肥満症対策の「社会実装」へ 特定健診・保健指導から治療への接続が焦点に 第9回ヘルスケア・イノベーションフォーラム
日本イーライリリーと米国研究製薬工業協会(PhRMA)は10月15日、「第9回ヘルスケア・イノベーションフォーラム」を東京都内で開催した。テーマは「攻めの予防医療の実現に向けて―国民の健康増進と肥満症対策の社会実装を考える」。国会議員、厚生労働省、経済産業省、日本肥満学会の有識者らが登壇し、肥満症対策を「いかに社会実装するか」を議論した。
肥満症は、本人の努力や自己管理だけの問題ではなく、遺伝や体質、環境、心理・社会的要因などが重なる慢性疾患と説明された。日本人は内臓脂肪が蓄積しやすく、欧米人より低いBMIでも健康障害のリスクが高まる。肥満による経済的負担は2019年時点で約7.6兆円、2030年には11.1兆円に達するとの予測も示された。
2026年には肥満症対策推進議員連盟が設立され、「骨太の方針2026」に肥満症が「攻めの予防医療」の一環として初めて明記されている。
課題は「理解不足」「治療への未接続」「継続支援の体制」
討議では主な課題として、疾患への理解不足、診断後に治療へつながらないこと、長期治療を支える体制の不足の3点が挙げられた。日本肥満学会理事長の下村伊一郎氏(大阪大学)は、肥満症のある人が医師に体重の悩みを相談するまで平均6年を要するという調査結果を紹介し、患者・医療者双方の理解不足の解消を訴えた。
また、特定健診・特定保健指導について、BMI 30以上など重度の肥満で多様な健康障害を抱える人を早期に医療へつなぐ仕組みが十分でないと問題提起した。
特定健診・保健指導の見直しへ研究を開始
厚生労働省健康課長の堀岡伸彦氏は、次期の特定健診・特定保健指導の見直しを見据え、肥満症を効率的に拾い上げる方法について日本肥満学会と相談を始めたと説明。研究を通じて今後の見直しにつなげる考えを示した。 受診勧奨が受診につながった場合の保険者へのインセンティブについても、研究課題として検討する意向を述べた。
経済産業省ヘルスケア産業課長の福田光紀氏は、健康経営優良法人認定でヘルスリテラシー向上や特定保健指導の実施率向上などを評価していることを紹介。人員や知見が不足しがちな中小企業に対しては、自治体や経営支援機関などによる地域の支援体制が必要だとした。
肥満症対策推進議員連盟事務局長のとかしきなおみ衆議院議員は、薬剤師、管理栄養士、看護師、保健師などが健診データを共有し、発症前から支援する多職種連携の重要性を強調。予防に取り組む医療従事者が報酬面で適切に評価される仕組みの検討も必要だと述べた。
健診後の受診勧奨から治療継続までをどうつなぐか。保健指導の現場が担う役割は、今後さらに大きくなりそうだ。
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