トップページ - ドクターインタビュー 生活習慣病とスローカロリー - 「生活習慣病とスローカロリーの意義(1)」
「生活習慣病とスローカロリーの意義(1)」

池田義雄先生
(日本生活習慣病予防協会理事長)
―― 近年、"食後高血糖"が注目されています。
池田: そうですね。食後の血糖値が異常に上がり、なかなか下がらない"食後高血糖"は糖尿病の早期発見のポイントでもあり、近年の研究では心筋梗塞などの動脈硬化性疾患の危険因子としても注目されています。

―― "食後高血糖"を改善するにはどのようなことが重要ですか?
池田: ポイントとなるのは食事療法です。特に糖質は血糖値に影響を与えますので、上手に摂取する必要があります。糖質といえば、ご飯やパンなどの主食から摂るものや、砂糖や果物などの甘い物に代表されます。

 もちろん、それらの食品の量や質、バランスなども考慮すべきですが、糖質を摂取する際に、小腸での消化吸収が緩やかな性質を持っているような食品を意識的に摂ることで、血糖値を急激に上げるリスクを抑えるといった方法も考えられます。

 最近では、食物繊維が多く含まれているものや、機能性甘味料、低糖質食品など、さまざまなものが市販されています。

―― 小腸での"糖質の消化吸収"が緩やかだと、どのような効果があるのですか?
池田: 糖質の吸収速度が緩やかであると、糖質の摂取後におこる血糖値の上昇が緩やかになり、インスリンの分泌を抑制する効果があります。吸収速度が緩やかになると、ブドウ糖がインスリンの働きでグリコーゲンとして肝臓に蓄えられていく過程が緩やかになり、脂肪組織においてもブドウ糖が脂肪細胞に取り入れられ脂肪に構成される速度も抑えられます。また、糖質が小腸に長くとどまることにより、インクレチンの分泌が持続的に促進されます。インクレチンは食欲を抑える作用があるため、満腹感の持続も期待されます。

 このように"小腸での消化吸収速度が緩やかであること"="スローカロリー"として注目されており、その機序や効果に対する研究も広く行われています。

―― "スローカロリー"の性質を持つ糖質としては、どのようなものがありますか?
池田: 砂糖と同じ二糖類の仲間でパラチノースがあります。ブドウ糖と果糖が結合してできており、砂糖と同じように1gあたり4kcalのエネルギーです。しかし、砂糖とパラチノースは小腸で消化吸収されますが、パラチノースは砂糖に比べて小腸からの吸収速度が1/5と、吸収速度は異なるのです。

 ですから、砂糖とパラチノースを同じ量摂取し比較した場合、血糖値の上がり方はとても穏やかです。したがって、血糖値の上がり方を数値化したGI(グライセミックインデックス)は低く、摂取後のインスリンの分泌量も少なくて、ゆっくりと分泌されます。

―― 臨床試験も行われているようですが。
池田: そうですね。生体に及ぼす効果は、このような"スローカロリー"の特性を持つパラチノースを使った臨床試験で明らかになっています。この試験は日系ブラジル人の肥満者を対象にし、摂取する糖質を砂糖単独と砂糖とパラチノースを混合させたものに分けて行ったものです。その結果、砂糖単独よりパラチノースを混合したものの方が内臓脂肪の抑制効果がみられました。

2010年12月更新
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