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女性の命を守るHPVワクチンをもっと知って 子宮頸がんの予防・対策を訴える運動が活発化
2020年09月14日

HPV(ヒトパピローマウイルス)は、女性の子宮頸がんや男性に多い中咽頭がんなど、さまざまな病気を引き起こす。
子宮頸がんによる死亡者は約3,000人に上るが、日本人女性のHPVワクチンの接種率は1%未満と危機的な状況が続いている。
HPV感染症の予防方法を啓発する運動が活発化している。
子宮頸がんによる死亡者は約3,000人に上るが、日本人女性のHPVワクチンの接種率は1%未満と危機的な状況が続いている。
HPV感染症の予防方法を啓発する運動が活発化している。
女性の子宮頸がんは乳がんに次いで多い
子宮頸がんの日本の年間の罹患数は約1万1,000例、年間死亡者数は約3,000人とされており、女性特有のがんの中では乳がんに次いで多い。
罹患年齢は20代にも広がるなど若年化が進んでおり、20代から30代の女性では、罹患率はすべてのがんの中で第1位になっている。
定期的に子宮頸がん検診を受けていれば、がんになる前の状態で発見することが可能だが、日本で検診を受けている人の割合は約40%と低い。欧米諸国では70%~80%に上り、日本の女性の受診率の低さは際立っている。
日本のHPVワクチンの接種率は1%未満
さらに日本では、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐHPVワクチンの接種率が極めて低い状況が続いていることが、深刻な社会問題になっている。
世界の80ヵ国以上で、HPVワクチンの接種を広く提供するために、国の公費助成が実施されている。日本でも公費助成が行われており、小学校6年生から高校1年の女子は公費で定期接種を受けられる。
しかし、世界の多くの国で60%以上の高い接種率が実現されており、接種率が80~90%の国も少なくないにも関わらず、日本では、10年前のワクチン導入時は70%だったのが、現在は積極的勧奨が行われておらず、接種率は1%未満と危機的な状況にある。
HPVワクチンの有効性と安全性を啓発
女性のHPVワクチンの接種率を引き上げようと、民間の動きが活発化している。
産婦人科・小児科・公衆衛生学などの専門家が力を合わせて、8月28日に開始したのが「みんパピ!みんなで知ろうHPVプロジェクト」だ。
同プロジェクトを運営する「一般社団法人 HPVについての情報を広く発信する会」(稲葉可菜子・代表理事)のミッションは、▼すべての国民にヒトパピローマウイルス(HPV)感染症に関する正確な知識を伝えること、▼科学的な根拠にもとづきHPVワクチンの有効性と安全性について啓発することなどだ。
代表の稲葉可奈子氏は産婦人科医。HPVワクチンの積極的勧奨の再開を、厚生労働省へ再三にわたり要望したが、事態が変わらない状況にある。
子宮頸がんのために20~30代で子宮を失うことになった女性や、命を失った女性を多く見てきた。「産婦人科医としてこのまま見過ごすことはできない」と思い立ったという。
産婦人科・小児科・公衆衛生学の力を合わせて情報発信
「がん」を予防するワクチンがあることを当たり前に

クラウドファンディングを開始 1日で目標を達成
同プロジェクトでは、活動資金を募るクラウドファンディングも8月からスタートした。
達成金額ごとに、小児科で配布するリーフレット作成、啓発のための児童向けコンテンツや動画コンテンツの制作、講演会の開催などを行うことを計画している。
HPVワクチンを知らない層、接種したいと考えている層、具体的な行動の仕方を知りたい層など、理解度や関心度に応じて情報を提供することを考えているという。
このクラウドファンディングでは、目標額400万円を開始1日で達成し、支援総額は9月11日時点で1,681万円以上に達している。支援募集は10月15日まで続けられる。
子宮頸がん検診の受診率向上を目指すプロジェクトも
blstr.jp
プロ野球のナイターでも啓発活動を予定

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