オピニオン/保健指導あれこれ
公衆衛生医、骨折で入院しました

No.3 医療費はいくら? 細分化される診療報酬支払制度

公衆衛生医
鈴木 忠義
 不意の怪我 医療費はいくらだったか


 突然の怪我による入院、手術、その後のリハビリテーションの入院。少しの不安はあったものの80歳まで定期的収入のある仕事についていたこと。年金はほぼ満額あることなどで少々贅沢ですが個室を選びました。最初はN病院側の都合で4人部屋で10日余り過ごしました。「個室が空きます」と伝えられたとき、同室者が「金持ち」とつぶやく声に胸がふさがりました。

 私が払った総額は90万円、医療保険対象が約35万円、差額他(病衣料、TV料)(税込み)が54万円でした。請求明細書によれば、M、N、2院の保険対象医療の合計は327、265点。

 したがって医療費は327万余円。3割負担なら109万円です。

 実際の医療保険対象の内容を見ます。初診料300(点、以下略)入院料(室料以外)106、766、医学管理料1,206、手術料86,004、麻酔料8,210、画像診断料898、リハビリテーション料58,716、DPC包括診療65,085 以上合計は327,265(点)です。

 単純に3割は981,795円です。保険対象には食事負担金(1食=3月中、260円、4月から360円。合計211食約7万円)が含まれます。そこで保険対象医療費は28万円、両者は単純に計算すると約80万円ほど私の支払いは小さいのです。

 この相違は何か?

 僕の金額の3倍ほどの額をだれか支払ってくれているのだと思うと感謝とともに疑問が生じます。公務員定年退職後、栄養士教育で公衆衛生学を教えて約20年。当然医療費も社会保障費の一環の教育内容でしかも最も力を入れてきた分野です。国民の医療費は少子高齢社会の日本にとって大問題です。私にとって放っておくわけにはいきません。支払窓口で尋ねました。答えは「70歳以上の自己負担限度額(月額)」の制度です。

 そこで、私の愛読書であり授業のよき指導書である『国民衛生の動向』を開いたら医療保険制度の概要のなかで、高額医療費の限度額などの一覧表で記載されていました。学生には細部過ぎると見過ごしていたのでした。だが、実際に恩恵を受けるとその大きさに驚きます。実際負担額の3倍にも及ぶ金額は誰が負担したのでしょうか?税と社会保険料からとして結局は生産年齢人口にお世話になっているのです。先に記したように国民の3割にも達する高齢者はこうした事実をきちんと認識すべきではないでしょうか。

 70歳以上の自己負担限度額(月額)

 対象者は収入により4区分(現役並み所得者、一般、低所得者2、同1)に別れ、後期高齢者医療の被保険者は所帯単位で算出することとし私の区分は現役並み所得者で次により算出することとします。

算出式 80,100円+(医療費―267,000円)×1%

 さて、入院料(室料以外)は2病院74日間の合計106,766(点)です。1日平均約2万円弱になりました。この中には、医療安全対策、感染防止対策、患者サポート対策、回復期リハビリ病棟、休日リハビリ充実加算、3級地域加算が含まれていました。医学管理料には肺血栓塞栓症予防管理、地域連携診療計画管理の費用です。DPC包括管理料に至ってはこれ以上説明がありません。

 私自身はおおよその想像はつく診療行為ではありますが、こうした個々の行為に細分化される診療報酬支払制度は驚きでありました。

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