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精神疾患のある人は「メタボ」有病率が高い 40~64歳の全年齢層で差 発達障害でも新たな知見

 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)の研究グループはこのほど、統合失調症や双極性障害、うつ病のある人は、精神疾患のない人に比べ、40~64歳のすべての年齢層でメタボリックシンドロームの有病率が高いことを明らかにした。

 また、男性では心的外傷後ストレス障害(PTSD)、女性では知的障害や発達障害のある人などでも、有病率が高いことが分かった。

精神疾患の診断別にメタボリックシンドロームの有病率を算出

 精神疾患のある人は、ない人と比べ、失われる生存年数が平均約15年に上るとする研究報告がある。こうした早期死亡には、心筋梗塞や脳卒中などの循環器疾患をはじめとする身体疾患が大きく関わっている。

 循環器疾患の発症リスクを高める要因の一つが、内臓脂肪の蓄積に高血圧や高血糖、脂質異常などが重なるメタボリックシンドロームだ。そのため、精神疾患のある人にメタボリックシンドロームがどの程度みられるのか、その実態を把握することが重要となる。

 これまでの研究で、統合失調症や双極性障害、うつ病のある人は、メタボリックシンドロームのリスクが高いことが知られていた。だが、そのリスクが年齢によってどう異なるのかは十分に明らかになっていなかった。

 また、心的外傷後ストレス障害(PTSD)など、一部の精神疾患でもリスクの上昇が報告されていたものの、精神疾患のない人との比較は限られていた。知的障害や発達障害のある人については、メタボリックシンドロームとの関連自体がほとんど注目されてこなかった。

 そこで研究グループは、医療レセプト(診療報酬明細書)と特定健康診査のデータを用いて、40~64歳の精神疾患のある19万8692人と、ない434万1521人を分析。性別や年齢層、精神疾患の診断ごとに、メタボリックシンドロームの有病率を比較した。

 その結果、メタボリックシンドロームの有病率は、精神疾患の有無にかかわらず、男女ともに年齢とともに上昇していた。一方、40~64歳のどの年齢層でも、精神疾患のある人の方がない人よりも有病率が高かった。統合失調症、双極性障害、うつ病について個別に分析した場合も、同様の傾向が確認された。

 年齢構成の違いを考慮して比較すると、メタボリックシンドロームの有病率は男性では精神疾患のある人が24.8%、ない人が20.3%だった。女性でも精神疾患のある人が7.8%、ない人が4.6%と、いずれも精神疾患のある人の方が高かった。

 さらに、精神疾患の診断別に詳しく調べたところ統合失調症、双極性障害、うつ病以外にも、有病率が高い疾患や障害が確認された。男女ともに器質性精神障害のある人で高かったほか、男性では特にPTSDのある人、女性では特に知的障害や発達障害のある人で、精神疾患のない人よりも有病率が高かった。

 メタボリックシンドロームに関連する個々のリスク要因についても比較した。その結果、肥満や腹部肥満、空腹時血糖値、HbA1c値、中性脂肪値の上昇、HDLコレステロール値の低下については、いずれも精神疾患のある人の方がリスクを抱える人の割合が高かった。一方、血圧の上昇については、同様の傾向はみられなかった。

 先行研究では、精神疾患のある人は、身体疾患の適切な治療を受けにくく、予防のための医療サービスも利用しにくいことが指摘されている。今回の研究結果は、精神疾患のある人への支援において、精神面だけでなく身体面の健康管理にも目を向ける必要性を示している。

 研究グループは、メタボリックシンドロームに注意を払い、必要に応じて早期に介入することで、生活習慣病を予防できる可能性があると指摘。今後は身体疾患の予防や治療の実態についても研究を進め、医療提供体制の改善につなげていくとしている。

精神疾患の診断別にメタボリックシンドロームの有病率を算出― 大規模医療レセプト・健診データを利用した横断研究 ―(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター/2026年09月17日)

[yoshioka]