間食指導の意義と基本ポイント

対象者の「間食」に注目しよう

 かつて、日本人の食事は朝夕2回でしたが、体を酷使する労働者が必要に応じて3回目の食事を摂ることがあり、それが「間食」のはじまりだったと言われています。現在、私たちは3回の食事とそれ以外にとる間食、すなわち、おやつや軽食、夜食など、個々の欲求や環境にあわせて自由に食品を選び、楽しむことができる幸せな時代を生きています。しかし、戦後の文明化で世の中が便利に、豊かになるのに合わせ、体を使った労働は減り、精神的なストレスとともに体内には過剰な脂肪が蓄えられていきました。現在の日本では飢餓に苦しむことはほとんどなくなり、お腹がすかなくても食品を口に入れ、気がつくと1日中食べ続けていることも少なくありません。

対象者の「間食」に注目しよう

 さて、肥満解消や生活習慣病予防を目的とした食事指導を考えたとき、まず注目されるのが3食の摂取量や栄養バランスの管理ではないでしょうか。基本3食の「いつ、何を、どれだけ」という部分をどのように是正していくかが、食事指導の根幹となっていますが、それだけで解決しないのが現代の食生活です。社会生活を送っていれば残業やつき合い、ストレス等々いろいろあるわけで、3食以外に食べたり飲んだりする機会・誘惑と日々対峙していかねばなりません。このような外的要因だけでなく、自分自身の楽しみ、趣味趣向、ストレス解消などを充たしたいという欲求とも闘う必要があります。間食習慣のある人は、おやつをデスクに常備したり、毎日必ずコンビニチェックしたり、夕食後のくつろぎタイムに甘いものを楽しむといった、個々のルールを持っていることが多いようです。習慣化すると、それが生活の一部になっていますから必要不可欠なものと位置づけ、食事記録に反映されないこともよくあるとか。その実態を正確に把握し上手に指導するのは本当に難しいと、編集部には以前から支援者からの声が多く寄せられていました。食生活を管理しようにも、"別腹"というもう1つの隠れ胃袋があったら、指導の成果はなかなか上がらないですから。。

 一般的に、間食コントロールの必要度が高いのは、糖尿病や腎臓病、肥満症など食事療法を行う患者さんです。しかし、例えば糖尿病患者さんであっても、3人に2人が日常的に間食を摂っているという実態※があり、その対策に力を入れる医療スタッフは近年ますます増えています。

 今回、当情報ファイルをオープンするにあたり、保健指導スタッフの皆さんに「メタボ世代の間食習慣」についてアンケート調査を行いました。30~60代の働き盛り世代で間食習慣のある人は、6~8割いると回答した方が最も多く、4~6割、8割以上と続きました。日頃、様々な対象者の方と向き合うなかで、79%のスタッフが「保健指導を行う上で外せないテーマである」と考えておられ、半数が間食を「なるべく控えてもらいたい」と、強く対策の必要性を感じている状況が見受けられました。

 間食コントロールが、食事指導を成功に導くか否かを分けることもありますので、ぜひ指導に取り入れていいただけたら幸いです。

糖尿病患者さんの間食に関するアンケート調査(糖尿病ネットワーク)

2013年08月 公開

日本医療・健康情報研究所
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