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【新型コロナ】野菜を食べている人は新型コロナの重症化リスクが4割減少 発症リスクも低下

 野菜などの植物性食品を十分に食べる食事スタイルにより、新型コロナに感染するリスクを低下でき、感染しても重症化するリスクを抑えられる可能性があることが明らかになった。

 新型コロナは、糖尿病や肥満のある人で重症化しやすいことが知られている。2型糖尿病や肥満は、食事や運動などの生活スタイルから大きな影響を受けており、とくに食事の影響は大きい。
健康的な食事で新型コロナの重症化リスクは41%減少
 59万人以上の成人を対象とした今回の調査では、植物性食品の摂取量が多い人は、摂取量が少ない人に比べて、新型コロナの発症リスクが9%低く、重症化リスクは41%低いことが示された。

 研究グループは、新型コロナの罹患状況や罹患時の症状を把握する目的で、米国と英国で実施されたスマートフォンを利用した研究のデータを解析した。研究参加者は59万2,571人で、2020年3月24日~12月2日に追跡して調査した。

 研究は、米マサチューセッツ総合病院の糖尿病ユニット・ゲノム医学センターのジョルディ メリノ氏らが、英キングス カレッジ ロンドンなどと共同で行ったもの。

 「栄養価の低い加工食品ばかりを食べていて、それが不健康な食事スタイルと分かっていても、やめられないという人も少なくありません。その背景に収入の減少などの社会経済的な理由があります。人々を健康とウェルビーイング(幸福)へと導く効果的な政策の推進が、政府には求められています」と、メリノ氏は指摘している。
健康的な食事で新型コロナの発症リスクも低下
 研究グループは、参加者のパンデミック前の食事スタイルについて食事質問票により調査し、野菜や果物などの健康的とされる植物性食品を多く摂取している場合にスコアが高くなる手法で食生活を判定した。

 期間中に3万1,815人が新型コロナを発症した。解析した結果、食事のスコアがもっとも高いグループでは、新型コロナの発症リスクが9%低く(HR0.91; 95%CI 0.88 to 0.94)、新型コロナが重症化するリスクも41%低かった(HR0.59; 95%CI 0.47 to 0.74)。

 これらの調査結果は、他の健康的な行動、健康の社会的要因、コミュニティでのウイルス感染率を説明する感度分析で一貫していた。
不健康な食事と社会経済的な欠乏に対策する必要が
 「野菜を食べることが、新型コロナを防ぐ"魔法の薬"となるわけではなく、まず勧められるのは、新型コロナの予防ワクチン接種を受けること、さらには屋内環境でのマスク着用や、手洗いや消毒を徹底するなど、一般的な注意事項を守ることです」と、同病院臨床・トランスレーショナル疫学部のアンドリュー チェン氏は言う。

 「そうしたことを行ったうえで、1人ひとりが健康的な食事に注意を払うことは、新型コロナの感染や、もしも感染した場合に悪い結果をもたらすリスクを減らすのに役立つ可能性があります」としている。

 また、コロナ禍で収入を減らしてしまい、食生活が貧しくなっている人が少なくない現状にもふれている。

 「不健康な食事と、社会経済的な欠乏の2つが、新型コロナのリスクを高める大きな要因になっています。こうしたリスクをなくすことができれば、新型コロナの症例の約3分の1を予防できると推測しています」と、メリノ氏は指摘する。

 健康的な食品へのアクセスを改善し、健康の社会的な格差をなくすための公衆衛生上の戦略が、新型コロナの拡大による負担を軽減するのに役立つ可能性があるとしている。

 「食事を改善し、人々のウェルビーイングを優先する効果的な政策の推進が、政府と利害関係者に求められています。いま有効な対策をやらないと、数年後には経済発展が妨げられ、健康格差の大幅な拡大をもたらす危険性があります」と、メリノ氏は強調している。

Diet may affect risk and severity of COVID-19(マサチューセッツ総合病院 2021年9月8日)
Diet quality and risk and severity of COVID-19: a prospective cohort study(Gut 2021年9月6日)
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