「肥満と肥満症の違いが分かる」従業員は14.4% 健保が肥満症対策で受診勧奨を開始 「健康経営実装コアリション」が取り組みを報告
日本イーライリリー、エムスリー総合研究所、ミナケアの3者は2026年7月、企業・健康保険組合による予防医療の社会実装を目指す「健康経営実装コアリション~予防医療、肥満症対策から~」を発足させた。
このほど開催された始動記者発表会では、参画健保の取り組み状況や、職域で肥満症対策を進める際の課題が共有された。
「肥満と肥満症の違いが分かる」は14.4%
参画健保の従業員を対象とした調査では、「肥満」と「肥満症」の違いが分かると答えた人は14.4%にとどまった。依然として85.6%の人が違いがわからないという状況だ。「太っているのは自己管理ができていないから」という考えに近いとの回答は60%を占めた。
日本肥満症予防協会理事長の宮崎 滋氏は、肥満症の発症には遺伝や環境、睡眠、心理的要因なども関わると説明し、偏見やスティグマを減らす必要性を指摘した。
順天堂大学の矢野裕一朗氏は医療費データの解析結果を紹介した。肥満に関連する健康障害が1つ以上ある約24万人の年間総医療費は、5年間でBMI 25未満の群が21.9万円から26.6万円に、BMI 25以上の群が23.4万円から32.3万円に増え、差は年々広がっていた。また、BMI 25以上の成人のうち、肥満・肥満症の傷病名が記載されていた人は2.3%にとどまった。
特定保健指導の「対象外」となる層にどう届けるか
GWA健康保険組合(髙松建設・青木あすなろ建設など)は、特定保健指導の実施率が年度によって上下し、例年同じ人が対象になることが課題だと報告した。特定保健指導は40歳以上が対象のため、若年層へのアプローチが難しい。同健保は、30~34歳の被保険者のうち、BMI 25以上で脂質異常症や高血圧症などの合併症がある人に受診勧奨を行った。
日本ペイント健康保険組合は、特定保健指導の実施率は70%以上を維持しているものの、服薬中の人は制度上対象外となるため、治療が必要な肥満症の人が漏れてしまう点を指摘した。BMI 30以上の高リスク層から受診勧奨を始めている。
内田洋行健康保険組合は、コアリション発足前に田辺ファーマ、日本イーライリリーと実施した取り組みで、BMI 30以上で健康障害がある人、またはBMI 35以上の人に受診勧奨を行った。受診勧奨後のアンケートに回答した94人のうち、受診済み35%、受診予定14%、前向きに検討15%で、計64%が受診に向けて動き出していた。今後は、BMI 30以上の人の割合を引き下げる目標を掲げる。
コアリションは参画健保と連携し、肥満症に該当する約1万人への受診勧奨と効果検証を進める。従業員が肥満症を理解するための教育の機会も提供する予定だ。
参考情報
肥満症対策を職域から「健康経営実装コアリション」が始動|健康経営実装コアリション
健康経営実装コアリション|肥満症対策から、健康づくりを一歩先へ。
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