Vol.8 トラックドライバーの健康管理は不規則勤務の改善から
健康管理が強く求められる職種
トラックドライバーは、脳・心臓疾患に関連する健康障害や健康起因事故が問題となっています。背景には恒常的にみられる長い拘束時間や、夜間早朝のような不規則勤務、短い休憩・休息時間があると考えられています。これらの働き方は、コホート研究や実験研究において高血圧や脳・心臓疾患の発症と関連することが報告されています。
不規則勤務と高血圧に関連あり
どのような働き方・休み方が健康障害と関連するのか調べるため、全国のトラックドライバーを対象としたアンケート調査を行いました[1]。その結果、男性1,947人の19.3%に高血圧、2.5%に心臓疾患、0.7%に脳血管疾患の既往歴がありました。
このうち高血圧は、夜間早朝勤務と休日の不活発な過ごし方と関連していました。不規則勤務は、労働時間や休息機会以上にトラックドライバーの高血圧と関連していました。
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夜間早朝勤務や不規則な出勤時刻は血圧・動脈硬化度を悪化させる
不規則勤務のどのような特徴が血圧等に影響するのか調べるため、長距離67人と地場60人のトラックドライバーの勤務・睡眠の記録、勤務日の血圧測定を1人につき30日間行いました[2]。
高血圧等の既往に関係なく、起床時刻が早いほど血圧が上昇、動脈硬化度が悪化する関係が見られました。運行形態による違いもあり、長距離は睡眠の質が悪いほど、地場では夜勤回数が多いほど、出勤時刻が不規則であるほど血圧や動脈硬化度が悪化する関係が見られました。
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不規則勤務の負担軽減策
運送事業者へのヒアリングでは、トラックドライバー個人の要望(負担感)を聞いた上で、深夜・早朝の出勤を無くす・減らす、不規則勤務を複数ドライバーで分担する、前日の勤務時間に応じて翌日の勤務を調整する、日勤と夜勤を1週間交代にする等の調整が行われていました。不規則勤務の改善取組は、職場の健康管理の向上だけでなく、労働法規の遵守、賃金・労働負担の公平にもつながっていました。
加えて、勤務負担軽減をより効果的に行うために、私たちの提案する「職場の疲労カウンセリングガイド」が役立ちそうです。
参考文献
[1] 松元俊ほか. トラックドライバーの健康障害と過労状態に関連する労働生活要因の検討. 産業衛生学雑誌 2022; 64(1): 1-11.
[2] 松元俊. トラックドライバーの夜間早朝出発を伴う不規則勤務スケジュールが血圧・動脈硬化に及ぼす影響の検討. 日本労働研究雑誌 2024; 66(2・3): 77-92.
私たちRECORDs(過労死等防止調査研究センター)は、ポータルサイト「健康な働き方に向けて」で、研究成果の紹介、国内外の最新研究動向、産業保健の現場で活用できるツール、制度に関する情報など、幅広いコンテンツを発信しています。毎年3月にはシンポジウムを開催していますので、ぜひ、ご参加ください。
関連リンク
保健指導リソースガイド・オピニオン「労働者の疲労リスク管理・効果的な休み方―過労死等防止調査研究センター(RECORDs)の成果と職域での取り入れ方」(著・久保智英)
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