オピニオン/保健指導あれこれ
保健指導サービスの質の管理 ~選ばれる健診機関であり続けるために~

No.3 質の管理に必要な目標とPDCAをまわすための仕組みと実践

聖隷福祉事業団 保健事業部 看護部長 看護師・産業カウンセラー
鳥羽山 睦子
 質の高い保健指導サービスを提供するためには、品質管理システムを組織として管理していく必要性や保健指導実践者の育成が重要であることを2回にわたってお伝えしました。今回は、これらの取り組みを継続的に、着実に推進していくために必要な年間計画、目標管理、内部監査について紹介します。

 1. 年間品質管理計画の策定と管理

 図1は活動内容とその実施計画を一覧にしたものです。これにより計画が見える化され、活動しやすくなります。更に進捗状況の把握と、計画の実施を確認できます。

 基本方針・品質管理体制の周知・委員会、ワーキング活動の開催・年間目標の計画と評価・マニュアルの改正評価・保健指導教材の管理・学習会など体制や人材育成に関わる実施すべき活動すべてが、この年間計画に組み込まれています。


図1 年間品質管理計画一覧表

 2. 品質管理年間目標設定と評価

 2008年の導入当初は、特定保健指導を念頭に実施しましたが、「特定保健指導だけが保健指導ではない」との思いより、2009年からは人間ドックおよび一般健診等の事後指導、精密検査後の指導、セミナーや講演会等を含めた、すべての保健指導を品質管理の対象として取り組んでいます。

 基本方針を定め組織全体の方向性を明確に提示し、各担当課において目標と目標達成を確認するための評価指標、目標値、具体的行動計画を策定しています。それぞれが、自らの職場のプライドをもって目標設定をするため、職場としての質の向上と共に保健指導実践者のスキルアップにも役立ちます。

 目標は中期と短期に分け評価指標を設定し、目標値は定量的に、可能な限り数値化した客観性の高いものとします。数値化が難しいものは、あるべき姿の状態をできるだけわかりやすく具体的に表現すると、共通理解が得られやすくなります。

 個人目標は、キャリアラダーにある保健指導項目より課題を抽出し設定、実行します。組織目標については各職場の意見を集約し、ワーキンググループにて案を作成後、委員会の審議を経て決定します。どちらもPDCAサイクルにより質の向上を目指していますが、最も重要になるのは評価です。評価の指標・手段・時期・基準・対象者などを明確にすることで、より適正な評価となり、データの信頼性が高まります。

表1 評価時期の変化

 例えば、2008年度の振り返りをもとに、2009年度の評価時期を特定健康診査~特定健康診査に変更しました。これは、医療保険者が特定健康診査での結果を求めたこと、また委託元のアウトソーシング選定のための施設評価として利用したいとの声が挙がったためです。しかし、この設定では受診者とその保健指導実践者の努力を評価しきれないことがあり、2010年度からは、医療保険者からの希望との2本立てでの評価としました。

 組織として提供する保健指導サービスの質や個人に対する保健指導などの評価(図2)により、次の改善計画に繋げていくことが可能となり、質の向上を図ることができます。


図2 特定保健指導実践者別の実績と評価

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