オピニオン/保健指導あれこれ
がん患者さんのアピアランス・サポート
みなとアピアランス・サポート相談室(一般社団法人アピアランス・サポート東京)

No.4 抗がん剤の副作用のよる爪のトラブルとケアについて

みなとアピアランス・サポート相談室
アピアランスアドバイザー・ネイリスト
森本 恵

患者さんが抱える爪のトラブルをケアしたい
看護師からネイリストへ転職

 「脱毛」ほど知られてはいませんが、抗がん剤や一部の分子標的薬の副作用の1つに「爪の変形や変色」があります。

 病院で12年間、看護師として働いていたときに、抗がん剤の副作用を始め、患者さんが抱える爪のトラブルを目の当たりにし、ネイルケアの重要さを感じていました。

 当時の看護師としての立場ではできることに限りがあり、爪のケアまでは配慮が行き届かない現実がありました。2017年に看護師を辞め、現在は「みなとアピアランス・サポート相談室」のアピアランスアドバイザーとして、がん患者さんのネイルケアを担当をしています。

爪は生活を送る上でとても大切なところです。

 爪のトラブルで痛みや炎症があれば、健康な人でも手を使った作業がやりにくくなったり、うまく歩くことができなくなったりします。がんなど病気を抱えている患者さんであれば、こうした小さな炎症からも大きく体調を崩す可能性がありますので、アピアランス(外見、見た目)としての問題に加え、痛みや炎症を引き起こす可能性もあり、正しいケアが必要です。

 抗がん剤の副作用で爪にトラブルがある方のネイルケアにはいくつか注意点があります。その注意点やポイントをここでお伝えいたします。

 がん患者さんや薬の副作用で爪にトラブルがある方へ是非、お伝えしていただければと思います。

爪に起こる抗がん剤の副作用

 爪に起こる抗がん剤の副作用には「巻き爪」「爪が黒く変色」「爪にスジが入る」「爪が薄くなり、割れる」といったものがあります。爪は付け根にある爪母細胞で作られますが、抗がん剤によりこの部分が影響を受けて、爪の細胞分裂や増殖が損なわれることによって副作用が起こります。影響を受けた部分が爪に現れるのは、抗がん剤治療が終わって数ヶ月たった後です。

 抗がん剤の副作用に対するネイルケアで、まず行うのは「甘皮ケア」です。手足を温かいお湯につけてふやかした後、余分な甘皮を取り除きます。結果、爪母細胞の環境を改善、健康で丈夫な爪が生えてくるのです。

アピアランス相談室で心がけているネイルケアとポイント

・さらに甘皮ケアの後に保湿のオイルを塗るのですが、甘皮周りをキレイにすることでオイルの吸収がよくなり、さらに良い爪が生えてきます
・抗がん剤の副作用で、指先にしびれが出ることもあるのですが、そうした方には、極力、圧をかけないように爪を切り、ネイルファイル(やすり)をかけるときも、1回ずつゆっくり、弱くかけるように
・使用しているネイルポリッシュは、がん患者さんのQOL向上を目的に開発されたもので、主成分が水で保湿効果があります。抗がん剤治療中の患者さんは、吐き気があったり、匂いにも敏感だったりしますが、この製品は有機溶剤が使われていないので、気になる揮発性の匂いが全くありません。
・施術時間の調整など体調に合わせたケアをします。

自分でできる、簡単ネイルケア

1.お風呂で、綿棒を使った甘皮ケア

一般の方でもできる簡単な方法をご紹介します。お風呂で湯船に浸かり、甘皮がふやけてやわらかくなったら、綿棒を浸かって、爪の付け根の方向に押します。綿棒は先が丸くなっていてやわらかいので、指や爪を傷つけることもありません。

2.お風呂上がりは、保湿オイル

 爪用の保湿オイルが売られていますので、お風呂での甘皮ケアの後に塗ります。爪を作る爪母細胞の環境が良くなり、元気な爪が生えてきます。


爪の付け根に保湿オイルを塗ると、乾燥を防いで元気な爪が育つ

 そして忘れてはいけないのが爪の裏側。爪はくっついている皮膚の部分から水分を補給していますが、伸びて指の皮膚から離れた部分は、乾燥し、もろくなります。裏側にも保湿オイルを塗るようにしましょう。


爪の裏側にも忘れずに保湿オイルを

3.手には保湿クリームを

 手が乾燥すると、爪にも影響が出ます。また乾燥するとささくれができやすくなりますが、抗がん剤治療中だと、そこから傷ができたことがきっかけで感染症になることもあります。

4.手袋で手の保護を

 抗がん剤治療中は手がしびれたりして、感覚が低下しているため、気づかないうちに指先を傷つけてしまうことがあります。指先を守るために、保護用の手袋をつけるようにしましょう。入浴や炊事の時に使えるものが販売されています。

 また、ネイルポリッシュ(ネイルカラー)を塗るのは、爪の変色を隠すというアピアランスの効果がありますが、もろくなった爪を保護し、二枚爪などを防ぐという役割もあります。ジェルネイルは爪を傷める可能性があるので、おすすめできません。

気になることがあれば相談へきてください

仕事の場ではもちろん、食事会やレジでお金を出す時など、指先が気になる状況は意外と多くあります。また、自分自身が毎日見る指先をケアすることでQOLの向上にもなります。アピアランス相談室にいらっしゃる方は女性だけでなく男性もいますし、年齢も様々です。

「爪の悩みなんて…」と思わずに、どうぞ気軽に相談にきていただきたいと思います。

 

著者プロフィール

  • 森本 恵
  • 森本 恵
    みなとアピアランス・サポート相談室
    アピアランスアドバイザー・ネイリスト

「働く人のがん対策」に関するニュース

2018年11月13日
がん患者の就労支援 働く患者の75%が「産業医」の存在を知らない
2018年11月07日
【新連載】がん治療と仕事の「両立支援」を考える~産業保健師の乳がん経験~
2018年10月31日
生涯でがんに罹患する確率は男性62%、女性47%~最新がん統計
2018年10月31日
乳がんの原因遺伝子を解明 日本人1万8,000人のデータベースを構築
2018年10月31日
世界の長寿国ランキング 日本は2040年に2位に転落 社会格差が課題に
2018年10月24日
乳がんの「転移」を人工知能(AI)が99%の精度で検出 米グーグルが開発
2018年10月05日
乳がん検診に「人工知能(AI)」を導入 マンモグラフィの欠点を克服
2018年10月04日
【講演会レポート】「10月8日は、糖をはかる日」講演会 「"これからの"血糖コントロール」
2018年10月02日
10月は「乳がん啓発月間」 定期的なマンモグラフィ検診は効果的
2018年09月11日
乳がんの新たな検査法を開発 マンモグラフィーの欠点を克服 神戸大

最新ニュース

2018年11月16日
【健やか21】平成30年度「医療安全推進週間」
2018年11月15日
【参加募集中】第7回 産業保健プロフェッショナルカンファレンス テーマ「職場巡視~ありのままの現場を見られる産業保健師になる~」
2018年11月15日
【産保PC第6回(2018年度 第2回)レポート】テーマ:メンタルヘルス
2018年11月14日
世界糖尿病デー 「糖尿病の警告サイン」を5人に4人が知らない
2018年11月14日
厚労省がイクメン企業アワード受賞企業取組事例集などを発行
2018年11月14日
11月14日は「世界糖尿病デー」 家族や大切な方が糖尿病と言われたら
2018年11月14日
"防ごう、備えよう!低血糖―低血糖時のアクションプラン"公開 糖をはかる日
2018年11月13日
がん患者の就労支援 働く患者の75%が「産業医」の存在を知らない
2018年11月13日
サマータイムは「睡眠障害」の原因に 生物時計に障害 日本学術会議
2018年11月13日
妊娠中の低栄養やストレスが子の高血圧の原因に 遺伝子レベルで解明
2018年11月13日
なぜ「朝食を抜くと体重が増える」? 体内時計で解明 名古屋大
2018年11月12日
「糖尿病になったらいくらかかる?」を改訂 糖尿病の医療費
2018年11月09日
【健やか21】妊娠中・産後のママのための食事BOOK(ダウンロード無料)
2018年11月08日
適切な情報選択の一助に!「アレルギーポータル」を開設~日本アレルギー学会
2018年11月08日
「効果を上げる! 健康教育のツボ」へるすあっぷ21 11月号
2018年11月07日
【新連載】がん治療と仕事の「両立支援」を考える~産業保健師の乳がん経験~
2018年11月06日
簡易に測定できる「フレイルチェック」を産官学協働で開始 九州大学など
2018年11月06日
新しい「発芽玄米」で脳内「BDNF」が増える 脳卒中や認知症などを予防
2018年11月06日
肥満やメタボの新たな治療 肝臓の「アクチビンE」が脂肪を燃焼
2018年11月06日
チョコレートが閉経後女性の高血糖、高血圧、高コレステロールを改善
2018年11月05日
生活改善の「三日坊主」を防止するアプリ チームで励まし治療を継続
2018年11月02日
【健やか21】児童虐待防止推進月間「愛の鞭ゼロ作戦」
2018年11月01日
ブレインフードレシピを提供します(くるみヘルスケアプロジェクト)
2018年10月31日
なぜ朝食は食べた方が良いのか? 肥満と脂質異常症を予防するのに有利
2018年10月31日
生涯でがんに罹患する確率は男性62%、女性47%~最新がん統計
2018年10月31日
歯周病を治療すると血糖値が改善 心血管疾患や腎臓病のリスクも低下
2018年10月31日
乳がんの原因遺伝子を解明 日本人1万8,000人のデータベースを構築
2018年10月31日
世界の長寿国ランキング 日本は2040年に2位に転落 社会格差が課題に
2018年10月31日
女性は50歳を越えると骨粗鬆症のリスクが上昇 「定期的に検査を」
2018年10月31日
非アルコール性脂肪性肝疾患の有無を判定するバイオマーカーを発見
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
  • 週1回配信(毎週木曜日)
  • 登録者数 7,558 人(2018年10月現在)
登録者の内訳(職種)
  • 保健師 44%
  • 看護師 20%
  • 管理栄養士・栄養士 22%
  • その他 14%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶