ニュース

がん患者の家族が経験する葛藤の実態 がん患者支援に向けた調査結果

 進行がん患者の家族が経験する家族内の葛藤の実態について、筑波大学と東北大学の研究グループが調査結果をまとめた。
 緩和ケア病棟で最期を迎えた患者の家族のうち、約40%が何かしらの家族内の葛藤を経験している。
がん患者の家族が経験した葛藤の実態を調査
 がん患者の家族が経験する葛藤は、がん患者の苦痛や寂しさ、そして、介護者の負担感、抑うつ、悲嘆などに影響し、がん患者と家族のQOL(クオリティ オブ ライフ)に影響すると考えられている。

 しかし、がん患者の家族がどのような葛藤を経験しているか、どのような家族に葛藤が多いかといったことは明らかになっていない。

 そこで筑波大学と東北大学の研究グループは、緩和ケア病棟で最期を迎えたがん患者の家族が経験した葛藤の実態について検証を行った。

 今回の研究は、ホスピス緩和ケアに関する研究や啓発活動を展開している「日本ホスピス緩和ケア協会」の事業である「J-HOPE2016研究」の付帯研究として実施された。同研究は、日本のがん患者の緩和ケアの質を評価するために、遺族を対象に行われている全国調査だ。

 調査は、国内の71ヵ所の医療機関の緩和ケア病棟で、2016年1月31日以前に亡くなった患者の遺族を対象に行われ、458名が解析対象となった。

 調査では「OFC scale」(Outcome-Family Conflict scale)を用いて家族内の葛藤について評価した。「OFC scale」は、がん患者の終末期に家族が経験する葛藤を評価するための8項目で構成される評価スケール。
がん患者の40%が家族内の葛藤を経験
 その結果、緩和ケア病棟で最期を迎えた進行がん患者の家族のうち、約40%が何かしらの家族内の葛藤を経験していたことが分かった。

 「自身が本来果たすべき役割を十分にしていない家族がいると思うことがあった」「患者の治療方針に関することで意見が合わないことがあった」については、20%以上の遺族が「とても良くあった」「よくあった」「時々あった」と回答した。

 さらに、「遺族の年齢が若い場合」「家族内で意見を強く主張する人がいた場合」「病気後に家族内でのコミュニケーションが十分に取れていなかった場合」に、家族内の葛藤が増えることが示された。

 一方で、「病気前に交流がなかった家族と連絡をとるようになった場合」に、家族内の葛藤が減ることも分かった。
家族内の葛藤に気付くことが、進行がん患者の家族の支援につながる
 これらの結果から、緩和ケア病棟で最期を迎えた進行がん患者の家族は、家族内で葛藤を経験することが少なくないことが分かり、家族の年齢、家族内の関係性やコミュニケーションの状況が、家族内の葛藤の有無に関係する可能性があることが示された。

 これらの知見から、医療従事者などが、家族内の関係性やコミュニケーションの状況を理解して関わることが、家族内の葛藤の有無に気付くことに役立ち、進行がん患者の家族への支援、そして、患者、家族のQOLの向上につながると考えられる。

 ただし、今回の研究では、患者が亡くなった後に家族の記憶を頼りに回答してもらっている点、病気になる前の家族内の関係性やコミュニケーションの状況が評価できていない点など限界があり、今後のさらなる展開は必要だという。

 研究は、筑波大学医学医療系の浜野淳氏、東北大学の宮下光令教授らの研究グループによるもの。研究成果は、米国精神腫瘍学会・英国精神腫瘍学会・国際精神腫瘍学会の論文誌「Psycho-Oncology」オンライン版に発表された。

日本ホスピス緩和ケア協会
日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団
筑波大学医学医療系
[Terahata]

「保健指導リソースガイド」に関するニュース

2018年06月05日
【連載更新】「今日は〇〇の日」「○○週間」を活用していますか?
2018年05月29日
【リーフレット配布ご協力お願い】外見ケアに悩んでいる方へ「みなとアピアランスサポート相談室」
2018年03月28日
「糖尿病予備群向けの重症化予防プログラム」を開始 日本生命
2018年03月19日
東京の糖尿病療養指導を担う「東京CDE」と「東京CDS」 新年度の活動
2018年02月15日
人工知能(AI)で「胃がん」を早期発見 98%の精度で「熟練医に匹敵」
2018年01月05日
[ 2/7 市民公開講演会参加者募集中!] 全国生活習慣病予防月間2018
2017年12月13日
「糖尿病のクリスマスプレゼント」実施中 豪華商品と現金が当たります
2017年11月24日
【30名限定】すろかろアンバサダー第1期の募集をスタートします!
2017年10月23日
10代でも"スマホ老眼"が増加?―養護教諭対象のアンケートで明らかに
2017年10月02日
【専門職向け】プルーン健康啓発サンプル・資料の受付開始しました

最新ニュース

2018年06月22日
「葉酸」は妊娠"前"からの摂取が重要です!「妊活中から葉酸をとろう」(指導箋)
2018年06月22日
【健やか21】母子保健指導者養成研修会 受講申込 受付開始
2018年06月20日
「老年医学推進5ヵ年計画」を学会が発表 人生100年時代の高齢者医療
2018年06月20日
低脂肪の食事で女性の「乳がん」リスクが低下 死亡リスクも低下
2018年06月20日
アブラナ科野菜は「台所のドクター」 心疾患、脳卒中、がんのリスクを低下
2018年06月20日
メタボや肥満の人が「睡眠不足」を感じたら放置してはいけない理由
2018年06月20日
女性に多い「下肢静脈瘤」のリスク 認知度が低く受診放置が多い
2018年06月20日
梅雨に多い「梅雨だる」を6割が実感 症状を深刻化させないポイント
2018年06月20日
6月20日から「『ダメ。ゼッタイ。』普及運動」を全国各地で実施
2018年06月15日
女性の「やせ」をテーマにした教材が登場!「気にしてますか?やせすぎ注意」(指導箋)
2018年06月15日
【健やか21】イクメン企業・イクボスアワード2018募集中!
2018年06月13日
「早期乳がん」の70%は化学療法は不必要 乳がん治療に明るい選択肢
2018年06月13日
「女性特有の遺伝子」を発見 バストの大きさ、月経痛の重さに関連
2018年06月13日
日本の給食が「肥満」を減らす 給食実施率の増加で肥満が低下
2018年06月13日
水虫に対策するための8つの方法 高齢者の「白癬菌」は要介護のリスクに
2018年06月13日
糖尿病学会でウォークイベントを開催 特別な運動でなくとも効果的
2018年06月12日
厚労省が禁煙支援マニュアルを増補改訂―社会情勢の変化に合わせて内容をアップデート
2018年06月08日
食育指導で使えるイラスト提供します(健やか親子21食育プロジェクト)
2018年06月08日
【連載更新】成人期の健康運動の考え方~体と心を感じる習慣づくり~
2018年06月07日
対談「女性と生活習慣病予防」一無、二少、三多で健康長寿
2018年06月06日
「笑い」が糖尿病やメタボ、がんを改善 よく笑うと健康効果を得られる
2018年06月06日
「高齢者」に医薬品を処方するときには注意が必要 厚労省が指針を通知
2018年06月06日
「高血圧」の治療がインフルエンザ対策に ウイルスの感染を防ぐ効果が
2018年06月06日
「子どもの貧困」が発育異常にも影響 子どもへの社会的な支援が必要
2018年06月06日
「歯周病」に対策 3ヵ月のプロジェクトでタクシー乗務員を意識改革
2018年06月05日
【連載更新】「今日は〇〇の日」「○○週間」を活用していますか?
2018年06月04日
【応募受付中】「でかメモ」アンバサダー募集!
2018年06月04日
健康スコアリングの詳細設計に関する報告書を公表―日本健康会議
2018年06月01日
プルーン食べ合わせレシピコンテスト実施中!骨の健康(プルーン × カルシウム) 
2018年06月01日
「健康・医療・介護の新潮流」へるすあっぷ21 6月号
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
  • 週1回配信(毎週木曜日)
  • 登録者数 7,257 人(2018年06月現在)
登録者の内訳(職種)
  • 保健師 44%
  • 看護師 20%
  • 管理栄養士・栄養士 22%
  • その他 14%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶