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「RSウイルス母子免疫ワクチン」が定期接種に 費用負担軽減で接種率向上に期待 4月から

 生後6カ月以内に感染すると重症化するリスクがある「RSウイルス感染症」を予防するため、妊娠中の母親を対象にした「RSウイルス母子免疫ワクチン」が4月から定期接種の対象となる。

 これまでは任意接種で、接種費用が自己負担だったことから、国立成育医療研究センターの研究チームの調査・分析では、費用負担と情報の周知不足が課題として浮かび上がっていた。今回の定期接種化によりさらなる接種率向上が期待される。

2026年4月から定期接種の対象に

 厚生労働省の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会は12日、ワクチンの定期接種が始まるRSウイルス感染症など、4つの感染症に関する4月以降の政省令案を了承した。

 RSウイルス感染症は急性の呼吸器感染症で、感染力が強く生後1歳までに50%以上、2歳までにほぼ100%の乳幼児が少なくとも一度は感染するとされている。特に生後6カ月以内に感染した場合は、細気管支炎や肺炎など重症化のリスクが高い。

 そのため、妊婦にワクチンを接種し、新生児及び乳児のRSウイルス感染症を予防する「RSウイルス母子免疫ワクチン」がある。母体内で抗体が作られれば、胎盤を通して赤ちゃんに移行する。

 2024年5月末から国内で接種可能になっていたが、当初は任意接種で1回あたり約3〜4万円の自己負担が発生していた。国立成育医療研究センター社会医学研究部 臨床疫学・ヘルスサービス研究室の大久保祐輔室長らの研究チームが2024年7月〜2025年8月に出産した女性1279人を対象に、全国規模の調査をオンラインで実施したところ、全体のワクチンの接種率は11.6%だった。

 一方、世帯年収や母親の学歴が高いほど接種率も高い傾向が認められた。接種率が最も高かったのは「世帯年収が1000万円以上」「母親の教育歴が大学院卒」のケースで22.7%。逆に最も低かったのは「世帯年収が400万円未満」「母親の教育歴が中学校卒/高校卒」のケースで3.1%にとどまった。

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出典:国立成育医療研究センター

 接種した148人の女性に支払い費用の負担感を尋ねたところ、87.2%が「やや高い」「とても高い」と回答した。

 また、未接種だった女性1131人に接種しなかった理由を聞いたところ、「予防効果を知らなかった」(28.9%)、「ワクチンの存在を知らなかった」(27.3%)とする回答が多く、情報が行き届いていない実態が明らかになった。「自費での支払額が高すぎる」(18.7%)も一定数を占めたことから、経済的負担の重さが未接種につながっている可能性も高い。実際、未接種者の77.5%が「無料であれば接種をする」と回答していた。

 研究チームは、同ワクチンの接種率向上には、自己負担の軽減と、妊婦・医療現場への分かりやすい情報提供の両方が必要だと強調。アメリカやイギリスでは接種率が約30〜50%と報告されていることから、これらの国と同様に公費で提供するなどすれば、接種率の底上げにつながる可能性があると指摘していた。

 今回の審議会での決定により4月1日より定期接種化され、対象者は無料でワクチンを摂取できるようになる。対象者は接種日当日に妊娠28週から妊娠36週までの妊婦。接種回数は妊娠ごとに1回。各自治体では定期接種化の準備を進めており、4月以降の接種率向上が期待される。

RSウイルス母子免疫ワクチンの接種率は約11.6%~全国調査で判明した『費用負担感』と『情報不足』が課題~(国立成育医療研究センター/2026年01月13日)
RSウイルス感染症(厚生労働省)

[yoshioka]