オピニオン/保健指導あれこれ
生活習慣改善のための保健指導とITツールの効果的な活用について

No.2 「生活習慣改善プログラム」って何?

オムロン株式会社 草津事業所 保健師
早川 純子
 1回目はオムウォークについてお話しました。オムウォークに使われるシステムはWellness LINK。オムウォークで使うWellness LINKは個人が特定できない形でランキングや活動量など参加者全員が閲覧できますが、そのプログラムをもっと有効活用できないだろうか・・・。

 保健指導は人対人です。Face to Faceで向き合ってこそ双方の想いを理解し対象者の行動変容につながっていくと思っています。もっというと保健指導とは対象者の生活習慣の中で無理なく組み入れられることは何か? を対象者自らが導き出すことをFace to Faceでサポートすることです。

 自ら決めた行動を実践していただきながら産業看護職は「時々」励ましの支援を送りサポートします。 産業看護職は24時間体制ではないので限界を感じつつ「時々」の頻度はどのくらいが効果的かなど考えながら。

 そんな時「生活習慣改善プログラム」のモニターのお話をいただきました。これは弊社の技術・知財本部とオムロンヘルスケア株式会社の学術技術部が開発中のプログラムで、行動変容や新しい習慣の定着をサポートするものになります。

 家庭で測定した体重や活動量などをWellness LINKと同様のシステムに転送します。

 そのデータに基づいてタイムリーな賞賛やアドバイスを登録のメールアドレスに受け取ることができます。

 また自分では煩わしいデータのグラフ化なども自動でしてくれるので、データの変化を容易に確認できます。

 メッセージは産業看護職が考えて手動で送信するのではなく、システムサーバーから直接自動で送信されるので産業看護職の業務が増えることはありません。

 Wellness LINKとのもう1つの違いで、今回はプログラム参加者に事前に同意を得ていましたので、産業看護職のPCから参加者個人のデータへアクセスすることが可能でした。データの推移やコメントを産業看護職が確認しながら保健指導をすることが出来ました。

 サンプルメッセージは数百パターンほどあり、あいさつ文などが違うと掛け算的に増加します。また、メッセージの内容は、生活習慣改善のポイントや知識、個人の測定結果へのアドバイスなどからなり、取り組み状況や生活習慣の改善の程度(活動量や体重変化などからみて)に応じてカスタマイズされているので無限大といっても過言ではありません。

 そのプログラムを使って次のような検証を行いました。対象者はオムロンに勤務する社員で健康診断データのBMIが25以上もしくは腹囲が男性85cm以上・女性90cm以上の方のうち、特定保健指導の対象ではない方45名で、無作為にA群、B群、C群の3群に分けました。

 図のように前半の13週は、A群に従来の保健指導のみ、B群に従来の保健指導と生活習慣改善プログラムの両方、C群に生活習慣改善プログラムのみ実施しました。

 後半の13週間は全群とも保健指導は無し、メッセージはB、C群のみ引き続き提供しました。対象者には全期間通じて毎日朝晩の体重測定(朝起床し排尿済ませて測定・夜は夕食後寝る前)と活動量計の携帯をお願いしました。

 結果を簡単にまとめます。まず測定行動の定着率をみます。表2に示すように測定期間の2/3日以上の日数の測定行動をとった人の数についてX2検定を行うと、夜体重で有意差を認めます。調整済み残差よりB群は測定行動の定着率が良い可能性を示しました。

 図1.2.3では、各指標のデータ欠損率の推移をみています。いずれも時間とともに欠損率は高くなる傾向にあります。その中でも保健指導のみのA群は欠損率が高い傾向が続き、保健指導+メッセージのB群では欠損率が低くなる傾向が続きました。



 体重変化は、こちらは開始時を0としてどれだけ減ったかを%で示しています。A群、B群はともに前半13週間は順調に下がっていくのですが、後半の13週になるとB群のみが下がり続け、A群、C群は続かないという結果となりました。この傾向は男性で顕著にみられました。これは統計的に有意差を認めています。(図4.5.参照)

 以上のことより従来の減量指導に加えて、日々測定結果に基づくアドバイスを受け取ることが測定を意識づけ、長期継続的な体重減少をサポートしたと考えられます。

 生活習慣の改善を長期にわたり維持するには、産業看護職による保健指導に加え、メールなどデバイスを活用した細やかなフィードバックが有効であると考えられました。

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