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「糖尿病腎症」のリスクは糖尿病予備群の段階で上昇 検査で早期発見を

 「糖尿病予備群」の段階でも、糖尿病腎症が進展しているおそれがあることが、大阪市立大学の研究で明らかになった。
 糖尿病腎症は進行すると治癒しにくい。早期発見と治療が重要だ。
腎臓への負担は糖尿病予備群の段階ではじまっている
 腎臓への負担は、糖尿病と診断されるほどではないが血糖値が高くなる糖代謝異常と肥満のある「糖尿病予備群」の段階から始まっていることを、大阪市立大学の研究グループが明らかにした。

 予備群の段階であっても、肥満のある人は腎臓の糸球体の中の圧力(糸球体内圧)が高く、腎症の判断基準となるアルブミン尿が多いという。

 糖尿病腎症は透析の原因の第一位で、進行すると治癒しにくい。早期発見と治療が重要だ。

 研究は、大阪市立大学大学院医学研究科代謝内分泌病態内科学の津田昌宏氏、同大学腎臓病態内科学石村栄治特任教授らの研究グループによるもので、米国糖尿病学会が発行する「Diabetes Care」に掲載された。

関連情報
健診の尿検査や血液検査だけでは不十分
 現在、血液透析が必要な末期腎不全患者は32万人を超えている。末期腎不全に至る原因の40%以上が糖尿病だ。

 糖尿病を発症すると、網膜症、腎症、神経障害などの微小血管障害に伴う合併症や、心筋梗塞、脳梗塞などの大血管障害に伴う合併症のリスクがある。これらの合併症の進行にはインスリン抵抗性が深く関与している。

 このような合併症を引き起こさないためには、早期発見・早期治療介入が必要だ。

 しかし、職場や自治体の健康診断で行われる尿検査や血液検査だけでは、腎症がある程度進行してからでないと発見できない。
糸球体高血圧とアルブミン尿の関連を世界ではじめて解明
 糖尿性腎症を診断には「糸球体ろ過量」(GFR)と「アルブミン尿」の測定が必要となる。

 血液検査では、「血清クレアチニン値」を調べる。クレアチニンは腎臓が正常なら尿に出るが、腎臓の働きが低下すると血液にとどまる量が増える。クレアチニン値から推算するのがGFRだ。

 また、アルブミン尿は糸球体内圧が高くなり、過剰ろ過となることが原因で排出される。アルブミンは腎症のごく早期から尿に漏れるため、早期診断に役立てられている。

 腎臓では「糸球体」という小さい無数の組織で老廃物が取り除かれ、尿がつくられる。

 糖尿病に合併しやすい高血圧や高脂血症などの動脈硬化性疾患は糸球体内圧に影響する。

 糸球体内圧を直接測定するのは難しく、またインスリン抵抗性と糸球体内圧やアルブミン尿の関連性を調べるのも難しい。

 「イヌリンクリアランス」は、血清中のクレアチニンのクリアランス(腎臓が老廃物を排泄する能力)を計算し、腎機能をみる検査で、腎機能を正確に測定できる。

 研究グループは、イヌリンクリアランスやパラアミノ馬尿酸クリアランスや、血圧と血中の総タンパク濃度などから、計算式(Gomezの式)で計算し、糸球体高血圧を評価した。

 今回の研究で、糸球体高血圧とアルブミン尿の関連を世界ではじめて確認するのに成功した。
糖尿病や腎症の発症前に腎臓病の検査を実施
 「腎移植ドナー」は、移植医療で腎臓を提供するドナー。インスリン抵抗性が高くても糖尿病を発症していなければ腎移植ドナーになれる。

 研究グループは、合併症や既往歴、内服歴のない腎移植ドナー候補者に対しても、腎機能を正確に評価するため、イヌリンクリアランスおよび糖代謝異常の有無を検出するための75g経口糖負荷試験(OGTT)を施行してきた。

 インスリン抵抗性と腎臓の微小血管抵抗、アルブミン尿との関連性を調べることで、糖尿病や腎症の発症前にインスリン抵抗性と糸球体内圧およびアルブミン尿の関連について調べることが可能になった。

 研究グループは、日本臓器移植ネットワークに腎臓のドナー登録をしている人で、糖尿病と診断されていない男女54人の検査データを分析した。

 54人を肥満の有無、糖代謝異常の有無の組み合わせで4つのグループに分けて比較した。
糖尿病発症前に糸球体内圧が高値に アルブミン尿も
 その結果、肥満および糖代謝異常が両方ある群では、尿中アルブミン、糸球体の過剰ろ過の指標となる糸球体ろ過係数、糸球体内圧がいずれも上昇していることが分かった。

 また、肥満の程度を示す体格指数(BMI)、およびインスリン抵抗性と、糸球体内圧が強く関連性していることも判明。

 正常範囲内のアルブミン尿とBMI、インスリン抵抗性、糸球体内圧との間にも強い関連性がみられた。

 これらにより、2型糖尿病を発症する前の段階(境界型糖尿病)であっても、肥満がある場合は、糸球体内圧が高値(糸球体高血圧)となり、アルブミン尿が多いことが示された。
アルブミン検査をもっと幅広く実施する必要が
 今回の研究で、糖尿病予備群の段階でも、アルブミン尿やインスリン抵抗性、糸球体内圧の上昇といった、腎機能の悪化があらわれていることが判明した。

 糖尿病腎症は進行すると治癒しにくい。早期発見と治療が重要だが、尿中のアルブミン検査は、糖尿病と診断されていない場合は医療保険の適用外になっている。

 「アルブミン検査の保険適用対象を拡大するなど、糖尿病になる前から腎症をチェックできる仕組みが必要だ」と、津田氏は指摘している。

大阪市立大学大学院医学研究科代謝内分泌病態内科学・腎臓病態内科学
Association of Albuminuria With Intraglomerular Hydrostatic Pressure and Insulin Resistance in Subjects With Impaired Fasting Glucose or Impaired Glucose Tolerance(Diabetes Care 2018年9月)
[Terahata]

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