トピックス・レポート

従業員との「日常的な接点」をどうつくるか
【前編】アンケート結果から見えた産業保健職の課題
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 提供  サントリービバレッジソリューション株式会社

 産業保健活動では、従業員との接点が健診後のフォローや保健指導など、明確な目的がある場面に多く、日常的な変化や職場の状況を把握する機会を確保するためには、それなりの仕掛けや工夫が必要となります。ちょっとした会話や共通の話題は、従業員が産業保健職へ相談するきっかけや、健康施策への参加を後押しする要素になり得ます。

 前編では、保健指導リソースガイドで実施したウェブアンケートから、従業員との関係構築をめぐる課題認識を紹介します。後編では、健康経営サービス「サントリープラス(SUNTORY+)」を導入した2社の事例をもとに、従業員の生活導線に健康行動のきっかけを組み込み、産業保健師とのコミュニケーションにつなげるための工夫を考えます。

健康経営サービス「サントリープラス(SUNTORY+)」のご紹介

アンケート結果から見えた産業保健職の課題

 効果的な施策を展開するためにも、まずは現場を支える産業保健職の視点に注目してみましょう。当サイトで実施したウェブアンケート(※)の結果から、従業員とのコミュニケーションにおける現場のリアルな意識を探ります。

※保健指導リソースガイド「産業保健活動における「従業員との関係構築」および「健康施策推進」に関する実態調査」
・アンケート実施期間:2026年4月13日~26日
・対象者:産業医、保健師、看護師、管理栄養士、栄養士などの産業保健スタッフ
・回答数:234名(うち保健師170名)

コメント

亀ケ谷律子氏(保健師・HSプランニング代表)

データから見る現状① 日常的なコミュニケーションについて

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 昨今では、労働者を取り巻く環境がAI活用の加速化などにより多忙となるに伴い、産業保健職の業務も増加傾向にあります。将来的な業務効率化を目的とした健康情報の一元化やシステム化に向けた作業の増大、健康経営などの外部認定に必要な根拠資料やデータ作成など、机上業務が増えていることが要因として挙げられます。

 一方、健診事後フォローやメンタルヘルス対策、健康教育などの本来業務は減少することなく、高齢者雇用や労働時間管理に伴う新たな健康課題への対応も求められています。 これらの要因が重なり、業務以外で従業員と日常的なコミュニケーションを図る時間の確保が困難である現状が、今回のアンケート結果から読み取れます。

 この問題の解決には、医療職個々の努力に頼るだけでは限界があるため、組織的な仕組みや体制・環境づくりを改めて検討し、構築する必要があります。

データから見る現状② 日常的な接点による効果への期待

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 従業員との接点を持つことで、個々の状況に即した専門知識や技術の提供が可能となるにとどまらず、得られた情報を集約・分析することにより、部署や労働形態に合わせたポピュレーションアプローチの展開も可能となります。これにより、より多くの従業員との直接的・間接的な関与が期待できます。

コミュニケーションのハードル

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生活動線の壁

 従業員にとって会社は労働の場であり、健康活動を主目的とする場ではありません。しかし、「誰もが利用する場(生活導線)」での保健活動が可能となれば、従業員が無理なく保健サービスを享受する機会が増えると考えられます。

 これは多くの企業が抱える課題であるため、関連学会や各種機関から好事例が示されています。どのような仕組みやツールを活用して壁を乗り越えるか、他社の良好事例を参考にしつつ、産業保健職の努力に任せるだけでなく、健康経営などの社内プロジェクトを活用しながら知恵を出し合い、自社に適合する戦略を構築する必要があります。

会話の壁

 従業員には与えられた業務遂行の義務があります。また、上司と部下、教師と生徒、医師と患者など、人々にはそれぞれの立場や役割があり、自らの努力では変えられない関係性が存在するため、そもそも「気軽」な話には限界があるものです。それを認識したうえで気軽に話せるテーマを考えるとなると、それぞれの業務や役割・関係性に関連したテーマを選ぶほうが、特に初対面に近い場合では違和感が軽減されます。

 従って、従業員が産業保健職と気軽に話せるテーマは、健康や安全、食や休息などが自然であり、こうした会話の中から信頼が生まれてはじめてそれ以外の気軽な話題が可能となります。

 しかし、この壁を乗り越えるには長い時間と努力が必要です。それを短縮できるのが、共通の話題となり得る環境やツール、仕組みです。社員食堂のメニューや休憩場所の自販機などはその一例であり、こうした場所でのコミュニケーションが良好事例として取り上げられやすい理由でもあります。

従業員との『日常的なつながり』による効果

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 業務あるいはそれ以外のきっかけで相手と時間や空間を共にすることで、2回目以降は「他人」から「面識のある人」へと変化します。そこから会話が生まれ、互いを知り、積み重なれば職種だけでなく人柄も理解され、親しみや信頼が増していきます。

 産業保健職は、こうした関係を持てる従業員が増えることで保健活動が強化され、従業員の健康度のさらなる向上が期待できると考えられます。

総括コメント:産業保健職の力を引き出す「場」と「仕掛け」

 今回のアンケート結果から、産業保健師をはじめとする産業保健職は、従業員との日常的なつながりが保健活動の質を左右する重要な基盤であると強く認識していることが明らかになりました。形式的な面談だけでは把握しきれない"生の情報"を得られることが、より的確で実効性の高い支援につながるためです。実際に、日常的な接点があることで業務が円滑に進んだ経験を持つ保健職は多く、自然なコミュニケーションの価値が広く共有されています。

 一方で、こうした「日常的なつながり」を生み出すことは容易ではありません。アンケート結果からは、従業員の生活導線上に保健活動が入り込めていないこと、また業務以外で気軽に話せるテーマが少ないことが、自然なコミュニケーションを阻害する二大要因として浮き彫りとなりました。従業員にとって会社はあくまでも働く場であり、健康相談を主目的に立ち寄る場所ではありません。さらに、立場や役割の違いから、初対面に近い関係で「気軽な会話」を生み出すことには構造的な限界があります。こうした背景から、産業保健職が日常的な接点を持ちたくても、現実には接触機会が生まれにくい状況が続いていることが伺えます。

 加えて、産業保健職自身の業務量も増加しています。AI活用やシステム化に伴う新たな事務作業、健康経営に関するデータ作成、法改正への対応など、机上業務は増え続けています。本来業務である健診フォローやメンタルヘルス対応は減らないため、個々の努力だけで日常的なコミュニケーションを確保することには限界があることが示唆されました。

 こうした状況を踏まえると、産業保健職が従業員と自然に接点を持てる環境を整えることは、個人の工夫に委ねるのではなく、組織として取り組むべきテーマであると言えます。健康経営が企業の重要課題として位置づけられる今こそ、社員が気軽に立ち寄れる空間づくりや、共通の話題が生まれる仕掛け、産業保健職の存在を自然に認知できるイベントや対話の機会など、日常的な接触を生み出す環境整備を戦略的に進める好機です。

 産業保健職の専門性は、従業員との接点があってこそ最大限に発揮されます。企業としてその力を引き出す環境を整えることは、従業員の健康度向上のみならず、労働生産性や組織の持続的成長にも寄与する重要な投資であると捉えられます。

つづきを読む:【後編】2社の実践にみる健康施策の工夫

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「サントリープラス(SUNTORY+)」のご紹介

サントリーが提供する健康経営サービス「サントリープラス」は、"小さな『できた』が楽しく続く" をコンセプトに、従業員の健康行動を促進するサービスです。
「施策を打ち出しても健康意識が高い一部の従業員しか反応せず、大多数は始めてくれない、続けてくれない」という、多くの健康経営ご担当者様が抱く悩みを背景に、本サービスは開発されました。
「サントリープラス」は、日常の中でできる超低ハードルな健康行動や定期的なイベントの開催で、従業員の行動変容を後押ししています。

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[保健指導リソースガイド編集部]