オピニオン/保健指導あれこれ
健康運動看護師とは -看護職だからできる健康運動の実践指導-
鶴田 来美(宮崎大学医学部看護学科 地域・精神看護学講座教授)

No.7 競技志向型運動をサポートする健康スポーツナースの役割

宮崎大学医学部附属病院看護師
福﨑 崇宏
 平成19(2007)年度に文部科学省の連携融合事業のプロジェクトとして「スポーツメディカルサポートシステムの構築」が認められ、その一環として、平成21(2009)年12月より宮崎大学医学部附属病院内で「宮大健康スポーツナース」の養成が開始された。日本健康運動看護学会は宮崎大学医学部看護学科に事務局があり、健康スポーツナースの養成が行われている。

 「宮大健康スポーツナース」は、附属病院に勤務する看護師を対象としたもので看護部と整形外科教室が連携を取りながら、養成プログラムの構築と運用を行い、平成29年4月現在31名が活動している。私は平成25年度に第3期生として認定された。

 宮大健康スポーツナースの目的は、

(1)地域における運動器検診やスポーツイベント、レクレーション等において、医師や理学療法士等と協働し、地域住民の健康維持・向上のための活動を行う

(2)運動器について知識を習得し、運動器の構造、役割や障害とその対処法を理解し、ロコモティブシンドロームの予防や転倒予防について教育、指導を行う

(3)養成研修のアシスタントとして、宮大健康スポーツナースを目指す看護師を支援する

 などが主に上げられる。

 宮崎県では様々なスポーツイベントが開催され、私たち宮大健康スポーツナースは医師と共に参加者に帯同し、救護活動を行い、参加者のメディカルサポートを実施している。

 その中でも宮崎シーガイアトライアスロン大会や霧島・えびの高原エクストリームトレイル大会、国際青島太平洋マラソンなどが宮崎県を代表するスポーツイベントに挙げられる。宮崎シーガイアトライアスロン大会と霧島・えびの高原エクストリームトレイル大会の救護活動を経験して様々な課題が見つかり、その活動をまとめ、振り返る事で次の救護活動に活かしている。

 霧島・えびの高原エクストリームトレイル大会は全国から約640名の参加があり、標高1,360Mを超える山岳地帯を中心に、総距離約60?を14時間以内に走破する過酷なレースである。そのため、体調不良や転倒、滑落、落石などによる傷病や遭難のリスク以外に天候の変化には十分注意する必要がある。

霧島・えびの高原エクストリームトレイル大会(1)

エイドステーションの場所を示す表示

霧島・えびの高原エクストリームトレイル大会(2)

応急処置の状況

霧島・えびの高原エクストリームトレイル大会(3)

高原を走る参加者

 平成27年度に宮大健康スポーツナース3名が救護活動に初めて参加した。大会当日は医師1名、宮大健康スポーツナース3名が大会スタッフと共に活動した。当日の負傷者は9名で、体調不良1名、転倒、滑落による骨折や打撲5名、擦過傷3名であった。広域の中で傷病者の位置を直ぐに把握できなかったり、山中で滑落した事例は道幅が狭く車が通れない為、救護所に傷病者を搬送するにも時間と人手を要した。

 今回の救護活動を通して、気象条件に応じた救護資材の準備、メディカルスタッフや大会スタッフとの連携、そして搬送先病院の確保や救護体制の強化が重要であると感じた。また我々スタッフも山岳地帯での救護活動に対する認識が甘く、自然の過酷さや厳しさを思い知った。

 年々、スポーツイベントにおいて医師や看護師の派遣要請が増加している。環境や気象条件に応じた事前準備やスタッフ間の連携、情報の伝達や、スポーツ現場で応急処置を効率良く迅速に行える事が求められている。その為、今後も、学習や経験を重ね、選手が安心して大会や競技に臨めるような環境づくりを行っていけるように健康スポーツナースとして活動を行なっていきたい。

トライアスロン大会(1)

救護活動

トライアスロン大会(2)

トライアスロン大会の救護テント

トライアスロン大会(3)

救護スタッフ(右端が著者)

著者プロフィール

  • 福﨑 崇宏
  • 福﨑 崇宏
    宮崎大学医学部附属病院看護師

    日本健康運動看護学会認定健康スポーツナース
    院内認定宮大健康スポーツナース
    一次救命処置(BLS)講習終了

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