オピニオン/保健指導あれこれ
禁煙指導のかんどころ

No.3 身近に潜むPM2.5の恐怖!それはタバコです

勤労者健康科学研究所
斎藤 照代
 タバコ煙PM2.5対策
 この問題を解決するための最大の焦点は、中国の大気汚染問題同様まずは、1日の大半を過ごす屋内におけるタバコ煙PM2.5をどうなくすかにあります。その方法として、喫煙コーナー、喫煙室の設置といった分煙と全面禁煙にする等の方法がすでに試みられていますが、WHOは、100%禁煙以外の措置(換気、喫煙区域の使用)は不完全であるとしています。

 つまり分煙では、受動喫煙を確実に防ぐことはできないと指摘しています。これは、様々な研究データからも明らかとなっていますが、筆者らが行なった受動喫煙の研究データも同様の結果を示しています。

 またさらに国際ガン研究機関(IARC)は、世界の屋内禁煙化政策の効果を検証し、完全禁煙の屋内環境が拡大されることで、受動喫煙曝露が減少し非喫煙者の健康が守られるだけでなく、禁煙が促進され、健康改善につながる多くの効果がもたらされるとしています。

 これは、屋内禁煙を実施した職場を10年以上追跡した結果では、屋内完全禁煙の実施直後の曝露低下効果は持続するという研究データと、職場が禁煙になった場合、労働者の1日喫煙本数が2~4本減るとの報告があります。また、短期間でも喫煙量が減ることで、その後の禁煙成功率が高まることもわかっています。

 喫煙の影響には、喫煙者本人がタバコを吸う事で生じるfirsthand smoke(能動喫煙)と、喫煙者の煙草の煙を吸うことで引き起こされるsecondhand smoke(受動喫煙)と、煙草の煙が消失した後も壁や床に有害物質が残りその影響を指すthirdhand somke(残留受動喫煙)があります。

 いずれも深刻な健康影響が明らかとなっていますが、屋内禁煙化により喫煙者の禁煙行動が促されるということは、これら3つの喫煙による健康影響全てが解決されることになります。

 これらのことから屋内禁煙化は、国が閣議決定している「2020年には受動喫煙のない職場を実現する」という目標達成のためにも重要なキーワードであると言えます。

アルコールと保健指導
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