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育児中の女性の孤独感 SNSなど双方向的な育児支援が必要 京都大

 育児中の母親の多くが孤独感を抱いていることが、京都大学の研究で明らかになった。「SNSでのつながりなど、双方向的な育児支援を検討する必要がある」と、研究者は指摘している。
育児中の女性が抱える孤独感 支援が必要
 育児中の母親を取りまく社会環境は、インターネット、SNSの普及によって変化している。仕事・家事・育児のすべてを母親ひとりで回す「ワンオペ育児」という言葉に象徴されるように、日本では孤独な育児が社会問題となっている。

 育児中の女性の孤独感は、母親自身の抑うつや健康状態の低下をまねくだけでなく、子どもの健康や虐待などに影響するおそれもある。

 京都大学は、育児中の母親の孤独感には、SNSでのつながりや、家族、友人との社会的つながり、経済的状況、対人関係のパターン、気分不安障害の可能性の有無が関連していることを明らかにした。育児中の女性に対する孤独感に関して、社会的要因として「インターネット上のつながり」を検討した研究は、これまでなかった。

 「内的作業モデル」は、母親などの親しい人との愛着関係が対人不安に与える影響を示す。加齢とともに安定性を増し、社会的行動・対人関係の基礎となるとされている。研究グループは、「内的作業モデル」と孤独感との関連も検討した。

 この研究は、京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 健康情報学分野の萬代真理恵氏(現・京都大学医学研究科附属ゲノム医学センター教務補佐員)、中山健夫教授、高橋由光准教授、家曽美里博士課程学生らの研究グループによるもの。詳細は「BMC Women's Health」オンライン版に掲載された。

関連情報
母親の孤独感に「経済的ゆとり」「社会的つながり」「対人関係」が影響
 研究グループは、滋賀県長浜市で、2014年7月28日~9月29日に乳幼児健康診査4ヵ月、10ヵ月、1歳8ヵ月、2歳8ヵ月児健診)を受診するために来訪した母親763名を対象に、無記名自記式質問票を配布。

 質問項目は、「改訂版UCLA孤独感尺度」(孤独感を測定する尺度、得点範囲は20~80)、内的作業モデル尺度の下位尺度である「SECURE(安定)尺度」(得点範囲は6~36で、高いほど他人からの援助を有効に活用できるとされる)、「K6」(気分不安障害の程度を測定する尺度、得点範囲は0~24)、「Lubben Social Network Scale短縮版」(社会的つながりの程度を測定する尺度、得点範囲は0~15)、通信機器と情報源の種類など71項目。

 分析は、孤独感得点を従属変数とし、「経済的ゆとり」、「健康状態」、「内的作業モデル安定型(対人関係のパターン)」、「託児の有無」、LSNS-6の4項目「家族」、「友人」、「ママ友」、「SNS」、「書籍雑誌利用頻度」、「スマートフォン使用時間」、「K6」、を独立変数とする重回帰分析を行った。回収した調査票638部(回収割合89.2%)のうち、欠測を除く523部(有効回答割合73.1%)を解析対象として分析した。

 その結果、対象者の孤独感尺度の平均値と標準偏差は36.1±9.7(得点範囲20~80)だった。孤独感は、経済的ゆとりの低さ、SNS、家族、友人との社会的つながりの低さ、対人関係のパターンを示す「内的作業モデル安定型」の低さ、気分不安障害の可能性と有意に関連していることが分かった。
若い母親の孤独感 全体平均よりも10ポイント近く高く
 また、対象者数は少なったが、ティーンエイジャーである若い母親の孤独感は、全体平均よりも10ポイント近く高く、より孤独感を抱えながら育児を行っている可能性があることが示された。

 「ティーンエイジャーである母親をハイリスク集団と認識して、医療機関と行政が連携を取って育児支援を考慮していくよう、今後提言していく必要がある」と、研究者は指摘している。

 また、研究の対象とはならなかったが、健診に来られなかった母親が健康や経済上の問題を抱えている場合は、今回の対象者よりも孤独感が高い可能性もあるという。

 今回の研究は横断研究であるため、SNSを利用した結果孤独感が減少するというような因果関係を示すものではない。しかし、「今後の育児支援を考えていく上で、SNSでのつながりを視野に入れての、双方向な情報提供支援を、公的または民間のサービスとして検討する意義を示している」と研究者は述べている。

京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 健康情報学分野 Loneliness among mothers raising children under the age of 3 years and predictors with special reference to the use of SNS: A community-based cross-sectional study(BMC Women's Health 2018年8月16日)
[Terahata]

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