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高齢者に手厚い社会保障 「全世代型」の社会保障へ転換を 厚労白書

 厚生労働省はこのほど、「平成29年版厚生労働白書」を公表した。社会保障が相対的に高齢者に手厚い構造となっており、現役世代の所得を向上させる対策を含め、「全世代型の社会保障」への転換を図るべきだとしている。

 白書の第1部では「社会保障と経済成長」をテーマに、国民生活の現状を所得や賃金の長期的な動向から分析するとともに、社会保障が果たしてきた役割や経済成長との関係などを整理。また、成長という視点から見た国民生活の安定への取り組みや就労と所得向上の支援などについて紹介している。

 第2部では子育て、雇用、年金、医療・介護など、厚生労働行政の各分野について、最近の施策の動きをまとめている。
高齢世代に手厚い日本の所得再分配機能
 「国民生活基礎調査」のデータをもとに、1994年~2014年にかけての家計所得の推移を分析したところ、世帯主30~50歳代の世帯では、低所得世帯の割合が増加している。40歳未満の「年間所得が300万円未満」の世帯は、1994年の30.3%から2014年は43.6%と増加した。30歳代や50歳代も同様の結果となっている。

 年間所得が700~900万円未満や1,000万円以上の世帯割合は減少している。また1世帯当たり平均総所得は591.6万円から558.9万円に、中央値も540万円から528万円に減った。白書では要因として「単身世帯や一人親世帯の増加」があると推測している。

 一方、65歳以上の高齢者世帯では、世帯総所得が「100万円未満」の世帯は減少したのに対し、「200万~500万円未満」の世帯は増加。1世帯当たり平均総所得は304.9万円から297.3万円とやや減少した。

 高齢者世帯では、低所得世帯割合の減少や中所得世帯割合の増加により、所得分布のばらつきは縮小している。白書は「年金制度が成熟化し、公的年金給付が所得の格差拡大を抑制している」と分析している。

 白書ではこうした現状を「所得再分配による等価所得の格差(ジニ係数)是正効果は、人口高齢化などを背景に近年高まる傾向にある」と解説。

 「日本の所得再分配機能は、現役世代に比べて給付面、負担面ともに高齢世代に手厚い構造になっている。今後は、現役世代の所得向上支援や全世代型の社会保障への転換を推進していくことが必要」としている。
高齢者支える現役世代 2025年には1人あたり1.9人に
 高度経済成長期に形成された「世代間再分配」、すなわち負担は現役世代中心、給付は高齢者中心という仕組みは、少子高齢化が進む中で、持続するのが難しくなっている。

 2015年に実施した社会保障に関する国民の意識調査によると、社会保障を維持するために、国民全体の60.6%が負担増はやむを得ないと考えている一方で、給付引き上げのための負担増をやむを得ないと考えているのは13.2%にとどまった。

 高齢者1人を支える現役世代の人数は大きく減少している。白書によると、2010年に高齢者1人あたり現役世代は2.8人いたが、2015年には2.3人。団塊の世代が75歳以上になる2025年には1.9人まで落ち込む。

 一方で、女性や高齢者などの労働参加を進めれば、非就業者に対する就業者の人数は増加する可能性がある。

 白書では「これまで労働市場に積極的に出てこなかった女性や高齢者など、多様な個人の労働参加と能力発揮を促すことが、生産性の上昇やイノベーションの創出にもつながり、経済成長を加速させる」と強調している。
技術の進歩が経済成長の原動力に
 健康・医療・介護分野では、技術の進歩が経済成長の原動力となり、課題への解決策をもたらす可能性を秘めている。

 質が高く効率的な新しい医療・介護のかたちをつくるためには、「ICT技術を活用した業務効率化や生産性・サービスの向上、研究開発・イノベーションの推進、ロボット技術による介護の質の向上や介護労働の負担軽減などをさらに進める必要がある」としている。

 加藤勝信厚生労働相は白書について、「高齢者のニーズに対応しながら、若い世代、子育て世代についても、待機児童の解消、幼児教育・保育の無償化、あるいは介護をしながら働ける環境づくり、介護現場で働く方々の処遇改善などに取り組む」と述べている。

平成29年版厚生労働白書-社会保障と経済成長-(厚生労働省)
[Terahata]

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