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マンモグラフィと超音波検査の併用で進行乳がんの罹患率が低下

 東北大学などの研究グループがこのほど、40歳代女性の乳がん検診においてマンモグラフィに超音波検査を併用した場合、進行乳がんの罹患率が低下することが示されたと発表した。

 これまでの研究で、乳がん検診でマンモグラフィに超音波を加えると、早期乳がんの発見が増えることが示されており、それに加えて今回の結果は、進行乳がんを減らし得ることも示す重要な科学的根拠だとしている。

約15年間の長期追跡データ 40歳代女性を対象

 国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)によると、女性の部位別がん罹患数(2021年)で最も多いのは「乳がん」となっている。

 そのため、早期発見が求められるが、国は乳がん検診について、40歳以上の女性は2年1回、問診および乳房X線検査(マンモグラフィ)を受けるのが望ましいとしている。

 マンモグラフィは乳房を片方ずつ圧迫板で挟んで撮影するX線検査で、ほかにも超音波やMRI(磁気共鳴画像法)など、いくつかの手法が人間ドック等で検診として実施されている。検査方法ごとにそれぞれ特性があるが、現時点で集団に対する死亡率減少効果が示されているのは、マンモグラフィによる乳がん検診のみとなっている。

 しかし、マンモグラフィには「早期がんの一部が呈する微少石灰化病変を検出しやすい」反面、「高濃度乳房の方において、病変を検出しにくい」という特徴がある。高濃度乳房とは乳房における乳腺の密度が高い状態で、高濃度乳房の女性の割合はアジア人(6~7割)が欧米人(4~5割)より高い。

 一方、超音波検査は、「高濃度乳房の方においても病変を検出しやすい」という特徴があるが、「乳癌診療ガイドライン2022年版」(日本乳癌学会)で、「超音波検査単独の乳がん検診は、マンモグラフィ検診との比較で優位性を証明するエビデンスが乏しいため、行わないことを弱く推奨する」「マンモグラフィと超音波検査の併用検診は感度上昇、早期乳癌の発見に有用であり適切な精度管理が行われるならば、行うことを弱く推奨する」とされている。

 そこで東北大学大学院医学系研究科の大内憲明特任教授らが、高濃度乳房の割合が高い40歳代の女性を対象に2007年8月から2011年3月にかけて「乳がん検診における超音波検査の有効性を検証するための比較試験(ランダム化比較試験:RCT)」を実施。7万6196人の女性から参加同意を得て行ったもので、大規模な超音波検査を用いた乳がん検診RCTとしては世界初だという。

 今回の研究では、そのうち7万2998人の女性を1:1の割合で、マンモグラフィに加えて超音波検査を実施するグループ(介入群)と、マンモグラフィのみの通常の検診を実施するグループ(非介入群)にランダムに割り振り、7万2261人について初回とその2年後の検診の効果を検証した。

 これまでに、1回目検診の効果を検証した結果、超音波を上乗せした「介入群」の方が、がんの発見感度と発見率が優位に向上し、特にステージ0やIの早期がんの発見に貢献していることが報告されている。一方で、進行乳がん(ステージⅡ以上)の発見数に差はなく、介入群では要精検率が上昇した結果、針生検など身体に負担のかかる追加検査が増加する課題も明らかになっていた。

 その後、約15年の追跡データに基づき、進行乳がん(ステージⅡ以上)の累積罹患を評価したところ、超音波検査を併用した介入群で検出された乳がん894例のうち、進行乳がんは234例(26%)。一方、マンモグラフィ単独の非介入群では検出された乳がん843例のうち、進行乳がんは277例(33%)だった。

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出典:東北大学

 この結果から、介入群は非介入群に比べ、進行乳がんの累積罹患率が低くなっていることがわかる。また時間経過で見ると、検診開始後4年目から8年目に差が拡大し、それ以降の差は概ね一定になる傾向も見られた。

 研究グループは、今回の研究結果によって、乳がん検診における超音波併用は「進行乳がんの発生(累積罹患)」を減らす可能性を示したとする一方、「超音波併用が乳がん死亡率の低下につながるかどうかを最終的に確認するには、今後もより長期の追跡が必要」としている。

"乳がん検診における超音波検査の上乗せで進行乳がん罹患率が低下 -世界初 日本発の若年女性向け乳がん検診の科学的検証-(東北大学/2026年2月20日)

[yoshioka]