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【新型コロナ】今冬にはインフルエンザと新型コロナが同時に流⾏ 「両方の検査を」と日本感染症学会が提言

 今冬にはインフルエンザと新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が同時に流⾏する可能性がある。
 同時流行に備え、日本感染症学会は、診療所や病院の外来診療向けに診断・治療についての提言を発表した。
臨床症状だけで両疾患を鑑別診断するのは困難
 コロナウイルスの伝播モデルから推測したこれまでの研究で、次の冬季にCOVID-19の⼤きな流⾏が起こることが予測されている。

 インフルエンザとCOVID-19が同時に流⾏することが懸念されており、実際にはインフルエンザはCOVID-19よりも多くの患者数が予想されている。

 また、現在のところ、COVID-19を⼀般外来で抗ウイルス薬などで治療することは想定されていないので、今冬の発熱患者診療の治療の主体はインフルエンザとなる。

 そこで、⽇本感染症学会は、新たにインフルエンザ−COVID-19アドホック委員会を組織し、今冬に向けて提⾔を発表した。

 同学会は「臨床症状だけで両疾患を鑑別診断するのは困難」と指摘。外来診療の場で、確定患者と明らかな接触があった場合や、特徴的な症状(インフルエンザにおける突然の⾼熱発症、COVID-19における味覚障害や嗅覚障害など)がない場合、臨床症状のみで両者を鑑別することは難しいとしている。

 「COVID-19流行地域では、冬季に発熱患者や呼吸器症状を呈する患者を診る場合は、インフルエンザとCOVID-19の両⽅の可能性を考える必要がある」と指摘している。
COVID-19とインフルエンザの両⽅の検査を
 「臨床診断のみでインフルエンザとして治療を⾏う場合、COVID-19を⾒逃してしまうおそれがある」として、「原則として、COVID-19の流⾏がみられる場合には、インフルエンザが強く疑われる場合を除いて、可及的に両⽅の検査を⾏う」ことを推奨している。

 新型コロナとインフルエンザを合併する患者も報告されており、さらに鑑別診断を難しくしている状況もある。

 同学会は、検体をなるべく同時に採取することを推奨し、各流⾏レベルでのインフルエンザ様症状を呈する患者に対するSARS-CoV-2検査の適応指針を⽰している。

 一方で、SARS-CoV-2の検査の供給は限られているので、「流⾏状況により、先にインフルエンザの検査を⾏い、陽性であればインフルエンザの治療を⾏って経過を⾒ることも考えられる」としている。
流行レベルを4つのカテゴリーに分け検査の適応指針を示す
 同学会は、流行レベルを4つのカテゴリーを示し、それぞれのSARS-CoV-2検査の適応指針の⽬安も提示した。

 たとえば、医療機関がカバーする医療圏で「14⽇以内のCOVID-19発⽣例なし」、隣接する医療圏で「14 ⽇以内のCOVID-19発⽣例なし」などといった場合には、原則としてSARS-CoV-2検査は不要としている。

 しかし、医療圏で、「14日以内に感染経路が不明の新型コロナ発生例がある(クラスター事例を含む)」「14⽇以内に感染経路が不明のクラスタ−が複数発⽣している」などの場合は、「発熱がある場合には全例⾏うことが望ましい」としている。

COVID-19 流⾏レベルの定義の⽬安
出典:「今冬のインフルエンザとCOVID-19に備えて」(⽇本感染症学会、2020年)

各流⾏レベルにおけるSARS-CoV-2迅速診断キット(供給状況により核酸増幅検査)
の適応指針の⽬安

出典:「今冬のインフルエンザとCOVID-19に備えて」(⽇本感染症学会、2020年)
インフルエンザワクチン接種を強く推奨
 治療については、インフルエンザの早期診断・治療を推奨。医療関係者、⾼齢者、ハイリスク群の患者も含め、インフルエンザワクチン接種を強く推奨するとともに、各流⾏レベルにおけるSARS-CoV-2検査についても、「医療関係者、⾼齢者、ハイリスク者では、検査を積極的に検討」するべきだとしている。

 小児についてもワクチン接種を強く推奨している。「⼩児では発熱性疾患が多く、その他の重症疾患を⾒逃す可能性がある」と注意喚起している。

 ⼩児では、軽症者や無症状者が多いこと、検査が⾏いにくい場合があること、インフルエンザ以外にも多くの発熱性疾患があることにより、別項を設けて解説。

 「神経系疾患、遺伝性疾患、先天性⼼疾患などをもつなどの⼩児は重症化しやすいので、経過を慎重に観察することが必要。またどの年齢においても、悪性腫瘍、慢性腎疾患、慢性閉塞性肺疾患、臓器移植後の免疫不全者、肥満、重度の⼼疾患、鎌状⾚⾎球症、2型糖尿病は重症化リスクがあるとされてる」としている。

⼀般社団法⼈ ⽇本感染症学会
[Terahata]
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