難波光義先生
難波光義 先生
兵庫医科大学内科学糖尿病・内分泌・代謝科主任教授

 パラチノースと砂糖を摂取した後の血糖、インスリン、インクレチン分泌の変化を比較分析する研究が健常人を対象に行われ、パラチノースが砂糖よりも血糖変動やインクレチン分泌において有用性をもつことが明らかになりました。この結果は、平成25年5月に熊本で開催された第56回日本糖尿病学会学術集会で発表されました。

 今回、この研究結果を振り返りながら、パラチノース摂取の有用性について、研究リーダーの兵庫医科大学糖尿病・内分泌代謝科主任教授の難波光義先生にうかがいました。

1. パラチノースの特徴とは?

―― パラチノースの特徴とは?

難波: この結果はパラチノースの構造にヒントがあります。私たちの小腸にはαグルコシダーゼという消化酵素があり、吸収直前になってはじめて単糖に分解されるようにすることで、腸内細菌などに栄養を奪われにくくする働きをしています。

化学構造式

難波: パラチノースは、唾液、胃酸、および膵液の消化作用を受けず、小腸でαグルコシダーゼの一種であるイソマルターゼという酵素によってグルコースとフルクトースに分解され、小腸内ですべて消化吸収されます。この酵素反応はゆっくり進むので、パラチノースの消化吸収速度は遅く、過去の研究によると砂糖の約1/5 と言われています。そのため、摂取した際の血液中へのグルコースの流入が砂糖よりも穏やかで、血糖値やインスリン分泌の急激な変化を引き起こしにくいというのが特徴です。

 砂糖を大量に摂ると激しく血糖値が上がり、それに反応してインスリンが過剰に出るので、少し遅れて反応性低血糖が起こります。パラチノースの場合は急激に血糖値が上がらないので、インスリンは穏やかに出て、穏やかに推移します。摂取後の血糖変動の山(ピーク)は低く、谷も穏やかになるということです。これによって、高血糖の悪影響を軽減できるのと、その反動(反応性)による下がりすぎがないので、空腹感を助長することも少なくなるというように、両方を軽減できるのがパラチノースのメリットですね。

砂糖とパラチノース 砂糖とパラチノース

―― 先生は、パラチノースを以前から注目されていたのですか?

難波: 実は、この研究を行う少し前まで、砂糖と同じ二糖類にこういうものがあるのを知らなかったのです。僕たち医者は、食品のことって意外と知らないんですね。食事療法の指導では、カロリーや摂取量のこと、たんぱく質や糖質、脂質といった成分のことについては何となく気を遣うけど、消化吸収過程のことまで考えることがありませんでした。

 消化吸収を考えた指導としては、ファイバー。繊維をたっぷり摂ると吸収が穏やかだから、野菜をたっぷり先に食べましょうねとか、よく噛みましょうねという話になるのですが、同じ糖質で、同じカロリーでも消化をゆっくりにするノウハウがあることなんか考えもしなかったんです。ここまで作り上げたお砂糖屋さんの大きな手柄だと思います。

次は... 2. 血糖値とインスリン分泌量を比較

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