ニュース

運転中にたばこを吸うと交通事故による死亡リスクが1.5倍超に上昇

 喫煙習慣があると交通事故による死亡リスクが上昇するという前向きコホート研究の結果を、東北大学が発表した。男性ではたばこを1日20本以上吸うと、交通事故の死亡リスクが高まるという。
日本で運転中の喫煙が規制されていないのは不適切
 運転中の喫煙は、注意散漫や運転操作の不適による交通事故を増やす可能性があり、危険をともなう。世界には車内での喫煙を規制している国が少なくない。

 しかし日本では、運転中の携帯電話の使用は道路交通法で規制されているが、運転中の喫煙は規制されていない。

 東北大学の研究グループの調査は、男性では1日たばこを20本以上吸う男性は、非喫煙者に比べて、交通事故死亡のリスクが1.54倍高いという調査結果を発表した。

 「今回の研究は、交通事故死亡というこれまでと異なる観点からのたばこ対策を支持する結果になりました。交通事故は運転手や同乗者そして被害者がいる場合には、被害者にも大きな影響を与え、さまざまな経済的影響も生じさせます。そのため、今後も禁煙を含めた多角的な交通安全対策が必要であると考えられます」と、研究者は述べている。
関連情報
10万人対象の20年間の追跡調査で判明
 研究は、東北大学大学院歯学研究科国際歯科保健学分野の相田潤准教授らによるもので、「Journal of Epidemiology」オンライン版に発表された。

 これまでの研究で、喫煙はがんや循環器疾患などによる死亡リスクを高めることが報告されており、外因死との関連についても研究されている。しかし、外因死には転倒、交通事故、窒息、火災といった不慮の事故、他殺、自殺などの死亡が含まれており、交通事故による死亡と喫煙との関連を検討した研究は少ない。

 研究グループは、喫煙と交通事故死亡の関連について検討。茨城県内38市町村における基本健康診査受診者9万7,078人(40~79歳)を対象とし、1993年以降、生命予後を住民基本台帳や人口動態調査死亡票の情報を用いて、20年間追跡した。

 このうち追跡が可能だった9万6,384人(男性3万3,018人、女性6万3,366人)のデータを解析した。

 ベースライン時の問診票をもとに、喫煙状況を「非喫煙者」「過去喫煙者」「1日20本未満吸う現在喫煙者」「1日20本以上吸う現在喫煙者」に分類。追跡調査によって把握した交通事故による死亡の発生を目的変数とし解析した。
1日20本以上たばこを吸う男性は交通事故による死亡リスクが1.54倍に上昇
 その結果、交通事故による死亡は、男性の非喫煙者では7,335人中31人(1,000人年あたりのイベント発生率=0.24)、過去喫煙者では9,115人中46人(同0.30)、1日20本未満吸う現在喫煙者では5,125人中29人(同0.36)、1日20本以上吸う現在喫煙者では1万1,403人中62人(同0.32)だった。

 男性では、1日20本以上吸う現在喫煙者は、非喫煙者と比較して交通事故による死亡のハザード比が1.54倍に上昇することが判明した(95%信頼区間:0.99-1.39)。

 一方、女性では喫煙者の人数が少ないこともあり、観察期間中の喫煙者の交通事故死亡を認めず、統計解析を行うことができなかった。

 今回の研究結果により、飲酒状況などの交絡因子を調整しても、喫煙習慣が交通事故死亡のリスクを高める可能性が示唆された。
運転中の喫煙を規制すべきか?
 ただし、運転中の喫煙ではなく、ベースライン時の喫煙習慣を用いており、また、研究の交通事故死亡には、自動車による道路交通事故だけでなく、鉄道交通事故、水上交通事故、航空交通事故による死亡や歩行者の死亡なども含まれている

 ことから、今回の解析は喫煙と交通事故死亡の関連を過小評価している可能性があるという。

 日本では、健康増進法第25条一部改正案が閣議決定されるなど、たばこ対策が進められている。しかし、運転中の喫煙は規制されていない。

 「調査結果は、運転中の喫煙について、対策を検討する必要があることを支持する結果になった」と、研究者は述べている。
東北大学大学院歯学研究科国際歯科保健学分野
Does cigarette smoking increase traffic accident death during 20 years follow-up in Japan?: The Ibaraki Prefectural Health Study(Journal of Epidemiology 2018年5月31日)
[Terahata]

「保健指導リソースガイド」に関するニュース

2018年07月12日
運転中にたばこを吸うと交通事故による死亡リスクが1.5倍超に上昇
2018年07月10日
「熱中症」と「エコノミークラス症候群」を予防する方法 被災地で緊急課題に
2018年07月10日
高血圧・メタボは要注意 腎臓学会が「CKD診療ガイドライン2018」を発表
2018年06月05日
【連載更新】「今日は〇〇の日」「○○週間」を活用していますか?
2018年05月29日
【リーフレット配布ご協力お願い】外見ケアに悩んでいる方へ「みなとアピアランスサポート相談室」
2018年03月28日
「糖尿病予備群向けの重症化予防プログラム」を開始 日本生命
2018年03月19日
東京の糖尿病療養指導を担う「東京CDE」と「東京CDS」 新年度の活動
2018年02月15日
人工知能(AI)で「胃がん」を早期発見 98%の精度で「熟練医に匹敵」
2018年01月05日
[ 2/7 市民公開講演会参加者募集中!] 全国生活習慣病予防月間2018
2017年12月13日
「糖尿病のクリスマスプレゼント」実施中 豪華商品と現金が当たります

最新ニュース

2018年07月20日
【応募受付中】「パパコト」アンバサダー募集中!
2018年07月20日
【健やか21】避難所生活で健康に過ごすための注意点(厚労省)
2018年07月18日
高血圧に特化した「治療アプリ」を開発 介入の難しい生活習慣改善を支援
2018年07月18日
脳卒中は暑い夏に増える 日常生活の注意点と脳卒中予防10ヵ条
2018年07月18日
ワカメに食後血糖値の上昇を抑制する効果 白飯のGI値を低下
2018年07月18日
世界の8.5億人が「腎臓病」 腎臓病の恐ろしさを知らない人が大半
2018年07月18日
「入浴」に健康増進のプラス効果 週5回以上の入浴が心血管を保護
2018年07月18日
高血圧・糖尿病が「認知症」を加速させる 女性の腎臓病はリスクが高い
2018年07月17日
【新連載】「産業看護職のための地域保健との連携マニュアル」のご紹介
2018年07月17日
農林水産省が官民協働の「Let's!和ごはんプロジェクト」を開始
2018年07月13日
【健やか21】平成30年度 家族や地域の大切さに関する作品コンクール
2018年07月13日
街のみんなで子育てを! そんな想いを伝えてみませんか?
2018年07月13日
過労死等の労災補償状況を公表 -裁量労働制対象者の決定件数も
2018年07月12日
運転中にたばこを吸うと交通事故による死亡リスクが1.5倍超に上昇
2018年07月11日
健診・検診/保健指導実施機関 集計結果と解説(2017年度版)
2018年07月11日
【連載更新】中年期の健康運動の考え方~ありたい体と心を創る~
2018年07月10日
「熱中症」と「エコノミークラス症候群」を予防する方法 被災地で緊急課題に
2018年07月10日
高血圧・メタボは要注意 腎臓学会が「CKD診療ガイドライン2018」を発表
2018年07月10日
多用な暮らしに対応した食育の推進を~平成29年度食育白書
2018年07月10日
ママとパパが一緒に読める、育児学級テキストの決定版「子育ち支援テキスト」(書籍)
2018年07月06日
【健やか21】キャンペーンサイト『SNS被害 気づいて!SNS出会いにひそむワナ』(内閣府)
2018年07月05日
【メンバー募集】保健指導スタッフみんなで"創る"「HRG Labo」始動!
2018年07月04日
日本腎臓病協会が設立「腎臓病の克服を目指す」 成人の8人に1人がCKD
2018年07月04日
厚労省「健康寿命をのばそう!アワード 第7回 <母子保健分野>」の応募受付を開始
2018年07月03日
「ベジファースト」で肥満・メタボ対策 東京・足立区の取り組みが奏功
2018年07月03日
子育て中の親のスマホ依存が子どもに悪影響 スマホを置いて対話を
2018年07月03日
メタボや高血糖の原因は「恒常性維持機構」の異常 新たな治療法を開発
2018年07月01日
「どう防ぐ?どう対応する?職場のパワハラ」へるすあっぷ21 7月号
2018年06月29日
【健やか21】危害・危険情報「ジャンプ式折りたたみ傘でのけが」(東京都)
2018年06月29日
食卓から始めるお母さんと赤ちゃんの健康!「妊娠中に食べたいもの控えたいもの」(指導箋)
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
  • 週1回配信(毎週木曜日)
  • 登録者数 7,349 人(2018年07月現在)
登録者の内訳(職種)
  • 保健師 44%
  • 看護師 20%
  • 管理栄養士・栄養士 22%
  • その他 14%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶