子ども誕生後「希望する働き方」実現は約5割に低下 若年層における仕事と育児の両立に関する意識調査
厚生労働省はこのほど、「若年層における仕事と育児の両立に関する意識調査」の結果(速報値)を公表した。
日本では女性に家事や子育ての負担が集中する状況があり、現在もその傾向は残っているものの、女性の社会進出が進む中、パートナー同士が協力し合って、家事・育児に取り組む「共育て」を推進する動きが強まっている。
「共育て」には雇用環境や職場風土の改善などが重要
調査は厚生労働省の広報事業「共育(トモイク)プロジェクト」が実施した。同プロジェクトは家事や育児を一人で担う、いわゆる"ワンオペ"ではなく「共に育てる」ことが当たり前とし、誰もが希望に応じて仕事と家事・育児を両立できる社会を目指している。
そのような社会の実現には、雇用環境や職場風土の改善など「共育て(パートナー同士が協力し合って、家事・育児に取り組むこと)」しやすい環境が基本となることから、企業に向けた普及啓発活動を積極的に実施。今回の調査でも若年層の仕事と育児の両立に関する意識を明らかにすることで、共働き・共育て推進に向けた社会機運の醸成や、企業における両立支援制度の導入・促進を図っていきたいという考えがある。
そのため調査は2026年6月13日から17日まで、全国の17歳から39歳の男女を対象に行われ、1万5845人から回答を得た。
希望する働き方の実現状況
このうち、子どもがいる社会人1247人を対象に、子どもが生まれる前と後、それぞれの期間について「希望する働き方ができていますか/できていましたか」と尋ねた設問では、子どもが生まれる前に「希望する働き方ができている(できていた)」と答えた人は40.2%。「どちらかというと希望する働き方ができている(できていた)」の26.2%と合わせると66.4%だった。
一方、子どもが生まれた後では、「希望する働き方ができている」は21.4%、「どちらかというとできている」は29.2%で、合計50.6%。出生前と比べ15.8ポイント低下した。
男女別に見ると、子どもが生まれる前は女性のほうが希望する働き方を実現できていた割合が高かった。女性では「できている」が49.0%、「どちらかというとできている」が23.7%で合わせて72.7%。男性はそれぞれ31.9%、28.6%で合わせて60.5%だった。
ところが子どもが生まれた後は、女性が51.5%、男性が49.7%となり、男女差は大幅に縮小した。特に女性では、希望する働き方ができている人の割合が72.7%から51.5%へ21.2ポイント低下。男性も60.5%から49.7%へ10.8ポイント低下している。
また、子どもが生まれた後に「どちらかというと希望する働き方ができていない」「希望する働き方ができていない」と答えた割合は、男性で18.7%、女性で22.1%だった。
職場の両立のしやすさと希望する働き方の実現度合い
子育てと両立しやすいか聞いた設問では、希望する働き方が「できている」人のうち、自分の職場が子育てと両立しやすいと答えた人は78.0%。これに対し、希望する働き方が「できていない」人では41.0%で、37.0ポイントの差があった。 配偶者・パートナーの職場についても、希望する働き方ができている人では56.9%が「両立しやすい」と答えたのに対し、できていない人では28.7%。こちらも28.2ポイントの差がみられた。
さらに、子育てとの両立のしやすさは、「今の職場で働き続けたい」という意向とも大きく関係していた。自分の職場が子育てと「両立しやすい」と感じている人の78.0%が、「働き続けたい」「どちらかというと働き続けたい」と回答した。一方、「両立しにくい」と感じている人では33.1%にとどまり、その差は44.9ポイントに上った。
また配偶者・パートナーの職場が「両立しやすい」と感じている人も75.7%が「働き続けたい」「どちらかというと働き続けたい」と回答した一方、「両立しにくい」と感じている人では50.4%にとどまり、その差は25.3ポイントと一定数の影響が見られた。
両立の意向とキャリアアップ志向
仕事と育児の両立を望む若年層は、キャリアアップにも意欲的な傾向がみられた。「仕事と育児を両立できる環境があれば、キャリアアップしたいと思う」という設問に、「そう思う」「どちらかというとそう思う」と答えた人は、若年層全体では42.8%だった。これに対し、仕事と育児の両立に積極的に取り組みたいと考える層では64.7%に上り、全体より21.9ポイント高かった。仕事と育児の両立を望むことと、キャリアアップへの意欲は必ずしも相反するものではなく、両立できる環境が整えば、その後のキャリア形成にも前向きな若者が多いことがうかがえる。
両立を実現できている要因
子どもが生まれた後も希望する働き方ができている650人に、「希望の働き方や子育てとの両立ができていると感じる要因」を複数回答で尋ねたところ、最も多かったのは「業務量が適切で、時間の余裕がある」の45.7%だった。
次いで、「仕事と子育ての両立について同僚・チームの理解や協力が得られている」が34.6%、「業務量や労働時間を、職場と相談して調整できる」が34.1%、「仕事と子育ての両立について上司・管理職の理解がある」が33.2%、「慢性的な長時間労働の職場ではない」が30.3%と続いた。
このほか、「配偶者・パートナーと協力するための話し合いができている」が27.2%、「突発的な業務が少なく、労働時間の見通しが立てやすい」が24.4%、「育休・短時間勤務などの制度が充実している」が20.1%だった。 これらの結果から「適切な業務量」「時間の余裕」「同僚や上司の理解」「業務量や労働時間を相談できること」など、日々の働き方や職場風土が子育てとの両立に重要だと考えている人が多いことが分かる。
共育プロジェクトの推進を
厚生労働省では、今回の調査結果をもとに、「共育プロジェクト」を通じて、仕事と家事・育児を両立しやすい環境づくりを推進。今後も企業に向けて、両立支援制度の導入・活用や、共育てしやすい雇用環境、職場風土づくりに関する普及啓発を進めていくとしている。
「若年層における仕事と育児の両立に関する意識調査(速報)」を公表(厚生労働省/2026年7月14日)共育プロジェクト
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