【チェックリスト付き】職場の安全健康担当者のための熱中症対策ガイド
熱中症対策が気になる季節となりました。 本格的な夏を迎える前に、労働者が安全に業務を行えるよう、産業保健師(医療職)が現場の安全健康担当者と連携して取り組むべき熱中症対策を整理しました。
まずは、ご自身の熱中症に関する知識の確認としてご活用ください。また、自社の対策状況を職場の安全担当者と共有したり、安全衛生委員会での議論の材料としても役立ちます。今後の活動の優先度を見極めるためのチェックリストとしてもご利用いただけます。
チェックリストは自己学習としてご活用いただくほか、熱中症対策関連の会議資料作成や、安全衛生委員会での検討事項、職場巡視の際のチェックポイントとしての活用も可能です。
熱中症リスクを構成する「3つの要因」を理解する
熱中症は「環境」「からだ」「行動」の3つの要因が重なり、体温調節機能のバランスが崩れることで発生します。
1. 環境要因(Environment)
気温が高いと体温が上昇しやすく、放熱が追いつかなくなります(体温が内部にこもる状態)。特に暑さ指数(WBGT:Wet Bulb Globe Temperature)が28以上(厳重警戒レベル)になると熱中症患者が急増するため、注意が必要です。
- 高温・高湿度:汗が蒸発しにくくなり、体温が急上昇します。
- 輻射熱・風通し:直射日光やアスファルト・機械からの熱は皮膚表面を直接温めます。また、風が弱いと気化熱による冷却が期待できません。
- 発生場所の例:工場の炉前、建設現場、換気不足の倉庫やコンテナ内、空調の不十分なオフィスなど。
2. からだの要因(Physical)
個人の体調や生理的条件は、熱中症発症の閾値を大きく左右します。
- 脱水と体調不良:水分・塩分不足は最も危険です。睡眠不足、二日酔い、発熱、疲労蓄積などは体温調節機能を低下させ、通常より早く熱中症に至ります。
- 暑熱順化(暑さへの慣れ)不足:暑さに慣れるには個人差がありますが、数日から一週間必要です。慣れていないと、汗をかく能力が低く、体温が上がりやすくなります。新人、休暇明け、異動直後といった方への配慮が求められます。
- 高リスク群:高齢者(汗腺機能の低下)、肥満(熱を逃がしにくい)、持病(心疾患・腎疾患・糖尿病など)のある方は注意が必要です。
3. 行動要因(Behavior)
熱中症が発生しやすくなる行動にも注意が必要です。
- 作業強度と時間:激しい作業や重労働は体温を上昇させます。休憩なしの連続作業は、気づかないうちに限界を超えるリスクがあります。
- 装備の影響:防護服やヘルメット、通気性の悪い作業服は内部に熱をこもらせます。
3要因が重なると危険度が急上昇する例
| 環境 | からだ | 行動 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 気温 33℃・湿度 70% | 睡眠不足 | 重作業 | 極めて短時間で症状が発生するリスク |
| 直射日光 | 暑熱順化不足 | 長時間作業 | 急激に体温上昇 |
| 風が弱い倉庫 | 脱水 | 休憩不足 | 意識障害のリスク |
社員の安全と健康を守るための熱中症対策チェックリスト(環境省・厚労省準拠)
熱中症予防対策は、熱中症の正しい理解から始まります。まずは組織としての体制を整備し、従業員への教育を含めた具体的な予防対策を構築していきましょう。
現場の環境整備が会社として重要であるとともに、従業員一人ひとりが自身の『からだ』の状態を理解し、セルフケアを行えるような支援・情報提供を検討しましょう。


熱中症発生時の初期対応フローをあらかじめ決めておくことも重要です。万が一、体調不良者が出た場合は、事前に決めた手順で迅速に対応します。


近年は熱中症予防対策の重要性がさらに高まっています。2025年6月の改正労働安全衛生規則の施行(熱中症対策の義務化)に続き、2026年3月には厚生労働省から最新の「職場における熱中症防止のためのガイドライン」が発表されました。最新の知見をアップデートするとともに、関係者とのスムーズな情報共有ができる仕組みや体制づくりを進めましょう。
このチェックリストは、職場の熱中症対策を検討する際のベース(案)として作成したものです。各事業場の特性に合わせてカスタマイズし、安全な職場づくりと健康管理の一助としてご活用ください。
印刷用PDFについて
本記事で紹介したチェックリストを印刷してお使いいただけるように、PDFをご用意しました。ダウンロードに際して、簡単なアンケートにご協力いただければ幸いです。ぜひ、業務にご活用ください。
参 考
熱中症予防情報サイト|環境省
職場における熱中症予防情報|厚生労働省
STOP!熱中症 クールワークキャンペーン(職場における熱中症予防対策)|厚生労働省
職場における熱中症防止のためのガイドライン|厚生労働省|厚生労働省
(2026年3月18日)
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