、体を構成するタンパク質や、カルシウムを含めた栄養素はしっかりとる必要がある。
なぜヨーヨーダイエットが起こるのか 原因1「ホメオスタシス」
 「ヨーヨーダイエット」が起こるのには、本人の意思の強さの問題だけでなく、体の仕組みも関係している。

 その原因のひとつは「ホメオスタシス」という体の機能。これは、体に少量のエネルギーしか入ってこない場合、エネルギー消費を減少させて体を維持する機能のこと。

 食事によるダイエットを行うと、はじめのうちは順調に体重が減るが、ある時期になると体重がなかなか減らなくなることがある。

 減量中に「ホメオスタシス」の機能が働くと、食事の量にともなってエネルギー消費量も減少するので、それ以上体重が減らなくなる。

 その場合、ダイエットをあきらめて食事の量を元に戻しても、エネルギー消費が以前より減少しているので、体脂肪が付きやすくなるおそれがある。
ヨーヨーダイエットの原因2「レプチン」
 もうひとつの原因は、脳に作用して食欲に影響する「レプチン」という生理活性物質の働きだ。

 レプチンは脂肪細胞で作られ、太って脂肪細胞が大きくなると分泌量が多くなる。反対に、痩せている場合は分泌量が少なくなり、脳は「栄養が不足している」と判断して食欲が増進する。

 体重を急激に減らした場合、レプチンの分泌量も急速に減り、脳がそれを感知して食欲を増進させるのでリバウンドを起こしやすくなる。
ヨーヨーダイエットの原因3「腸内フローラの乱れ」
 「ヨーヨーダイエット」が起こる背景には、腸内フローラの乱れもあることが、イスラエルのワイツマン科学研究所の研究で明らかになった。

 研究チームは、肥満のマウスに減量をさせると、腸内の微生物叢が変化することを突き止めた。

 フラボノイドとは、野菜や果物などの植物に含まれている色素、苦味成分であり、ポリフェノールのひとつ。

 このフラボノイドは腸内の微生物叢によって分解され、体に吸収される。減量をするとこの微生物叢が減り、フラボノイドを吸収しにくくなる。

 「ヨーヨーダイエット」のめたにフラボノイドが低濃度になると、脂肪由来のエネルギー消費が妨げられ、高カロリー食によって余分な脂肪が蓄積するという。
「ヨーヨーダイエット」を防ぐための対策は
 米国心臓病学会(AHA)によると、「ヨーヨーダイエット」を防ぐためには、体重をゆっくり減らしていくことが大切だ。

 目安として、1か月に0.5~1kgずつ減らしていくと、リバウンドが起こりにくくなる。3ヵ月で1.5~3kg、1年では5kg程度のペースだ。

 生活習慣を改善するために行動の目標を立てても、実行できないことで自己嫌悪に陥り、それがストレスとなってダイエットが続かない人もいる。そうならないために、無理なく続けられる目標を立てることも大切だ。

 日本肥満学会は、肥満やメタボリックシンドロームの対策として、食生活の改善と運動の増加をはかり、まずは3kgの減量、3cmのウエスト周囲径(へそまわり)の短縮を実現することを提案している。

 AHAは無理なく減量を成功させるために、「ライフ シンプル 7」を提唱している。このプログラムでは、(1)血圧をコントロールする、(2)コレステロールをコントロールする、(3)血糖値を下げる、(4)運動をし活動的になる、(5)食生活を改善する、(6)適正な体重を維持する、(7)喫煙をやめる――を勧めている。

Yo-Yo dieting dangerous even if you're not overweight(米国心臓病学会 2016年11月15日)
'Yo-Yo' Dieting Does No Favors for Your Heart(ニューヨーク大学医療センター 2017年4月5日)
Body-Weight Fluctuations and Outcomes in Coronary Disease(ニュー イングランド ジャーナル オブ メディシン 2017年4月6日)
Gene therapy could aid weight loss without affecting bone loss, new research finds(オレゴン州立大学 2015年10月21日)
Gut Microbes Contribute to Recurrent "Yo-Yo" Obesity(ワイツマン科学研究所 2016年11月24日)
Yo-Yo Dieting: Blame Microbiome and Fewer Flavonoids(PLoS Blogs 2016年11月24日)
[Terahata]

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