気温が低下し湿度が低くなる冬は、便秘の傾向になる人が増える。
便秘の原因はさまざまですが、そのひとつは「かくれ脱水」だ。
便秘によって腸内細菌のバランスが悪化すると、免疫にも影響するおそれがある。
「教えて!『かくれ脱水』委員会」は、「冬便秘」を改善するために、3つの方法を紹介している。
糖尿病の人にとっても、脱水には注意を要する場合がある。
低温・低湿度の冬は「かくれ脱水」になりやすい
熱中症や脱水の危険性について警鐘を鳴らす活動をしている「
教えて!『かくれ脱水』委員会」(委員長:服部益治・医療福祉センターさくら院長、兵庫医科大学特別招聘教授)によると、気温が低下し、湿度が低くなる冬は、便秘傾向になる方が増えるという。医学的には便秘の原因はさまざまだが、そのひとつは『かくれ脱水』だ。
腸が正常に便を作り、排便するには、(1)便自体に十分な水分が含まれていること、(2)腸管が機能するために十分な血液が行きわたっていることが重要だが、冬は、人によってはこの条件を満たさないことがあり、便秘傾向になりやすいという。
「この冬は例年に比べて、インフルエンザやロタウイルスやノロウイルスなどの感染性胃腸炎の流行が少なくなると予想されています。しかし、別の脱水リスクが高まります。マスク着用による喉の渇きへの鈍化、行動自粛から筋肉量の低下など、コロナ禍の中で新たな脱水弱者を増やしているのです」としている。
「冬便秘」になっていないかをチェック
「冬便秘」にはさまざまな要因があるが、下記のいずれかに心当たりがある人は注意が必要だ。
■ 生活が不規則である
■ 朝ご飯を抜きがち
■ お腹を冷やしてしまっている
■ 夏に比べて水分摂取頻度や量が減っている
■ 食べる量が少ない
■ 野菜・フルーツを食べていない
■ ヨーグルトやチーズなど乳加工品を食べる習慣がない
■ キノコや海藻を食べていない
出典:教えて!「かくれ脱水」委員会、2020年
コロナ禍の今年は「冬便秘」に注意
「とくに新型コロナウイルス感染症が拡大している今、この"かくれ脱水"からくる冬の便秘を軽視するべきではありません」と、同委員会副委員長の谷口英喜先生(済生会横浜市東部病院患者支援センター長、周術期支援センター長栄養部部長)は語っている。
コロナ禍の今年は「冬便秘」が起こりやすいという。その原因は――。
(1) 長い自粛期間で筋力が衰えている
力が低下しており、排便するための腹筋が衰えてしまっていることが挙げられます。また、筋肉は水分を貯蔵するもっとも大きい臓器でもあるため、多くの人が身体に水分を保持しづらくなり、「かくれ脱水」に陥っている可能性があります。
(2) マスク着用で喉が渇きづらく、夏に比べますます水分を摂らなくなる
冬は夏に比べて汗をかきませんが、「不感蒸泄」(呼気や皮膚などから体温調節のために自然に水分が蒸発すること)は夏同様行われています。
しかし、目立って水分喪失をしていると意識する瞬間が少なく、また今年はマスクをしていることで喉が湿っていることから喉が渇いたという自覚がますます生まれづらく、水分摂取の頻度や量が減る傾向にあります。
(3) 未曾有の感染症流行や不慣れな自粛生活による心理的不安
まだまだ収束する気配のない新型コロナウイルス感染流行や、今後の生活に対する不安など、目に見えない精神的なストレスが腸管をコントロールしている自律神経に及ぶ影響も、少なからず便秘傾向の一因となりうるはずです。
感染症流行時の便秘を放置するのが危険な理由
谷口先生は、なぜ便秘を放置するのが危険なのかを、次のように説明している。
便秘によって不要な内容物(便)が長時間腸内にとどまっていると、腸内細菌のバランスを悪化させ、免疫バランスの崩れを引き起こすリスクがあります。
医学の世界では、免疫機能を維持する目的で早期から点滴だけではなく、腸を使った栄養補給を積極的に行います。交通事故や、大手術の後でもできるだけ早期に腸を使うことが経過を改善させる策と言われています。その理由は、体内の免疫細胞の約7割が小腸にあるためです。
便秘になると、腸内に滞留した便が過剰に醗酵・腐敗して、腸内の悪玉菌が増え、免疫機能が正常に働くことを妨げてしまう危険性があります。
また、高齢者では便秘が長期化して便が腸を閉塞させて腸閉塞を起こし手術が必要になる患者もみられます。
免疫バランスを万全に整えておくべき今年はとくに、「冬便秘」を解消しておきましょう。
便と腸内環境の改善のカギは、「水分」「食物繊維」「乳酸菌」
便秘を引き起こす要因は、▼不規則な食事・生活、▼水分・食物繊維・脂質などの摂取不足、▼低栄養、▼緊張・恐怖・悲しみなどの精神的要因、▼神経障害、▼職業性(便意があっても排便するタイミングを逸してしまうなど)、▼便意を抑制する習慣などだ。
日本人で、便秘が常習化している人の3分の2は、大腸を動かす筋肉が緩み、蠕動(ぜんどう)運動がうまく働かないことによる「弛緩性便秘」だという。
腸管にある内容物を、スムーズに体外へ出すためには腸内環境を整え、かつ、ある程度の水分が便に含まれている状態をつくることが重要だ。
便と腸内環境の改善のカギは、「水分」「食物繊維」「乳酸菌」だと、谷口英喜先生は言う。
■ 水分を摂る
就寝中は脱水しているので朝起きてまずコップ1杯、その後も、朝食時、昼食時、3時のおやつ時、夕食時、お風呂に入る前(お風呂でも脱水します)、就寝前と、少なくともコップ1杯の水を飲むようにしましょう。
冷たい水のほうが腸を刺激するイメージもありますが、腸に到達する頃には体温で温まっていることも多いので、飲みやすい温度のものでいいでしょう。
あまり頻繁に水分補給ができない、忘れてしまうという人は、経口補水液を取り入れることで脱水状態が改善され、便秘が改善される場合も考えられます。
■ 食物繊維を摂る
食物繊維が必要な理由には、便の量(カサ)を増してきちんと排出すること、腸内環境を整え免疫細胞などの働きを助ける善玉菌のエサを与えることが挙げられます。
| 便のカサを増やす食物繊維 | 不溶性食物繊維(水で溶けない食物繊維)が多い |
| 【食品の例】 ごぼうや大根など根菜類、大豆、枝豆など豆類、きのこ類、おから、玄米などの穀類や雑穀 など |
| 善玉菌のエサになる食物繊維 | 水溶性食物繊維(水で溶ける食物繊維)が多い |
| 【食品の例】 わかめ、めかぶなどの藻類、こんにゃく、山いもなどいも類、オクラ、モロヘイヤなどのネバネバ野菜など、フルーツ など |
■ 乳酸菌を摂る
水分や食物繊維の摂取量を増やすだけでなく、正常に栄養素を吸収できる腸内環境を作るためには善玉菌のエサとなる菌を補充することも有効です。発酵食品から積極的に乳酸菌を取り入れるような食生活を。
| 腸内環境を整える発酵食品 |
| 【食品の例】 ヨーグルトやチーズを毎日食べる、納豆、キムチ、ぬか漬け、調味料は味噌、醤油や酢 など |
「教えて!『かくれ脱水』委員会では、「新しい生活習慣」の中での脱水と体の関係、感染性胃腸炎やインフルエンザからの脱水の危険性と正しい対処法など、この冬の脱水に備える、役立つ情報をホームページなどで紹介している。
糖尿病診療ガイドライン2019(Mindsガイドラインライブラリ)
Gastroparesis and Nutrition: The Art(Practical Gastroenterology 2011年9月)
記事の内容は掲載日時点のものです。
本サイトに掲載されている記事・写真・図表の無断転載を禁じます。
ピックアップ
-
アルコールと保健指導
飲酒習慣の評価から簡易支援まで、保健指導現場で使える減酒支援ツールと実践知をまとめた特設ページです。
-
健康管理システム
健康経営の第一歩は、システム選びから!製品ごとの「ポイント」を比較しながら、自社にぴったりのシステムを見つけることができます。
-
健康支援サービス
さまざまな健康支援サービスを、特徴や強みを比較しながら探すことができます。健康経営の新しいアプローチをここから始めませんか?
-
第4期特定健診・特定保健指導
令和6年度から開始された「第4期特定健診・特定保健指導」関連情報をとりまとめています。最新情報の確認にお役立てください。
学会・イベント
-
主催: 公益財団法人ライオン歯科衛生研究所
-
2026年05月20日~12月15日
埼玉
SELECT
主催: 埼玉産業保健総合支援センター
-
主催: 日本産業衛生学会
2カ月先駆けカレンダー
-
毎年6月の第2週に東京消防庁が実施している「危険物安全週間」は、都民への身の回りの危険物に関する知識の普及啓発及び各事業所における自主保安体制の確立を図ることを目的としています。
関連リンク
危険物安全週間(東京消防庁)
-
厚生労働省、都道府県及び(公財)麻薬・覚せい剤乱用防止センターは、今年6月20日~7月19日までの1カ月間、「ダメ。ゼッタイ。」普及運動を実施します。この運動は、国民一人一人の薬物乱用問題に関する認識を高めるため、正しい知識の普及、広報啓発を全国的に展開します。あわせて「国際麻薬乱用撲滅デー」(6月26日) の周知を図るために行うものです。
関連リンク
「『ダメ。ゼッタイ。』普及運動」(厚生労働省)
(一財)日本くすり教育研究所
(公財)麻薬・覚せい剤乱用防止センター
-
毎年7月1日は「国民安全の日」。産業災害、交通事故、火災等に対する国民の安全意識の高揚等の国民運動展開のために創設され、安全功労者内閣総理大臣表彰や、ホームページ・SNSの活用等による広報活動が実施されます。
関連リンク
「国民安全の日」について(内閣府)
-
全国安全週間は、労働災害防止活動の推進を図り、安全に対する意識と職場の安全活動のより一層の向上に取り組む週間です。昭和3年に第1回が実施されて以来、一度も中断することなく続けられています。この機会に職場における労働災害防止活動の大切さを再確認し、積極的に安全活動に取り組みましょう。
関連リンク
全国安全週間実施要綱(中央労働災害防止協会)
-
厚生労働省、都道府県、日本赤十字社は、毎年7月を「愛の血液助け合い運動」月間として、全国各地で献血への理解と協力を呼びかけ、献血運動の推進を展開します。夏場は長期休暇などで、学校や企業などからの献血の協力者が得られにくく、献血者が減少傾向になる時期とされており、この期間を通じ若い世代を中心に広く献血への協力を呼びかけています。
関連リンク
血液事業の情報ページ(厚生労働省)
当サイトでは、サービス改善、利用者の興味関心に合わせたコンテンツ表示、利用状況の解析、広告配信・測定、広告配信事業者へのデータ提供のためにCookieを利用します。
Cookieの削除方法については、ご利用中のウェブブラウザのヘルプ等をご確認の上、各設定画面よりご操作ください。「
プライバシーポリシー」
OK
『保健指導リソースガイド』は、特定健診・特定保健指導をはじめ、生活習慣病予防、産業保健、地域保健など、保健指導に携わる専門職の皆さまを支援する情報プラットフォームです。
該当する職種をクリックして、中へお進みください。