循環器疾患の診断前後で食習慣に変化 野菜・果物の摂取量変化は非診断群と有意差みられず
国立がん研究センターらの研究グループは、多目的コホート研究(JPHC研究)の参加者約6万9000人を対象に、脳卒中や心筋梗塞の診断前後における食事摂取量と生活習慣の変化を調べた。
その結果、診断を受けた人は、受けなかった人に比べてみそ汁や漬物、牛肉・豚肉の摂取量を減らしていたことが分かった。
一方、野菜や果物の摂取量の変化には、両グループ間で有意な差がみられず、長期的な食事管理に課題があることが示唆された。
診断を受けた800人と受けなかった人の変化を比較
循環器疾患の再発は、食事を含む生活習慣と関連している。しかし、急性期治療を受けた後に、食事や生活習慣がどの程度改善され、維持されているのかを示す研究は少なかった。
そこで研究グループは、JPHC研究の開始から5年後(1995~1998年)と10年後(2000~2003年)の両調査に回答した6万8733人を対象に、食事・生活習慣の変化を分析した。2回の調査の間に新たに循環器疾患(脳卒中または心筋梗塞)と診断された800人を「新規診断グループ」とし、診断されなかった人を「診断なしグループ」として比較した。
食事については、食物摂取頻度調査票を用いて栄養素や食品群の摂取量の変化を把握した。年齢や総エネルギー摂取量など、変化に影響を与える可能性のある要因を調整し、両グループの変化量の差を調べた。
研究成果は『Journal of Human Nutrition and Dietetics』に掲載された。
一部の食品摂取は減少 野菜・果物の変化量には有意な群間差みられず
要因を調整した解析では、診断なしグループに比べ、新規診断グループの男性ではナトリウムとみそ汁、女性では漬物、男女ともに牛肉・豚肉の摂取量が有意に減少していた。
一方、漬物・ジュースを除いた野菜や果物の摂取量の変化には、両グループ間で統計学的に有意な差がみられなかった。摂取量の変化に影響を与える可能性のある要因を調整した相対変化量でも、結果は変わらなかった。
禁煙した割合は高い一方、身体活動量が低下した割合も高い
1回目の調査時に喫煙していた人では、男女ともに、新規診断グループで禁煙した割合が診断なしグループより有意に高かった。
身体活動についても、新規診断グループでは、活動量を増やした人の割合が低く、減らした人の割合が高かったが、歩行や座位など、具体的にどのような行動が変わったのかまでは把握できていない。
長期的な食事管理に課題 個々の病状に応じた支援を検討する参考に
なお、本研究の対象者は比較的症状が軽い集団と考えられ、さまざまな症状の患者すべてに当てはまるとは限らないとしている。
研究グループは、一部の食品摂取や生活習慣には行動変容がみられたものの、循環器疾患予防ガイドラインで推奨される野菜や果物の摂取には、長期的な食事管理上の課題が残るとしている。
今回の研究は、継続的な栄養指導の効果や再発予防効果を直接検証したものではない。保健指導の現場において、食品を控える助言に加え、野菜や果物を取り入れる支援や、その後の継続的なフォローの重要性を示唆する結果といえる。
参考資料
循環器疾患診断前後の食事・生活習慣の変化について|国立がん研究センター
Dietary and Lifestyle Changes Before and After Diagnosis of Cardiovascular Disease |Journal of Human Nutrition and Dietetics
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