ニュース

座り続ける生活で死亡リスクは上昇 「30分ごとに体を動かそう」

 日常生活の中で座って過ごす時間が長過ぎると、早期死亡リスクが上昇するという研究結果を、米国のコロンビア大学医学部の研究チームが発表した。1回あたりの座っている時間が長い場合でも、死亡リスクは上昇するという。
 「30分ごとに立ち上がって体を動かすことをお勧めします」と研究者は述べている。
座ったまま時間が長いと糖尿病や心疾患のリスクは上昇
 1日に座ったまま過ごす時間は平均して50~70%に上る。座ったまま過ごす時間や頻度が多いと、運動不足や運動器の能力低下、心肺機能の低下などが引き起こされる。

 座ったまま過ごす時間を減らすことで、2型糖尿病や心疾患の危険性を減らすことができるという報告もある。

 米コロンビア大学医学部のキース ディアス氏らの研究チームは、座業中心の時間が1度に1~2時間に及ぶと、死亡リスクが上昇することを突き止めた。

 研究チームは、米国立衛生研究所(NIH)が出資して実施されている地域別、人種別の脳卒中研究プロジェクト「REGARDS」に着目。

 同プロジェクトの参加者のうち、45歳以上の男女7,985人の日常動作を、平均4年間にわたって追跡して調査した。

12時間以上座ったままの生活は危険
 一般的に座業中心の時間について考えるとき、毎日どれくらいの時間、体を動かさないで座ったままでいるかを考える傾向がある。

 しかし、過去の研究では、短い時間を何サイクルも座るのか、それとも長い時間座り続けているかといった生活パターンによって、健康への影響は変わっていくことが示されている。

 そこで研究チームは、対象者の腰に加速度センサーを装着してもらい、座って過ごす時間の長さを1週間にわたり計測した。

 その結果、座業中心の時間は平均すると、参加者が起きて活動している時間の77%を占めることが明らかになった。これは、時間にすると1日あたり12時間を超えている。

 調査期間中に死亡した人の数を原因にかかわらず合計すると340人だった。研究チームは、計測された座業中心の時間と座り方のパターンから死亡リスクを割り出した。

 その結果、1日に座っている時間の合計や、立ち上がらずに座り続ける時間が長くなるにつれ、死亡リスクは上昇する傾向がみられた。

 例えば1日に合計13時間以上座っているグループや、60~90分間の長い座業時間を繰り返しているグループでは、座ったまま過ごす時間が短かったり、ときおり立ち上がって体を動かしている人に比べ、死亡率が2倍に上昇した。

 もっとも死亡リスクが高かったのは、1日に計12.5時間以上座って過ごし、1度に30分以上座ることを繰り返していたグループだったという。
30分おきに運動すれば死の危険性を減らせる
 一方、1回の座業時間を30分未満のグループは、もっとも死亡リスクが低かった。

 「もしもあなたが長時間座ったまま仕事や生活をしなければならないのなら、30分おきに休憩をとり、体を動かすことをお勧めします。そうした行動変化によって、死の危険性を減らすことができます」と、ディアス氏は言う。

 座ったまま過ごす時間を減らすことで、糖尿病や心疾患の危険性も減らすことができるという。「半時間ごとに5分間立ち上がることを続ければ、1日の終わりにはだいぶ変わっていきます」と、ディアス氏は強調する。

 座るという行動が健康に影響を及ぼす仕組みは十分には解明されていないが、座り続けることで「運動器の能力が低下する」「インスリン感受性が低下する」「消費カロリーが低下する」「心肺機能が低下する」など、さまざまな影響がもたらされると考えられている。

 運動をすると筋肉が収縮し、細胞のブドウ糖の代謝を制御するATPという物質が活性化する。しかし運動不足が習慣化すると、ATPを作り出すミトコンドリアの活性と量が減少してしまう。
工夫次第で座ったままの時間は減らせる
 工夫次第で、座ったままの時間を減らすことができる。例えば、▽パソコンは机に置かずファイルキャビネットに置いて、立って操作する、▽会議や打合せは立ったまま行う、▽ランチの後はなるべく歩く、▽外出するときには、なるべく座らない、▽夜はテレビを立ったまま見るというといった工夫を積み重ねれば、立ったまま過ごす時間を増やすことができる。

 「生活の中で座る頻度を減らすことが、一見して奇異に見られることもありますが、立ったまま過ごす時間を増やすことで得られることが多いのです」と、ディアス氏は指摘する。

 「乗用車で移動するのが習慣となっている人が、移動を徒歩や自転車で済ますように切り換えるだけで、生活は多く変わっています。立ったまま過ごす時間を増やすことで、毎日30分の運動を習慣化することもできます」としている。

Long Sitting Periods May Be Just as Harmful as Daily Total(コロンビア大学医療センター 2017年9月11日)
Patterns of Sedentary Behavior and Mortality in U.S. Middle-Aged and Older Adults: A National Cohort Study(Annals of Internal Medicine 2017年9月12日)
[Terahata]
side_メルマガバナー

「保健指導リソースガイド」に関するニュース

2023年07月12日
【アルコールと保健指導】「飲酒量低減外来」についてのインタビュー/面談時に30秒でできるアルコール指導ツールの紹介
2023年07月04日
健康経営の推進に!課題解決に合ったものを探せる「健康管理システム」一覧をリニューアルしました【サイト情報】
2023年04月04日
【サイト情報】「よろず相談センター」終了のお知らせ
2023年02月20日
【サンプル提供】間食指導に♪糖類ゼロでおいしい甘さ「パルスイート® カロリーゼロ」&ヘルシーレシピ集
2023年02月10日
【オピニオン公開中】職域でのアルコール指導・減酒支援、多職種・チーム連携
2023年02月02日
【オピニオン公開中】「ナッジ」を応用した健康づくり 誰もが健康になる社会を目指して
2023年01月04日
【専門職の皆さまへ】特設ページ「アルコールと保健指導」をオープンしました 現場で役立つツールも掲載中
2022年11月17日
あなたと地球の健康のために禁煙を!~市民公開講演会・参加者募集中(参加費無料)~
―全国生活習慣病予防月間2023ー
2022年11月10日
【オピニオン公開中】職域の「禁煙」を確実に進めるために―「喫煙」対策の最新情報と「禁煙」の実践紹介―
2022年11月02日
業務課題は「対象者に合わせた保健指導」がトップに
―保健指導リソースガイド利用者アンケートよりー
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶