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「介護離職」は他人事ではない 「介護と仕事」で悩む人の不安を解消

 介護のために退職する「介護離職」が現在でも問題になっているが、近い将来、さらに深刻化する可能性がある。政府は「介護離職ゼロ」を目指して社会整備を加速していく意向を示しているが、対策は進んでいない。5人に1人が75歳以上という「超高齢社会」を迎える2025年を目前に、企業や社会に柔軟な対応が求められている。
誰が要介護者を介護するのか
 日本は世界に類をみないスピードで高齢化が進んでおり、65歳以上の高齢者人口が推計で3,500万人を超えた。2017年「介護保険事業状況報告」をみると、2017年の65歳以上要介護(要支援)認定者数は620万人だ。

 65歳以上75歳未満の前期高齢者が75万人、75歳以上の後期高齢者が545万人で、後期高齢者が全体の約9割を占めている。全高齢人口3,446万人の要介護等認定者率は18.0%だが、前期高齢者の4.3%に対して後期高齢者は7倍以上の32.1%に上る。

 増加する要介護者を介護するのは誰だろう。厚生労働省「2016年国民生活基礎調査」では、「主な介護者」は「同居する家族」が58.7%を占めた。同居家族の続柄は「配偶者」(25.2%)、「子」(21.8%)、「子の配偶者」(9.7%)となっている。

 これまで家庭内での介護の役割は、主に専業主婦の女性が担う傾向がみられた。しかし、兄弟姉妹数の減少による一人当たりの介護者にかかる負担の増大や、家庭内の役割分担意識の変化、共働き世帯の増加などから、働く男性も介護に携わる必要性が高まってきた。
7割強が「仕事と介護」の両立に不安を感じている
 厚生労働省委託事業の「2012年度仕事と介護の両立に関する労働者調査」によると、介護をする雇用者の年齢階級別構成割合をみると「40歳代・50歳代・60歳代」が全体の8割以上を占めている。

 男女各1,000人の正社員を対象とした調査では、仕事と介護を両立することに対して「不安を感じる(非常に不安を感じる、不安を感じる)」と回答した人が男性で74.4%、女性で79.8%を占めており、男女とも将来親の介護や手助けをする状況に直面した場合の不安が強いことが分かる。

 介護に関する具体的な不安としては、「公的介護保険制度の仕組がわからないこと」(53.3%)、「介護がいつまで続くかわからず、将来の見通しを立てにくいこと」(52.2%)、「仕事を辞めずに介護と仕事を両立するための仕組がわからないこと」(44.7%)が多く挙がっている。「勤務先の介護にかかわる支援制度がない、もしくはわからないこと」も39.1%に上る。
介護に関する具体的な不安
 また、現在、介護が必要な親がいない正社員のうち約4割が、今後5年間で親の介護などが必要になる可能性があると考えている。

 さらに、親の介護や手助けをしている中で、あるいはその状況に直面した場合、現在の勤務先で仕事を続けることができると思うかという質問に対して、「続けられないと思う」または「わからない」と回答した人は77.4%に上り、介護をしながら働き続けられる見込みを持っている人は22.1%にとどまる。
介護・看護を理由に離職・転職した人数
「仕事と介護」の両立に必要な支援
 「2016年度版高齢社会白書」によると、介護を理由に離職した人のその理由については、男性女性ともにもっとも多かったのが「仕事と手助け・介護の両立が難しい職場だったため」だった(男性 62.1%、女性 62.7%)。

 「自分の希望として手助け・介護に専念したかったため」も、男女ともに2割ほどいるものの、6割の人が介護と仕事の両立ができずに退職してしまっている状況にある。また、離職の際に就業の継続意向を調査したところ、男女ともに5割以上が仕事を「続けたかった」と回答した。

 仕事をしながら介護をしている人に「仕事と介護を両立するために必要な勤務先からの支援」について聞いたところ、もっとも多かったのが「出社・退社時刻を自分の都合で変えられる仕組み」(30.5%)で、次いで「残業をなくす/減らす仕組み」(29.4%)、「介護サービス利用費用の助成」(26.4%)だった。
介護を機に離職をした理由
介護休業制度の規定がある企業は9割
 では、もっとも希望の多い労働時間の短縮などの措置をしている企業はどれくらいの割合なのだろうか。「2016年度雇用均等基本調査」によると、介護休業制度の規定がある事業所の割合は、事業所規模30人以上では91.8%。

 ただし、この制度の導入状況は企業の規模により大きく異なり、従業員規模が500人以上で99.8%と高く、100~499人で97.2%、100~499人で97.2%、30~99人で90.4%、5~29人で68.6%と、規模が大きくなるほど規定がある事業所の割合が高くなっている。
仕事を辞めずに介護が続けられる条件
 介護と仕事の両立をめぐる現状はどうだろう。調査会社のインテージリサーチが35~59歳被雇用者2万人を対象に行った調査によると、働く人のほぼ4人に1人が、今後5年ほどまでの近い将来に介護を担うようになると考えている。現在家族を介護しながら働く人は5.3%、今後1~2年間に介護を担う可能性がある人を含めると11.1%、今後3~5年間を含めると24.4%だった。

 現在介護をしている人に支援者を聞いたところ、「同居の家族」(58.3%)、「公的な介護サービス」(46.6%)、「別居の家族」(30.0%)などだった。このまま仕事と介護を両立させていく見通しについては、「施設入所を考えている」(6.0%)、「仕事を辞めることを考えている」(4.4%)と両立が困難になっている人が1割ほどいた。

 仕事を辞めずに介護が続けられる条件を聞いたところ、8割以上の人が条件さえ整えば続けられると考えていることが分かった。条件として多かったものは順に、「施設などに入所し自宅の介護がなくなる」(48.3%)、「自身の心身のケアをする」(29.0%)、「公的サービスを十分に受ける」(28.3%)、「在宅勤務、フレックスタイム制など柔軟な働き方」(20.0%)など。

 高齢者の増加に伴い、介護を必要とする「要介護高齢者」も増加し、これら多くの「要介護高齢者」の「介護」をいかに担っていくかが大きな社会問題になっている。5人に1人が75歳以上という「超高齢社会」を迎える2025年を目前に、企業や社会に柔軟な対応が求められている。

平成28年国民生活基礎調査(厚生労働省)
仕事と介護の両立に関する労働者調査(厚生労働省委託事業)
平成28年度版高齢社会白書(内閣府)
企業における仕事と介護の両立支援実践マニュアル(厚生労働省)
インテージリサーチ
[Terahata]

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