オピニオン/保健指導あれこれ
LGBTについて、学校保健分野・地域保健分野・産業保健分野で考える

No.2-3 LGBTと自殺、社会的養護、家族形成:児童養護施設での対応

岡山大学大学院保健学研究科 研究科長
中塚 幹也

児童養護施設のスタッフも研修が必要

 2015年の文部科学省の通知もあり、学校保健におけるLGBTの子どもへの支援は徐々に広がっています。しかし、児童養護施設の子どもにおける性の多様性に対してはあまり目が向けられていません。

 当然ながら、社会的養護を受ける子どもの中にもLGBT当事者は存在していると考えられます。海外では、社会的養護を受けていない子どもにおける割合より高率ともされています。

 一般社団法人レインボーフォスターケアによる「児童養護施設における性的マイノリティに関するヒアリング調査」では、2016年11月、601の児童養護施設に郵送法にて質問紙を送付し、220施設から回答を得ています。

 性的マイノリティと思われる児童の存在については、「現在いる」10%(23施設)、「過去にいた」29%(63施設)、「現在いて、過去にもいた」6%(13施設)との結果でした。また、在籍していた性的マイノリティと思われる児童の人数は、のべ144名(現在:40名 過去:104名)となっていました。

 トランスジェンダーの可能性があると考えられる「(戸籍上)男児だが女児のようなふるまいの児童」43名、「(戸籍上)女児だが男児のようなふるまいの児童」44名、「異性のようなふるまい(性別不明)」8名であり、また、同性愛(両性愛)的傾向のある児童は、戸籍上の男児28名、戸籍上の女児26名、性別不明5名という内訳でした。

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 また、性的マイノリティの児童の受け入れに不安を抱える施設、準備の必要性を感じている施設が見られたと報告されています。

 もちろん、これは施設のスタッフの目から見た性的マイノリティの子どもであるため、正確ではない可能性、子どもがその思いを「封じ込めている」ことを考慮すると、気づかなかった例も多い可能性も高いと考えられます。

 その多寡はともかく、実際の対応を想定して、児童養護施設のスタッフへの研修、LGBTの子どもたちへの正しい情報提供と理解の促進、トランスジェンダーの子どもたちの服装、髪形、名前の呼び方、また、トイレや更衣室などの設備等への対応を推進する必要があります。

差別されることがあってはならない

 2017年に厚生労働省がまとめた「新しい社会的養育ビジョン」の中では、「子どもの意見表明権の保障、アドボケイト制度の構築」の項目の中で、「特別な配慮を必要とする、何らかの障害のある子どもや性的マイノリティの子どもなどについて、差別されることがあってはならず、このような子どもに対し、児童福祉施設の職員や里親等は適切な対応ができるような技能を身につけるようにする必要がある。」としています。

 学校の中での支援が進む中、文科省の通知なども参考にして、児童養護施設での研修が行われ、社会的養護を受けるLGBTの子どもへの対応が進むことが期待されます。

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