オピニオン/保健指導あれこれ
健診機関での保健師活動 ~活動の場面が違っても保健師活動の基本は同じ~

No.1 改めて「保健師活動とは」

(公財)神奈川県予防医学協会 健康創造室 相談課
飯塚 晶子
 私は「健診機関」兼「労働衛生機関」※の保健師で、産業保健師として働く人の健康支援を担当しています。これまで保健師として、地域では精神保健、高齢者保健、当会では産業保健を経験しましたが、『地域や産業など活動の対象や場面が変わっても、公衆衛生看護の視点をもって看護する保健師の基本は共通する』と、改めて感じています。

 学生時代、「木を見て森を見る。森を見て木を見る。」と、例えて、集団特性の把握の重要性を教わりました。もちろん、学問的にも教わりましたが、卒後10年くらいまでは、自分の担当する新しい集団に出会うたびに、この言葉をくり返していたのを覚えています。

 これは、個別の特性が、集団の共通する特性となるのか?または、その逆となるのか?ということから、その健康特性に対して、保健計画を立てて、集団や個人にアプローチし、評価し、修正し、というPDCAを回すことだ、と理解しています。そしてそれは、地域にいても、健診機関にいても、保健師活動の基本は同じだと考えています。

 さて、そこで今回、この原稿を書くために、改めて、「保健師活動とは何だっただろうか?」と確認しました。もちろん、ご存知だとは思いますが、保健師助産師看護師法では「保健指導に従事することを業とする者」と定義されています。そして、今、私がいちばんぴったりくる「これが保健師活動だな」という内容が「新版保健師業務要覧」*1の「保健師の誕生」の項にありましたので、紹介させていただきます。

 「保健師は、常に、人々とともに疾病を予防し、人々が主体的に健康な生活ができるように支援してきた。特に、貧困層が生活する地区には重点的に予防活動を行い(1)、さらに、健康な人も病気や障害を抱えた人もすべて、「人として生きること・健康であること」が保証されるように、社会保障システムが整った地域を創造し(2)、生涯を通した人々の健康と幸福が実現することを使命としてきた。社会が予防的な看護を必要とし、地区や集団の疾病予防と健康管理の専門家として保健師が誕生したのである。」

 上記のとおり、『地区や集団の疾病予防と健康管理』はもちろんのこと、前段の下線(1)(2)について、私が改めて大切にしたいと感じていることです。

 これを今の「健診機関」兼「労働衛生機関」の保健師活動で考えると、下線(1)は、健康格差の問題と捉え、産業保健の対象者の中では、産業医や保健師等の産業保健スタッフのいない、中小企業すべての人々の健康が、保証されるように活動することであり、決して、一部の経済力のある企業や人々を中心に、活動を実施してはいけないと考えています。

 また、下線(2)では、日々のルーチンワークをこなすだけでなく、その方の生き方に向き合い、働く人がいきいきと健康で働ける、職場環境づくりやそのシステムを、働く人自身が創造できるように支援する名わき役になる必要性があると感じています。

 このように、上記の「新版保健師業務要覧」の保健師活動の内容は、免許を得て、働くすべての保健師の役割だ、と私は考えています。

 最後に、健診機関の保健師活動は、保健指導が事業の中心だと思いますが、健診受診者の保健指導やフォローだけでは完結しないと感じています。それは、保健指導を入り口として、対象者が所属する集団や住んでいる地域の健康に関する情報を把握し、アセスメントして、その集団の健康課題にアプローチする、「木を見て森を見る」保健師活動が重要だと考えているからです。

 次回からは、当会の保健師活動の具体的な活動について、歴史を交えてご紹介したいと思っています。

※ 労働衛生機関とは
 本来予防的な機能をもつもので、職場での安全かつ健康的な作業環境の確立と維持および労働者の健康を考慮して、その能力に作業を適合させることについて、使用者、労働者及び労働者代表に助言責任を持つ機関のことである。組織主体としては企業や企業団体、公の機関あるいは社会保障団体などがありうる。*2

引用文献:
*1 新版 保健師業務要覧 第2版、社団法人日本看護協会保健師職能委員会監修、佐々木峰子ら編、2008年10月20日、新版第2版第1刷、p2-3
*2 「国際安全衛生センター安全衛生に関するILO条約及びその概要 労働衛生機関、1985年第161号条約」より
https://www.jniosh.go.jp/icpro/jicosh-old/japanese/kikan/ilo/basic/standard/161.html(2014年4月17日)

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