産業保健師の専門性を支える法的基盤
産業保健師の専門性を支える法的基盤
― 保健師助産師看護師法を踏まえた専門職としての基盤 ―
企業等で働く保健師は、人事・総務・労務部門、あるいは健康管理センターなどに所属し、労働者の健康と職場環境の安全を支える役割を担います。産業保健師という名称は法律上の資格名ではありませんが、企業等で働く保健師を指す一般的な呼称として広く使われています。
企業等の一員として就業規則に従って働くことはもちろんですが、保健師としての専門業務を行う際には、保健師助産師看護師法(保助看法)に基づく責務を理解し、専門職としての姿勢を保つことが欠かせません。
保助看法における保健師の位置づけ
保助看法は「保健師、助産師及び看護師の資質を向上し、医療および公衆衛生の普及向上を図ること」を目的として制定されました(第1条)。
保健師とは、
- 厚生労働大臣の免許を受け(第7条)
- 「保健師」の名称を用いて
- 保健指導に従事することを業とする者(第2条)
と定義されています。
免許は誰にでも与えられるものではなく、
- 罰金以上の刑に処せられた者
- 業務に関する犯罪や不正行為があった者
- 心身の障害により業務遂行が困難な者
- 麻薬・大麻・あへんの中毒者
などは免許を与えられない場合があります(第9条)。 また、免許取得後もこれらに該当したり、保健師としての品位を損なう行為があった場合には、厚生労働大臣による処分の対象となります(第14条)。 さらに、保健師は免許取得後も研修を受け、資質向上に努めることが求められています(第28条の2)。
名称独占と守秘義務
保健師の業務は「業務独占」ではありませんが、
- 保健師でない者が「保健師」または紛らわしい名称を用いることは禁止されています(第29条、第42条の3)。つまり、保健師は名称独占資格です。
また、保健師は業務上知り得た秘密を正当な理由なく漏らしてはならず、退職後も同様です(第42条の2)。 産業保健師にとって、個人情報の扱いは特に重要な専門性の一つです。
産業保健師が大切にすべき視点
保健師は、医療および公衆衛生の向上を目的とした専門職です。 企業で働く場合もその本質は変わりません。
- 専門職としての品位を保つ
- 守秘義務を徹底する
- 研鑽を積み、資質向上に努める
- 法律に基づく専門性を理解したうえで、企業等の「場」での実践活動に努める
これらを意識することが、産業保健師としての「レベルアップ」の第一歩となります。
制作:「産業保健師のコンパス」編集チーム

