オピニオン/保健指導あれこれ
保健指導サービスの質の管理 ~選ばれる健診機関であり続けるために~

No.1 組織として提供する保健指導サービスへ

聖隷福祉事業団 保健事業部 看護部長 看護師・産業カウンセラー
鳥羽山 睦子
 保健指導実践者の職種の違いや経験の差、知識、技術、コミュニケーション力など、個人の力量に任せられてきた保健指導を、組織として標準化することでスタッフによるばらつきを少なくし、新人職員でもある一定の水準まで引き上げられた指導を提供できることが必要です。そして、重要なことは保健指導の支援によって対象者の健康度の向上につながる結果を出せることです。この結果責任は、当然専門職としてもっていてほしいものですが、組織としても問われるところです。

 そのためには、

 1. 保健指導サービスの品質管理に関する基本方針を明確にし、
   組織全体に周知すること

聖隷福祉事業団・保健事業部
保健指導サービスの品質管理に関する基本方針

 「わたしたちは、利用者の皆様と力を合わせてお一人おひとりの健康の実現を支援します」という事業部理念に基づき、以下のとおり「保健指導サービスの品質に関する方針」を定め、「保健指導サービスの向上」と「人材育成」に力を注ぎ、質の高い保健指導サービスを提供する。

1)保健指導サービス品質管理体制を組織全体で構築し、内部監査により継続的な改善を図り、保健指導の質を保証します。

2)対象者に合った保健指導の実施によって行動変容を促し、期待される成果を出します。

3)職員一人ひとりの成長や意欲の向上といった自己実現を図り、サービスの質の向上・利用者の満足度の向上を目指します。

4)キャリアラダーとその階層別研修及び外部研修を重ね、知識・技術・態度の向上を図り、質の高い保健指導を提供します。

5)対象者の個人情報保護体制に万全を期します。

 これは、組織の理念や方針、日本看護協会が提唱している看護者の倫理綱領を参考に、当事業部が求める保健指導実践者のあるべき姿を描き、組織が進むべき方向性と一致させた役割の可視化です。この基本方針は、保健指導サービスの品質管理システムを継続していく上で基軸となり、全員が心を一つに進めていく大切なベクトルです。

 よく、組織の規模や配置されている保健指導実践者の人数などから、取り組む難しさを聞きますが、組織の規模に関わらず明確にすることはできます。むしろ、人の少なさはまとまりやすい強みかもしれません。同じ職種にこだわらず、他のコメディカルや事務部門等からの意見は新鮮であり、視点を変えたり拡げたりするのに有効です。少々耳の痛い意見であったとしても目的の実現を目指してのことと信じ、聴く姿勢とともに、こちらの考えを伝えることができるチャンスととらえ進めてきました。このやり取りが、組織として保健指導サービスを提供する上で大切であると感じます。

 「組織に同じ目標をもつ仲間が2人いればチームである。できるところから行動しよう」を合言葉に!

 "専門職としての信念と使命感をもって、組織に自分たちのしたいことを語り、理解してもらうこと"から始めました。

 2. 保健指導品質管理委員会の設置

 保健指導サービスに関する目標、計画、評価など審議し、質の管理全てを管轄し進めていく委員会です。施設の代表者及び主要管理者が出席する会議とセットにすることで、委員会開催もスムーズにできています。ここでは、医師や事務長からの貴重なアドバイスや意見があり、組織決定される場でもあります。

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