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ミカンのポリフェノールに緑内障の改善作用 酸化ストレスから網膜を保護

 ミカンに多く含まれるポリフェノールである「ヘスペリジン」に、網膜を保護する作用があることが、東北大学の研究で明らかになった。失明原因の第1位になっている緑内障の新たな治療法につながる可能性がある。
ミカンのポリフェノール「ヘスペリジン」に網膜を保護する作用
 緑内障は、網膜神経節細胞が障害されて視野が狭くなる疾患で、日本人の中途失明原因の第1位となっている。40歳以上の5.0%が緑内障を発症しているとみられる。

 緑内障は、網膜神経節細胞と視神経が障害されることで発症する。現在、科学的根拠のある治療法は、薬物、レーザーまたは手術による眼圧下降療法のみだが、日本の緑内障患者の多くは眼圧が正常範囲である「正常眼圧緑内障」であり、眼圧下降以外の治療法の開発が求められている。

 研究グループは、眼圧以外の緑内障へ影響を与える因子として酸化ストレスに着目し、41種の食品成分の中から、マウス培養網膜細胞に対して抗酸化作用を有する素材を調査した。

 その結果、ミカンの皮に含まれるポリフェノールの一種である「ヘスペリジン」がもっとも高い抗酸化能をもつことを発見した。

 網膜障害を誘導したマウスにヘスペリジンを投与したところ、投与しなかったマウスに比べて、生き残った網膜神経節細胞の数が多いことが判明。

 これは、酸化ストレスの指標である脂質過酸化物や細胞死を誘導するタンパク質の「カルパイン」の活性化、「炎症性サイトカイン」の発現を抑制することで、神経保護作用を示したためと考えられる。

 さらに、ヘスペリジンは網膜障害により生じる脳波の減弱や視力低下を防ぐことが電気生理実験や行動学的評価から明らかになった。

 今回の研究結果により、ヘスペリジンには網膜神経節細胞を保護する効果があることが分かった。

 ヘスペリジンは食品素材であり、サプリメントなどで内服することにより、緑内障性の網膜神経節細胞障害を軽減できる可能性がある。

 この研究は、東北大学大大学院医学系研究科眼科学分野の中澤徹教授らのグループによるもの。成果は科学誌「Scientific Reports」に発表された。

東北大学大大学院医学系研究科眼科学分野
The neuroprotective effect of hesperidin in NMDA-induced retinal injury acts by suppressing oxidative stress and excessive calpain activation(Scientific Reports 2017年7月31日)
[Terahata]
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